ビジネス書大好きMBAホルダーが教える私の学びシェア

本を読んでそこから新しい知識を得たり、学んだりすることが大好き。学びたい、成長したいという意欲のあるビジネスマンの皆さん、一緒に成長しましょう。

サービスの企画や立ち上げに関わる人には学びが多い一冊。 中村耕史/「少し先の未来」を予測する クックパッドのデータ分析力

筆者はクックパッドの膨大なデータを閲覧することができるサービス「たべみる」を
大幅にリニューアルし、データサービス事業を立ち上げた人物。

データ分析の手法などの話ではなく、
サービスの開発と立ち上げの紆余曲折が語られており、
非常に面白かった。

たまったデータをうまくマーケティングデータとして活用してもらうことは
できないかなぁ、と漠然と考えている人は多いと思うのだけど、
そのもやもやとした構想もこうやれば形になるのかと参考になった。

「少し先の未来」を予測する クックパッドのデータ分析力

「少し先の未来」を予測する クックパッドのデータ分析力


そもそも売り方があるのね

「たべみる」は2007年10月に、インテージの競合にあたるマクロミルというマーケティング会社を独占販売代理店としてサービスの提供が開始されていた。
P.26

これはリニューアル前のサービスの話だけど、販売はマクロミルなどの調査会社を
代理店として使うんだね。たしかに餅は餅屋だものね。
こういうサービス考えるときはこういうデータに需要ありますか?ってな話含めて
調査会社と話をするのはありなんだな。


データの質が根本的に違う

確かに、ただの「結果」データの蓄積ではない。
自分たちのデータの価値や特異性をしっかり理解しているのは
素晴らしいことだし、数時間後の未来が読めるデータってそうそうない。

これらの多くのデータが示すのは僕たちの行動の「結果」だ。
「僕は昨日、カルボナーラを食べた」。
「水曜日に本を2冊買った」。
「吉祥寺から電車に乗って恵比寿で降りた」など。
Suicaなど交通系ICカードの場合は、そのデータの特性上、
「昨日も今日も銀座駅で降りました」ということから、
「明日も銀座駅で降りるでしょう」と、推量することはできる。
でも、行動する人の「欲求」が見えるわけでぱない。
単純に、「昨日の延長線上に今日がある」というだけだ。
「たべみる」は違う。
クックパッドの検索データで見られるのは、数時間後の未来だ。
P.32

というわけで、データのリアルタイム性と、
ニーズの経年変化をわかりやすく把握できる、
というのをサービスの売りにする。

新しくデータサービスを導入するとなれば、期待されるのはこれまでわからなかったことがわかることだ。
たとえば、昨年に比べて今年はどうか、あるいは3年前と比べた今年は? といったニーズの変化だ。
だからリニューアルにあたってまず最初に決めたのが、経年変化を捉えやすくすることだった。
P.66

使い勝手と価格問題

使って貰わなければ始まらないので、価格問題は非常に重要。
しかも年間契約だったりするので、予算に盛り込んで貰わないといけない。
だからこそ、開発もここまでに見せられるものを用意しないと、といった制約があったり、
そういう凄く全うなビジネスとしての裏話が色々書いてあるのも勉強になった。

これまで使っていたデータサービスは継続してもらって、さらに「たべみる」を追加で導入してもらう。
ほかのデータとの併用も可能な価格帯のサービスメニューを用意することが適切だと判断した。
P.67

結果、作った価格プランが3つ。
こういう具体的な話は勉強になります。

「Price=価格」は、3つのプランを用意した。
「たべみる」の価値はこれまでにないものだという自信を持っていたし、より高い価格でサービスを提供できればそれだけ収益も増える。
とはいえ多くの企業に使ってもらうことが優先的に考えるべきことだ。
また、先の市場分析から「限られた調査予算内」で「追加購入」が可能な範囲という制約条件もあった。
このような場合、同じような目的で利用されているサービスよりも低価格にすべきというのがセオリーだ。
したがって、価格は以前からあった月額15万円のサービス機能を拡張したうえで残し、データをほぼリアルタイムで見られるようにした月額25万円のプラン、そしてサービス改変の成果を最大限享受できる月額35万円のプランの3つを用意した。
P.154 - P.155

データのクリーニング

この類義語をまとめるという機能はとても素晴らしい。
サイト解析ツールとかでも類義語でまとめる設定とか
できるようになったらいいのに、と常々思っている。
こういうのが自然とできていると、ものすごく使い勝手がよく感じるし、
支持を得られるのだろうなぁ。

「たべみる」では、検索窓に入力されたテキストデータを単に集計するのではなく、類義語は類義語としてまとめて集計を行なうようにしている。
この類義語辞書ぱクックパッドがレシピ検索サービスを提供する歴史の中で独自に充実させてきたものであり、表記ゆれや漢字とかなが交じったキーワードだけでなく、「作り置き」や「常備薬」といった意味の近さにも配慮したうえで、違和感のない結果を返すことができている。
P.93

許容範囲は10秒

集計から結果が返ってくるまでの時間、確かに10秒くらいでできたら凄い良いよね。
実際自分が仕事で使っている各種のツールだと、10秒で結果返ってくるのはあまりない。
今後外部向きのサービス考える時は参考にしたい。

ウェブ・ユーザービリテイ(ウェブの使いやすさの研究)の第一人者であるヤコブ・ニールセンが行なった調査によれば、一般的には、応答速度が0.1秒以内であれば瞬時に応答がめったと印象を持ち、1.0秒以内であれば瞬時ではないがユーザーの思考が途切れることなく許容され、処理を待っている印象を持つことはあまりないという。
「たべみる」は通常のウェブサービスとは少し異なるため、動作速度に対するユーザーの寛容度は比較的高いと考えられた。
実際、他社が提供するソーシャルメディア分析や販売データの分析ツールでは、速くても数秒、処理によっては数分の処理時間が必要となるものがほとんどだ。
前述の調査でも、10秒までなら「もっと速くならないか」という気持ちにはなるが注意力は続くとされている。
P.97 - P.98

各種指標の作り方。

筆者自身が元々調査会社出身と言うこともあり、
指標の設け方が、使う側にとってわかりやすくなっている。
使う側にいた経験がない人だと、なかなか難しいんだろうな。

1000回あたりの検索頻度にするもうひとつの理由は、利用企業の人にとってのわかりやすさだ。
もともと小売業でよく使われる指標に、PI値(レジ通過者1000人あたりの商品購入率)やTI値(1000食あたりの食卓登場頻度)、といった数字があった。
PI値(Purchase Index)は、「レジ通過客の1000人当たり何人がその商品を買ったのか?」という購買指数だ。
TI値(Table Index)とは昔から食卓日記調査で使用されており、あるメニューや材料の食卓登場頻度を表す。
これも1000食あたりの値となっている。
つまり、食に関連する指標は何%という値ではなく、1000 回あたりという考え方がすでに浸透していたのだ。
P.111

1000回当たりっていう考え方もマッチ度の話も、実に腑に落ちる。

ほかに「マッチ度」という指標も便利に使われている。
クックパッドでは単に「カレー」というメニュー名1語の検索だけでなく「ナス×カレー」のように材料との組み合わせ、もしくは「カレー×リメイク」という行動との組み合わせ検索も行なわれている。
マッチ度とは、指定した語-たとえば「カレー」-が検索されたとき、何%の割合で「なす」や「リメイク」といった語が組み合わされているのかを示す数字だ。
P.113

サービス作る側の人は、サービス内容がデータじゃなかったとしても、
この本から学ぶことは多いと思う。
サービス立ち上げの諸々をまとめて公開しちゃいましたって感じなので。

「少し先の未来」を予測する クックパッドのデータ分析力

「少し先の未来」を予測する クックパッドのデータ分析力

不言実行は卑怯だ、って言われて納得してしまった! 伊藤嘉明/どんな業界でも記録的な成果を出す人の仕事力

『どんな業界でも記録的な成果を出す人の仕事力』
この本のタイトルの胡散臭さ、バカっぽさは、
売るために必要なことだろうとは思っていてもちょっと引く。

このタイトルにつられて読む人がバカっぽく見えるタイトル。
いやなんでそこにこだわるかと言うとこの本が結構良い本だからなんだけど。

タイトルの胡散臭さは置いといて、ハイアールの伊藤社長の本だ、というと
一瞬くだらないと思ってそっぽを向いたビジネスパーソン
手に取ってくれるかもしれない。
まぁそういう売り方が良くわかる帯のデザインだよね。
帯は伊藤さん推し。
情弱にはタイトルで、情強には伊藤さんで売る。

経営誌やビジネス誌でもちょいちょい出てきている人で、
その経歴も華々しい。
日本コカ・コーラ、デル、アディダス ジャパン、
ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
ハイアール アジアというこのラインナップの華やかさも凄いけど、
本当に凄いのは数年ごとにあえて未経験の業界に飛び込み、結果を出していること。
いわゆる業界を限定しないプロ経営者のキャリアを歩んでいる。

まぁある種のビジネスエリートのマインドがストレートに出てる本書は、
できる人には当たり前のことなのかもしれないけど、
とてもわかりやすくて面白かった。

どんな業界でも記録的な成果を出す人の仕事力

どんな業界でも記録的な成果を出す人の仕事力


よそ者であることを恐れない

「ポツと出」の意見より「その道のプロ」が考えることの方が絶対正しい。
多くの業界人が、そう考えている。だが、それは思い込みに過ぎない。
P.24

業界の慣習とか、常識に縛られていると確かに当たり前に思ってしまうけど、
自業界の常識は、他業界の非常識だったりするってのは、本当にあるから面白い。
MBAで色んな業種の人たちと話しているとその視野は広がる。
時に話がまったく通じないくらい前提が違ったりするからなぁ。


低迷している業界は・・・

これはあくまでもメーカーサイドのポジショントーク的な文脈もあるんだけど、
それでも自業界にとって、本当にお客様のためになることは何なのかってのは、
ちゃんと考えないといけない問題よね。
出版業界とか、ファッション業界とか、長期低迷市場って
どっか根本でずれているような気がする。

自分で自分の商品価値を落としたり、大事なお客様をぞんざいに扱うような業界に未来はない。適正価格を守り、業界や企業、そして結果的にお客様を守るのは、メーカーなのだ。
P.59 - P.60

それと昔は儲かってた、に依存しすぎてるってのもあるよな。

SPEが傾きかけだのは、ビデオ業界が好調だったときに入社してきた人たちが中堅幹部になったころだ。
1本1万何千円もするビデオが放っておいても売れた時代。20代、30 代、濡れ手に粟でやってきて、中堅幹部が40、50代になったときに、急に傾いてきた。
でも、どうしようもない。
なぜ変化についていけないのか。
それは絶好調のときに、若手で入ってきた社員というのは、どうすれば生き残れるかを考えるスキルが身についていなかったから。
考えなくても毎日儲かった時代が、あっという間に10年とか15年たってしまっていたのだ。
P.108 - P.109

結局、市場が傾いたときに踏ん張らなきゃいけなかった中間層、経営層が、
それまで思考停止でも儲かってたからボンクラ化してる…。
そういう会社が年功序列の会社だったとき、
組織が全うな物になるのに相当時間がかかる。てか、無理かもしれない。


これ真似できるかも?戦略的アカウント計画

ファクトブックを徹底的に整理しておくこと。
これは素直に凄いなぁと思った。
ファクトブックさえ見ればすべて把握できるから、
引継ぎもスムーズだし、状況把握もやりやすい。
何より、これを完成させようとすることで営業自身の能力があがる。
実物見てみたい!

StAPとは、Strategic Account Plan(戦略的アカウント計画)の略で、アカウント管理のことだ。
アカウント管理とは、重要顧客をマネジメントすることだが、StAPは特に、相手の困っていることを把握し、その解決策を考えることを意味する。
ファクトブックは、このStAPを実践するための道具だ。
どんな企業にも困っていることは必ずある。
それを把握して、解決する手助けをするために「この企業(人)の課題は何か」「この組織が困っていることは何か」と、いつも探して、考えておくのだ。
それがStAPだ。
P.82

キャリアの心得

とりあえず話し聞いとけってのはよく言われるな。
自分の市場価値を知っとけと。
でもあの手の電話ってすげー胡散臭いから、
昔、面倒くさがってたら電話来なくなったこともあるな…。
まぁ、声かけてきたヘッドハンティングの会社が
よくわからん会社だったってのもあるけど。ちょっと反省。

もしあなたが、他の部門や会社の人から引き抜きの話を受けたり、ヘッドハンターから声をかけられたら、たとえ転職する気がなくとも、会って話を聞いておくべきだ。
なぜなら、自分の市場価値を常に確かめておくことは大事だからだ
P.122

そんでもってこの辺のマインドはビジネスエリート共通の見解っぽいところ。
でも地位が人を作るってのはあるよな。
経験や知識が十分蓄積されてから、とか眠たいこと言ってる人には任せられないってのは確か。
情報が揃っていないと意思決定できません、みたいなのと同じ無能さを感じる。

経験や知識なんて、ポストに就けば後からついてくる。
「経験や知識が十分蓄積されてから」なんて言っている人は、一生そのポストに就けないだろう。
抜擢人事は受け入れるべきであり、そのときに必要なものは年齢でも経験でもなく、「やってみます」「やらせてください」という姿勢だ。
(中略)
「年齢は関係ない。
経験も関係ない。
大事なのは姿勢だ」
やる気がある者が、やれ。
何かを成し遂げるのに、経験も知識も年齢も関係ない。
「やってやる」という気持ちと、やり遂げるために最善の努力をする覚悟があるかどうかだけが、できるかできないかを分かつのだ。
P.132 - P.133

下に対してはやる気があるのか、無いのかしか興味ない。
何がやりたいのか、どれくらいやりたいのか、とか。
で、経営者のキャリアパスってのも、納得。

「では、経営者になるためのキャリアパスとは何か?」ということについて、アドバイスを送ろう。
これは私の言葉ではなく、魚谷社長が、いつか私に送ってくれたアドバイスだ。
「社長になるには、マーケティング、営業、オペレーションを経験する必要がある」
私は今、ハイアールアジアの社長をしており、その前はSPEでも日本と北アジアを統括する代表を経験した。
今ではこのアドバイスが、的を射ていると実感を持って言うことができる。
P.139

確かに絶対外せない3つだなって感じがする。
この3つの勘所押さえておけると良いんだろうな。


強みを複数持て

数学の記号に「π(パイ)」という記号がある。
私はこれからのビジネスマンはπであるべきだと考える。
どういうことかというと、πという記号は2本足で歩いている人間のように見えるが、どの業界に行っても自分の足で歩いていくには2本足が絶対必要だからだ。
今までのビジネスマンは1本足の人が多かった。
つまり、終身雇用に守られたその道一筋ウン十年という生き方だ。
でも1本足しかないと、何かあったときにすぐひっくり返ってしまう。
たとえばデザイナーなら、「私はデザインのプロです」と、そこだけを突きつめるより、経営戦略の語れるデザイナーとか、マーケティングができるデザイナーになる。
営業なら、営業一本の人よりも、営業とマーケティングの経験がある、といった具合だ。
その方が、生き残る確率も、世界中の会社から求められる可能性も高くなる。
だから、同じ仕事をし続けるのは得策ではない。
そして違う仕事をするにしても、業界を超えて仕事ができた方が、この先の世界でよリ必要とされることは、いうまでもない。
転職は社内でもできる。
1つの業界で通じるマーケッターより、どんな業界でも通じるマーケッターの方が市場価値が高いことは自明の理である。
P.104

以前、お話を聞く機会のあった藤原和博氏は三角形って言ってたのを思い出した。

藤原和博の必ず食える1%の人になる方法

藤原和博の必ず食える1%の人になる方法

まずは軸になる二本足。これは近い領域で二本持て、と。
そしてその後の3本目、これをどれだけ遠いところにジャンプできるか。
遠ければ遠いほど、三角形の面積はでかくなる。
その面積のでかさが自分の価値だと。

いずれにしても一本足ってのはしんどいってことだな。


ビジネスマインド

どんな姿勢で臨むのかっていう話。
ビジネスエリートのちょっとマッチョな考え方。
こういうマインドで生きることについていけない人もいるんだろうけど、
思うに、ここまで割り切って演じた方が結局自分が楽なんだよな、と思う。

人間だから365日、24時間自信にあふれているわけではないし、弱気になることもある。
でもそれは人前で見せなければいいだけの話。
リーダーを演じることでチームワークが良くなるなら、やらないことは職務放棄だ。
このことは、リーダーだけでなく、ビジネスパーソン全員にも同じことが言える。
できるやつ、すごいやつ、誰よりも優れたやつを演じればいい。
そして、実力が伴っていなければ笑われるだけだから、努力しようとする。
その努力がいつか「本当にできる」「本当に優秀である」ことにつながるのだ。
P.186

知識や経験は、所詮過去のものだ。
業界の知識や豊富な経験があっても、それが未来を切り開く鍵になるかといえば、必ずしもそうではない。
未知の世界で結果を出していくためには、姿勢が大事なのだ。
P.213

結局こういう、ちょっとマッチョな思考回路って、
自分で自分をだますと言うか、自分を奮い立たせると言うか、
結局自分を守るためにそれが一番合理的なだけなのよね。
人間、みんなそこまで無敵の強さを持っていないし、
サボりたいときはサボりたいし。
でもそのままだらだら生きてるだけの人と、
少しでも自分を律して良い習慣を続ける人の差は大きいわけだ。
で、自分を律するのって結局自分で自分をだますってのが多い気がする。


そして一番大事なのは主観

よく「ものごとは客観的に見ろ」と言われているが、大事なのは客観ではなく主観だ。
「自分」を持ち、自分の目で見て、考えた主観こそ、価値があるのだ。
そもそも人間は、本当の意味では客観的になれるわけがない。
俯瞰的にものを見ることができるかもしれないが、俯瞰的に見るのも、やっぱり主観だ。
P.215

これは人生の真理だね。
自分がどう思うかがとても大切。
幸せとかも主観だから、自分が幸せかどうかなんて自分次第だよなぁ。

良い主観を持ち続けることが良い人生に繋がりそう。


ビジネスにおける不言実行は卑怯だ

色々と取りとめも無くメモしてきたが、
自分が一番そっかー、と納得してしまったのが有限実行のくだり。
不言実行カッコいいと思ってました。
思春期に読み漁った歴史小説のおかげで儒教道徳が染みついてるので…

確かに、不言実行は卑怯かもしれん!改める!

自分の意思を口にする

不言実行より有言実行

日本には古来より、黙って結果を出す「不言実行」を「カッコいい」「男らしい」と評価する向きがある。
だが、私はそうは思わない。
ある意味、卑怯だ。
ビジネスでは「黙って結果を出す」ことはNGである。
できるなら事前に言わないと駄目だ。
組織はそれに期待して計画を立てるのだから。
チームプレイとは、役割分担のことに他ならない。
だから「自分がこれだけやる」というコミットを見せてくれるのならば、私はその人にプロジェクトを任せる。
かたや「自分には無理です」と謙遜しながら、あとから「やりました」と言う人は、計算もできないので、評価もしない。
「できるなら最初からそう言え」という話だ。
不言実行と有言実行とでは、不言の方がプレッシャーはない。
有言の方は「これだけやります」と言った瞬間に責任が伴い、あとにひけなくなる。
不言実行は責任が伴わない。
だから卑怯なのだ。
不言実行する本人も、達成する前に「これはできそうだ」とある程度わかっているはずなのに。
だから私は「これだけやります」と言う人間を評価する。
P.227 - P.228


どんな業界でも記録的な成果を出す人の仕事力

どんな業界でも記録的な成果を出す人の仕事力

プレゼンの目的は、相手を動かすこと! 西脇資哲/新エバンジェリスト養成講座

マイクロソフトエヴァンジェリスト、西脇さんが語るプレゼンの極意。
事細かなパワポTips集というよりは、
考え方みたいな大枠があって、チョロっとパワポのテクニックの話って感じ。
この手の本って読んだことなかったから新鮮。
自分自身、人前で話す大事な機会がいきなり2回も来たので、
資料作る前に読んでみようと思った次第。

新エバンジェリスト養成講座

新エバンジェリスト養成講座


プレゼンの目的は、相手を動かすこと!

昔は西脇さん自身、プレゼンというのは相手に伝えること、って言ってたらしい。
伝える力が重要なんだって。
でも、今は違うってのが面白い。

プレゼンテーションの目的は話すことでもなければ、作った資料を見せることでもなければ、伝えることでもありません。相手を動かすことなのです。
P.13

確かに、相手が動くってのが一番大事なことだな。


プチテクニック

プレゼンテーションの数式は、話していること=聞いていること=見ていること
P.42

これが大原則。
だから、色分けとかは重要。
アニメーションは使わない方が良いって断言してた。
マイクロソフトの人なのに(笑)

視点を誘導する、すなわち視覚に訴えることがいかに重要か、わかっていただけたことと思います。
スライドのテクニックの最後として、画像や写真を美しく目立たせるための方法をど紹介しましょう。
まずは、画像に影をつけて陰影をつけましょう。
ドロップシャドウといいます。
図形を指定したら、書式メニューの中に図の効果があります。
そこに影をつける機能が入っています。
P.104

そして、今度これ試してみよう!!


ストーリーテリングのコツ。

この3つが鉄板。
そしてこの鉄板を駆使しているのがテレビ通販ってのは本当におっしゃる通り。
ジャパネットとか、たまに見るとほんと勉強になる。

ホラーストーリー、希少性、商品の魅力-デマンドを植え付ける3つの神器として覚えておいてください。
P.72

新エバンジェリスト養成講座

新エバンジェリスト養成講座

1つのことを極める人の境地は全てに通じる。自省と自制を徹底している稀有な人。 梅原大吾/勝ち続ける意志力

梅原大吾はプロのゲーマー。
ゲームの世界を極めた人。

で、その世界一のプロゲーマーが書いた、
勝ち続けるためのノウハウがこの本。
勝つための、ではなく勝ち続けるためってのがポイント。
1回勝っただけで終わっちゃダメなのよ。
ゴーイング・コンサーンじゃないと。

だからとっても経営に通じるというか、
その考え方は素晴らしいし、共感できる。

とにかくこの人は自分がどうありたいかとそのために何が必要かを冷静に考えてる。
その自省と自制の組み合わせが偉大な結果につながるんだろうな。

勝ち続ける意志力 (小学館101新書)

勝ち続ける意志力 (小学館101新書)


目的のための最善な行動

やるべきことをやる、というとてもシンプルな考え方。
甘えとか言い訳とか、いったん自分のことは置いといて、
極力バイアスを排除してロジカルに考えてる。

他人から「ウメハラの良さはここ」と言われると、それをことごとく否定し、指摘されたプレイは極力捨てるようにしてきた。
そもそも勝負の本質は、その人の好みやスタイルとは関係のないところにある。
勝つために最善の行動を探ること。
それこそが重要なのであって、趣味嗜好は瑣末で個人的な願望に過ぎない。
P.56

この自分の良さ、と言われたことまでも否定し続けるってのは驚いた。
確かに勝負の本質はそこではないのかもしれないが、
そこまで自分にストイックになれるってのは目から鱗だったな。

筋力をつけたければ筋力トレーニングを、痩せたければそれなりの運動を、
人よりも70強くなりたかったら人一倍練習しなければいけない。
どれだけつらくても、それ以外に道はないと思う。
心だって、鍛えなければ強くならない。
P.70

こういうストイックさは普通にそう思うだけなんだけど、
でも、世の中この当たり前のことがわかってない人とか、
都合よく目をそらす人が多い。


夢という同調圧力

子供を見ていると、これからどんな同調圧力に巻き込まれていくんだろう、と不安になったりする。
世の中、そういう罠だらけだからなぁ。
まぁ、社会常識は身につけてほしいけど、がんじがらめにはなってほしくない。

とにかく、僕にとっての学校生活は納得いかないことだらけだった。
「夢を持ちましょう」そんな雰囲気にも嫌気がさしていた。
小学生の頃、教師たちがイメージしているのは、たいてい野球選手や学者や宇宙飛行士だった。
このような夢を目指すのは素晴らしいことで、それ以外の夢は認めないと言わんばかりの偏狭な夢の押し売りには辟易した。
夢と言えるのは本当にそれだけなのか。
人とは異なる未来を夢としてはいけないものなのか。
P.170 - P.171

努力とは

まぁ、こんだけやったから結果出るはずってのは、論理的には何の保証もないわけだけど、
それでもそれが安心につながるというか、自信につながるってのはあるよなぁ、と思う。
まぁいつまでもそれだと、努力に満足しちゃう落とし穴があるんだけど。
結果が出ないことを他人のせいにしだしたら終わりだよな、と思う。
全部自分のせいだよ。努力の方向性、質、量、のどっかが間違ってるんだよね、結果が出ないのって。
それを自分で気付きながら修正していけるかどうかなんだと思うのだけど。
努力=量だけだと思ってるとつまづいた時に抜け出せない印象。

当時の僕は、苦しいことを我慢することのみが真の努力だと思っていた。
ガムシャラに時間を割いたり、数をこなしたりするのは、自分を痛めつけているだけだと気づけなかった。
自分のなかに、こうすれば成長するという論理的な裏付けや確証がないにもかかわらず、自分を痛めつけることが一番の薬になると勘違いしていたのだ。
それに、間違った努力は強迫観念をも生んでしまう。
「こんなに頑張っているんだから結果が出るはずだ。
 これだけやって結果が出ないのは世の中がおかしいからだ」
そんな歪んだ思考になってしまう。
P.182 - P.183

最初から質を追い求める事は出来ない気もしていて、
ある程度量が蓄積されてから、質への転換ってイメージだな。

結局、大切なのは質であって量ではないということだ。
その身を削って1日15時間を割いたところで、成長につながる何かしらの発見があるとは限らない。
そもそも、物事の追求にそれだけの時間を割いていると睡眠時間が削られ、満足な食事もできず、体調管理が十分ではなくなってしまう。
すると、いずれ必ずガタがきて、どこかで立ち止まらざるを得なくなる。
健康でなければ良い結果を残すことができないのは、ゲームに限らずスポーツ、仕事、芸術、趣味など、どの世界にも共通することだろう。
常に高いレベルをキープし、コンスタントに結果を出し続けるという観点からすると、物事の追求に自分の限界を超えた時間を割くことは効率が良くないのではないかと思う。
P.186

セルフ・コントロール

自分で自分に義務化させるのってすごくよくわかる。
自分ルールを設定して自分でどこまで守るか、とか超重要。

易きに流れるってのは本当にその通り。

プロとはいえ定期的に試合があるわけではないので、ある程度義務化しておかないと、サボろうと思えばいくらでもサボれてしまうのだ。
1年くらいサボつても、それなりのプレイができる自信もある。
しかし、だからといって怠けることはない。
人間は易きに流れる傾向がある。
だから、継続できるサイクルを作ることは、あるいは意識の変化と同等か、それ以上に大事なことではないかと思っている。
P.201

勝ち続ける意志力 (小学館101新書)

勝ち続ける意志力 (小学館101新書)

コンテンツビジネス関係者は必読! アニータ・エルバース/ブロックバスター戦略

ブロックバスターというのはコンテンツビジネスにおける途方もない大ヒット作のこと。
ハリウッドの超大作が世界中でメガヒット、みたいなやつ。

で、映画やテレビ業界における近年の戦略として、
製作とプロモーションに途方もない金をかけて、
意図的にそれらの大ヒットを生み出しているって話。
しかもそれがどうやら有効っぽいぞ、と。

コンテンツビジネスは当たるも八卦、当たらぬも八卦の博打っぽいところが
あるビジネスなのだけど、ヒットをコントロールするドライバーとして
桁外れの金をつぎ込むことが理に適っているという話はとても面白い。

ブロックバスター戦略―ハーバードで教えているメガヒットの法則

ブロックバスター戦略―ハーバードで教えているメガヒットの法則


流通コントロールの側面としてのブロックバスター

製作費にいくら突っ込んだか、どんなスターが登場するか、
プロモーションを超大規模に打つこと、
製作側がそこに勝負をかけていることの1つの証明が、
いくら突っ込んでいるか、ってことになる。

作品が面白いか、面白くないか、そんなことよりも
わかりやすい指標なわけだ。

エンターテインメント企業がブロックバスターに大きく賭けることをやめると、チャネルに対して企業が行使していた力が次第に衰えることがわかる。
ほとんどのメディア市場では、小売店からの支持が販売の決め手となる。
映画業界では、公開後の数週間に映画館経営者からあてがわれるスクリーンの数が、映画のそれ以降の収益を予測する最大の手がかりとなる。
映画館経営者は、自館の限りあるリソースに値する作品だという確証が欲しい。
スタジオが並々ならぬ熱意でその映画を後押ししており、大がかりな販売キャンペーンを企画しているという事実が、彼らにとってその何よりの裏づけになる。
P.54 - P.55

それは小売がどの作品を扱うか、という選択において有効であるだけではなく、
消費者の選択も同じ様な心理が働いている。

今や多くのエンターテインメント企業に採用されているブロックバスター重視のマーケティングは、何もないところから生じたわけではなかった。
実は、豊富なエンターテインメント作品の中から、消費者が作品を選択する方法を反映しているのだ。
生来人間は社会的生物なので、一般的にいって、ほかの人だちと同じ本を読んだり、同じテレビ番組を見たり、同じ映画を観たりすることに価値を見出す。
人間は勝者を好むものだ。
P.57

だから、ヒットがヒットを呼ぶ、売れるものがより売れるといった、
一部のヒット作への上位集中が進むんだな。


ブロックバスターだけを作ってるわけじゃない

じゃあ、みんな毎年2、3本に絞って金かけまくってやればいいじゃん、となるのだけど、
そうはなっていない。なぜか?

ここで重要なのは、エンターテインメント企業の幹部がなぜブロックバスターに勝負を賭けるのか、ということではない。
真に問題となるのは、彼らがなぜ低予算の作品を依然としてつくるのか、ということだろう。
P.62

こういう問いの立て方は面白い。

第一に、低予算の投資はテストケースの役割を果たせるからだ。
小さな賭けを妥当な数だけ行えば、メディア制作者が次の大ヒットシリーズを見出す手がかりとなる。
映画業界では、続編がブロックバスターを狙ううえで最も安全な一手とみなされており、低予算の投資は続編を生み出せる映画を発掘するのに役立つのだ。
(中略)
低予算投資のもうひとつの利点は、バンパイア映画からオーディション番組まで、商品の新たな形式を試せる点だ。
範囲を狭めて投資することにより、あるタイプやジャンルが利益をあげることが、自ずと明らかになる場合もある。
たとえば、超低予算のホラー映画などがこれに当てはまるようだ。
また、低予算の賭けは、メディア制作者が″輸送経路を満たす″ためにも役立つ。
結果として作品を販売する企業に、常に満足感を与えられる。
たとえば、新作を市場に絶え間なく送り出す出版社は、書店との関係を維持・構築しやすくなる。
すると、その出版社は書店に対して、大幅な値引きや店舗内の設置場所、その他マーケティング活動でも有利に交渉を進める立場を得られる。
P.62 - P.63

細かなテストマーケティングとしての作品製作、
ヒットの端緒を掴んだらためらうことなく金をつぎ込み、
ブロックバスターを育て上げる。
テストと育成の仕組みがある程度出来上がりつつあるということ。


マーベルのやり方には日本の出版も見習うべきところが多数

プロモーションはスタジオ側にやらせる。
で、コミックスやグッズの売り上げでしっかり稼ぐ。
研究開発に専念している感じ。

日本の出版社も似た様なモデルではあるのだけど、
マーベルほど強い立ち位置で君臨出来ていない。

マーベルの経営幹部は、商品開発費と広告宣伝費を最小限に抑えるビジネスモデルを打ち立てた。
この2つの費用は、ブロックバスターを売り込むとき大きな財政負担となるからだ。
マーベルは自社の費用を最小限に抑えて、キャラクターのライセンス契約先のスタジオに費用を負担してもらうことにした。
その仕組みを紹介しよう。
マーベルは、コミックブック、おもちや、メディアーライセンシング、消費財ライセンシングを担当する各事業部をもつことで、小さなコングロマリットのように機能していた。
キャラクターやストーリーはコミックブック事業部で開発される。
事業部は実質的に、研究開発センター、またはアイデア養成所のような役割を果たしていた。
しかも、きわめて効率の良い養成所だ。
コミック出版は比較的費用がかからず融通が利くので、通常の印刷部数なら、わずか1万ドルから2万ドルしかかからない。
マーベルはパートナー契約を結んでいる映画スタジオに、自社ブランドの広告宣伝を任せていた。
映画スタジオとのライセンス供与契約に、マーベルは映画製作費用およびマーケティング費用は負担しないと明記されていた。
「通常、わが社は3000万ドルから8000万ドルほどを、映画の広告宣伝に費やしてもらった」。
アラッドは2004年、インタビューでそう語った。
「おかげで、評判は野に放った火のようにすごい勢いで広まった。
世界中でマーベルというブランドと個々のキャラクターが取り上げられるようになった」。
その結果としてブランドにもたらされたプラスの影響について、クネオはこう説明した。
「わが社の映画を観た人は、わが社のコミックブックやビデオゲームに興味をもつかもしれないし、マーベルのキャラクターが描かれたTシャツや、ほかの消費財を買うかもしれない」。
P.75

消費者とブロックバスター

社会的影響力は、大衆文化の市場において強い力をもつ。
わたしたちは社会的存在なので、ほかの人が聴く音楽と同じ音楽を聴きたがり、同じ本を読みたがり、同じ映画を観たがるものだ。
端的にいえば、わたしたちは繰り返し人気商品を選んでいるものなのだ。
たとえトップと次席の差がほんのわずかであっても、経済学者が示すように、この傾向は出だし好調な商品に有利に働くことがある。
ある商品が発売最初の週に競合商品を押しのけてトップの座に就けば、職場のおしゃべりでも取り上げられるかもしれず、最終的に商品の売れ行き全体に大きな違いをもたらすかもしれないのだ。
P.98

「わたしたちは社会的存在」ってのはすごく本質をついてる。
それぞれクラスタは違うんだけど、結局仲間内で共有できる何か、を求めてるんだよね。
それが『ハリーポッター』の場合もあれば、『MAD MAX』の人たちもいたりする。

ここで書いてある通り、出だし好調な商品にかなり有利に働く様になってる気がする。
Winner Takes Allはコンテンツ産業でも確実に進行してる。

エンターテンイメント商品は、体験型の商品なのだ。
消費する前に商品の質を確実に評価できないから、消費者がろくに考えもせず目の前に置かれたものを選ぶといっているわけではない。
広く流通させてマーケティングすることが、違いを生み出すといっているのだ。
P.100

そしてこういう商品特性だからこそ、口コミとかが効くわけだよね。
みんなハズしたくない。


スーパースターの呪い

スターが出演することは、それだけで話題性をもたらすのだけど、
スターのギャラの高騰によって採算はあまりよくないって話。
結局スター自らが積み増した利益分を、スター自身が自分のギャラとして取っ払っていく。

2000年代半ば頃、スターとスタジオの主導権争いは映画スタジオの採算性に貢献しないことが、一層はっきりしてきた。2001年から2005年までの配役決定について1200 件以上を調べた著者のリサーチから、一流俳優の主演映画は確かに大きな興行収入をもたらすが、出演料の高騰のせいで、スターがもたらした利益も一掃されるとわかった。
結局スタジオには、それほど有名でない俳優を起用した場合の利益と同じほどしか残らない。
言い換えれば、当のスターたちが、自分がもたらした余剰分から一番多くを得たということだ。
仮にスタジオがジョニー・デップを主演に据えたおかげて2000万ドルの増益となったとしても、デップが同額の報酬を要求したら、スタジオの損益にはまったく貢献しない。
これは数多いリサーチのI件にすぎないが、映画業界に関するほかの学術的調査も、「スーパースターの呪い」ともいうべきこの現象を裏づけている。
P.177

スターが、それだけのギャラを取れるようにまでなったこと自体も面白い。
でもあくまでも採算が合わない水準は長続きしないだろうなぁ。


大して好きじゃない人たちを動かす

要するに、映画好きとか言ってるけど、
大して見てないしっていうぬるーい人たちが人気商品の支持者層。
無名商品買うのはオタク。
まぁ、そういうもんだよね。

人気商品の支持者のうち極端なほど大多数の人たちが、どちらかというと淡泊な消費者(特定の種類の商品をそれほど頻繁に購入しない)で、無名商品の支持者のうちごくごく少数の人たちが、どちらかというと旺盛な消費者(その種の商品を頻繁に購入する)であることを発見した。
言い換えれば、無名の商品は、それに代わる多くの選択肢をよく知る人たちに選ばれ、人気商品は、他の選択肢をほとんど知らない人たちによって選ばれる。
P.226

で、そういうふわふわした、ぬるい大衆を動かせるとヒットするんだよなぁ。

で、ネットの普及とともにロングテールの可能性が喧伝されたけれど、
ビジネスで重要なのはやっぱりヘッドなんじゃない?って話も。

「テールは非常に興味深いが、現実として、収益の大部分は相変わらずヘッドにある。
これは企業が学ぶべき教訓である。
ロングテール戦略を擁する一方で、ヘッドももつほうが良い。
それは、ヘッドこそが収益を生み出す場所だからだ」。
シュミットはこれを「90対10のモデル」と称して、「われわれはロングテールを気に入っているが、わが社の収益のほとんどはヘッドからあがる」と述べた。
グーグルが実際に、収益の90パーセントを上位10パーセントの広告主からあげているとすれば、同社がビジネスを行っている大半の相手はおそらく、グーグルが検索連動型広告を開拓する以前の従来の市場で活躍し、従来のメディア広告で今なお最大のシェアを誇る大手広告主ということになる。
P.228

グーグルですら、収益のほとんどをヘッドから上げている。
テールの集積は確かに売上高としては相当量あるのだろうけど、
収益という観点からはロングテールは有効ではないのかも?


デジタルの進展とブロックバスター化の加速

電子書籍は安くて当たり前的な消費者の発想。
まぁ、気持ちはわかるけどね。
でももはやコンテンツは無料が当たり前みたいな感覚が
すごく強くなってるからな。

読み放題、見放題の普及で個別タイトルへ金を払う感覚ってどんどん希薄になってる気がする。
コンテンツホルダー側も、あんなサービスになんでコンテンツを提供するのか謎。
どうやったってマネタイズできないような過去のクソコンテンツだけあてがっとけば良いのに。
胴元の取り分が大きすぎるからあれに乗っかるのは本当にバカらしい。

消費者は普通、エンターテインメント商品の独特のコスト構造についてほとんど知らないので、どのくらいの代金が適正なのか、正しい認識をもちにくい。
著者の見るところ、世間一般の人々は、(ハードカバーの書籍やCD、DVDなど現物商品の製造や梱包、出荷にかかるコストを高く見積もる傾向がある。
そのせいで多くの人は、デジタル商品(コストの多くが削減される)について、メディア企業が実際に提供できる価格より、はるかに安い価格で購入できるはずだと思い込む。
P.240

で、ちょっと話は変わるけど、デジタル化の進展がブロックバスター化を助長するという話。

全般的に見て、デジタル技術の進歩は一見、″民主化を促す″影響力があるかに思えるが、現実には正反対の力をもつ傾向がある。
かえって、一極集中化とひとり勝ちの力学を助長するのだ。
メディアーコンテンツの再生産、流通、消費を容易に、かつ廉価にすることで、新技術は世界中の人々に、人気の高いテレビ番組や映画、書籍を入手する手段を次々と与えている。
このように急速に進展する市場において、ブロックバスターとスーパースター起用の妥当性は高まり、ブロックバスター戦略の有効性も強まっている。
P.246

個人的にはこの辺の話がすごく面白い。
趣味嗜好は多様化していくように思えるけど実はしていない。
消費者は自分で選んでいるように見えて、実は選ばされている。

コンテンツビジネスはまだまだおもろい!

ブロックバスター戦略―ハーバードで教えているメガヒットの法則

ブロックバスター戦略―ハーバードで教えているメガヒットの法則

マイケル・アブラショフ/アメリカ海軍に学ぶ「最強のチーム」の作り方

とある日のこと、知人がビジネススクールの教授に、
部下のマネジメントに関して相談したそうな。

そしたら先生から一言質問、その部下たちは頭良いのか?と。
答えて曰く、あんまり頭良いほうじゃないです、と。

それならこれ読め、とオススメされたのがこの本だったらしい。

そんな噂話を聞いて、自分でも読んでみたくなったので読んでみた次第。
まぁ、マネジメントには色々なスタイルがあるし、
正解はないのかもしれないけれど、この人のケースは成果を上げた一つの事例ではある。

アメリカ海軍に学ぶ「最強のチーム」のつくり方

アメリカ海軍に学ぶ「最強のチーム」のつくり方


議論は議論

議論は尽くすほうが良い。
でも一度決まったら、自分の意見とは違ったとしても決まったことの実行に全力を尽くす。
これがとても大切。たまにこの辺がわからないバカがいるけど本当に良くない。

くだされた命令が自分の意見と一致しない、それでもそれを執行する責任がある、ということはたびたびある。
どうしても異議があれば、上司と話し合うことが必要だろう。
だが、もし議論に負けたのなら、その命令を100パーセント納得して実行することも大切だ。
P.52

それと、部分最適の集合が全体最適になるわけではないので、
取り上げられなかった意見が間違いというわけでもない。
ある部分においては正しい意見を言っていることは往々にして多い。
中途半端に頭の良いやつはこの辺でつまずく。
正しいこと言ってるはずなのにわかってもらえない、みたいな。
でもお前が見ている範囲は全体からしたらごく一部でしかないんだよっていう。


帰属意識

確かに自分の仕事への帰属意識とか、誇らしさみたいなものを
一人一人が持てると素晴らしいとは思うけど、
多少洗脳じみたことも必要になってくるよなぁ、と思ったり。
まぁ、ビジネススクールではビジョンとか言うけど。

私の部下たちは、さまざまな寄港先で、新しい友だちを文字通り、何十、何百人もつくっているようで、彼らが熱心に艦に招こうとするのを見て心を打たれた。
彼らがペンフォルドを誇らしく感じているのは明らかだった。
企業もこうした誇りを生み出すことができるはずだ。
社員が自分の職場を友人に見せたくなるような場所だと考えるようになれば、どんなにすばらしいだろう。
もし社員がそうした帰属意識を持つなら、ささいな原因による職場での不和など消えてなくなるはずだ。
P.228

まぁ、育児みたいなもんだな

部下の成長を喜びとするってこと。
まぁ自然とそうなってくる気はする。
部下が成長したなぁ、っていう実感が喜びになるんだろうな。

そこを履き違えなければ良いマネジメントができるのだと思う、多分。
少なくとも部下の手柄を横取りしようみたいな上司は、
何もわかっていないってことだな。

人はみな自分がいかにうまくやったかということにこだわるが、指導者の最大の満足感は、個人の業績を超えたところにある。
それは他の人問の能力を引き出すことである。
ペンフォルドでの任期中、問違いなく私はその衝動に突き動かされていた。
P.237


アメリカ海軍に学ぶ「最強のチーム」のつくり方

アメリカ海軍に学ぶ「最強のチーム」のつくり方

ワークフローをプログラマー的な視点で見るといいかも? 清水亮/最速の仕事術はプログラマーが知っている

まぁタイトル通りのお仕事術の本。
効率化のためのTips集でもあるのだけど、
どこに注目して工程の無駄を省くか、という考え方の本でもある。

別段ものすごく目新しいことが書いてあるわけではないと思うけれど、
ワークフローの無駄に眼を光らせ、合理的な解決策を導き出す、
この思考回路がプログラマーとしての思考と親和性が高いってのはよくわかった。

まぁ頭の良い理系って文系的なバランスがとても良い印象。
賢い人は文理の壁を越えるんだな。

中途半端が一番良くない・・・。

最速の仕事術はプログラマーが知っている

最速の仕事術はプログラマーが知っている

最速の仕事術はプログラマーが知っている

最速の仕事術はプログラマーが知っている

ネットの情報は価値なし

便利になったけど、そこに公開されている情報は誰でもアクセスできるものだから
本質的に差別化要因にならないって話。

「重要な情報」とは、競争相手に勝つためのヒントになるとか、その情報自体が大きな資産価値を持つ、というものだとここでは定義する。
とすると、当然ながらすべての人々に無償で提供されている情報に重要な価値があるわけがない。
例えばWikipedia は非常に有用ではあるが、Wikipedia に書かれた記事から利益を生むような価値を生み出すことはとても困難である。
このとき、Wikipedia の情報は有用ではあるが重要ではない、と定義することにしよう。
ということは、本質的に重要な情報はWebで検索できないのである。
重要な情報というのは格差の中にあるわけだから。
「みんなが知ってて当たり前」の事実だけをもとに価値のある情報を選びとるのはとても困難だ。
P.83

この話って以前読んだ内田和成『プロの知的生産術』でも言ってたことだな。

digima.hatenablog.jp


サイトのアーカイブ

これは、メモ。面白そう。

「この企業のかつてのWebサイトはどのようなデザインだったか」という、時系列の変化を追いたい場合は「Internet Archive: Wayback machine (http://archive.org/web/)」が有効である。
このサイトは過去の4600 億以上のWebサイトをそのまま保管しており、有名なサイトなら過去の任意の時点のページを参照することができる。
いわばインターネット全体の歴史が保管されている。
P.86

クリエイティビティは移動距離に比例する

そうなんだ、初めて聞いたよ・・・
まぁ、ゲーム業界じゃないから仕方ないのかもしれんけど。

ゲーム業界では古くから「クリエイティビティは移動距離に比例する」と言われている。
しかもできるだけ低い位置の移動がいい。
低い位置、というのは、つまり飛行機よりも電車、電車よりも自動車、自動車よりも自転車、自転車より……も徒歩ということだ。
P.95

経営者は本質的にニート

たしかに、字義にもかなってるし、
経営者は働いたら(自分の手を動かしたら)負け、なのは確か。

私はよく、自分の職業を聞かれた際、「ニートです」と答える。
なぜか?NEETとは、Not in Education, Employment or Training の略だからである。
私は誰かに雇用されている(Employment)わけではないし、教育を受けている(Education) わけでも、訓練中(Training) でもない。
つまり経営者は本質的にNEETなのだ。
NEETといえば、「働いたら負け」である。
P.150


最速の仕事術はプログラマーが知っている

最速の仕事術はプログラマーが知っている

最速の仕事術はプログラマーが知っている

最速の仕事術はプログラマーが知っている