ビジネス書大好きMBAホルダーが教える私の学びシェア

本を読んでそこから新しい知識を得たり、学んだりすることが大好き。学びたい、成長したいという意欲のあるビジネスマンの皆さん、一緒に成長しましょう。

集合的感情のフィードバックループの話は、なんか怖いな。 エヤル・ヴィンダー/愛と怒りの行動経済学 賢い人は感情で決める

行動経済学が好きだ。
人間の矛盾や錯覚、非合理性の事例がこれでもかと出されていて、
合理的な人間像を覆してくれるから。あるいは思わぬ合理性に気づかせてくれるから。


愛と怒りの行動経済学:賢い人は感情で決める

愛と怒りの行動経済学:賢い人は感情で決める

感情と身体感覚

胃は脳を除けば、神経伝達物質、特にセロトニンが盛んに活動する唯一の部位である(セロトニンの量が適切でないと、抑うつなどの様々な精神症状が引き起こされる)。消化器系はセロトニンを用いて食物を分解し、栄養素を腸に運ぶ。消化器系は脳からの指令がなくても自律的に活動する唯一の器官系である。ニューヨークのコロンビア大学脳科学者、マイケル・ガーションは、豚の腸を摘出して途方も無い実験をおこなった。腸の一方の端から入れた食物は、何もせずとも反対の端まで送られた。腸に抗うつ薬プロザックを少量注入したところ、消化速度は二倍になったという。
P.21

のっけから感情と内臓の関係についてギョッとする話から始まる。
感情は身体の色々なところに影響しているんだな。
消化不良は悪夢を引き起こすという話もあるらしい。
これなんかは物理的な状態が、感情に働き変えてくるパターン。

最後通牒ゲーム

プレイヤーAが100ドル持っていて、それをBに対していくら分配するかを決める。
Bが承諾すればその通りに分配される。拒絶されたら100ドルは没収、お互い何も手に入らない。

合理的な解としては、Bは1ドルでももらえるならば得するので、拒絶する理由がない。
なのでAはBに対して1ドルのオファーしか出さない。

ところが、これを現実でやると、概ね35%以下の配分では拒絶されることが多いという結果になるらしい。
それはつまり、35ドルもらえるチャンスを捨ててでも、相手が65ドルももらうチャンスをなくす行動に出るということ。

集合的感情

人は周囲にいる他の人の感情へ影響を与えているし、自らも受けている。
集合的感情にはフィードバックループが効いていて、一度一緒に盛り上がり始めると、
どんどん興奮状態になってくる。
逆に一人ではそこまで高揚しない。
サッカーの試合で盛り上がるのも周りのファンと一体になって応援するからだし、
アイドルを目の前にして興奮し、失神するのは他のファンも周りにいるときに限られる。


愛と怒りの行動経済学:賢い人は感情で決める

愛と怒りの行動経済学:賢い人は感情で決める

人間は人間が知覚できるセンサーで知覚しているに過ぎなくて、 センサーが変われば、違う知覚のされ方があるでしょうという話。 落合陽一・清水高志・上妻世海/脱近代宣言

落合陽一、清水高志、上妻世海、三人の鼎談。
フランクな対話の中で、落合陽一が何をどうやって脱近代しようとしているのか、
彼の関心領域とか、何をしようとしているのかが語られている。

脱近代宣言

脱近代宣言

実はきっかけは上妻世海だった。
彼の『制作へ』を買って、読み始めたら、
なんとなく落合陽一に通じる部分あるかも?と思っていたら、
あれ?あの鼎談本に出てるの上妻世海じゃん、
こっち読んでから『制作へ』読んだ方が理解できるかも、と思って読みだした。

制作へ 上妻世海初期論考集

制作へ 上妻世海初期論考集

マイブリッジの馬

走行中の馬の4本の蹄が同時に地面につくのかどうかが賭けの対象になったんですが(以下略)
P.24

微妙にニュアンスが違って、4本全ての脚が離れている瞬間があるかどうかの賭けだったと思うんだよね。

ja.wikipedia.org

コンピューターの知覚

ディープラーニングのGANという手法で学習させているコンピューターに以下の画像を認識させると90%以上の確率でこれは○○である、と認識を騙せる画像がこれ。スクールバスはただのボーダーに見えるけど、コンピューターにはこれがスクールバスに見える。

http://www.evolvingai.org/sites/fish34.cs.uwyo.edu.lab/files/diversity_40_images_label.png

この事例を取り上げながら落合陽一は、人間に知覚できない特徴をコンピューターが知覚している、と言っている。
人間は人間が知覚できるセンサーで知覚しているに過ぎなくて、
センサーが変われば、違う知覚のされ方があるでしょう、と言っている。

犬が匂いを知覚する感覚は人間には想像もできないだろうし、イルカの超音波によるコミュニケーションも人と全く違う。

「空間にそういう構造を、人間に知覚不能なレンジで構成可能か?」と言われたら、それはホログラフィで構成可能です、みたいな。あとは強度の問題なので、「可視光以外でも使えるんじゃないですか」という話になってくるわけです。
P.62

人間の知覚以外の方法で世界を記述する、そういう考え方があるんだなってことが知れた。

脳の成長

みなさん実体験として、小さい頃に天井を見ていると顔がたくさん見えていたでしょう。だけど今はもう見えないですよね。いつから見えなくなってしまったかは、もう覚えていないと思いますけど、大人になると見えないんですよ。それは脳が発達したからなんです。脳が発達する前の子供は、明らかに事前に導入された特徴量で動いているんです。それをぼんやり見ているから、変なところに顔が見えるとか言い出したり、なにか怖いとか言い出したりするんです。
P.137

特徴量の検出問題と説明されるとなんかすごく納得。

最近一番面白かったのは、赤ちゃんが泣いている時の音声の周波数というのは結構高めなんだけど、その周波数帯の音が鳴ると彼も泣くんですよ。周りで誰かが泣いていると勘違いしているのかもしれない。「君が聞いたのはただのテクノだよ」みたいな。でもその区別がつかない。
P.138

このエピソードも面白い。
人は脳の成長とともにだんだん特徴量の検出精度が上がっていって、
違いを判別できるようになっていくんだね。

脱近代宣言

脱近代宣言

自分の価値観で生きることはとても大切。幸せかどうかを決めるのは他人じゃなくて自分。 池田達也/しょぼい喫茶店の本

twitterでなんとなく話題になっているなぁくらいの気になり方だったのだけど、
読んでみようと思って読んでみたら、しょぼい喫茶店ができるまでと、できてからの
試行錯誤が素直に綴られたドキュメンタリーだった。

しょぼい喫茶店の本

しょぼい喫茶店の本

週価値に失敗し、留学も途中で挫折、
やることなすこと中途半端で続かない。
でもそんな自分が一番嫌いなのは自分、と言う
自己肯定感崩壊スパイラルみたいな人生から、
自分らしく生きることへの開眼、喫茶店の開業と物語は進んでいく。

これって喫茶店開業を通じた再生の物語。
でも一応一通り読むと、こうすれば喫茶店できるのかってことはわかる。
茶店が大変だってこともわかる。

思ってたよりも良いお話だったので、
ちょっと応援したくなる。

自分の価値観で生きることはとても大切。
幸せかどうかを決めるのは他人じゃなくて自分。
自分次第で同じ状況でも幸せにも不幸にもなれる。

これがわからないと、物や金にいくら恵まれてもきっと不幸なんだと思う。

本書はそれを実践して、人生のどん底から再生した人の物語。
飾らずに書かれていてリアリティーがあるから説得力がある。

就活などに象徴されるいわゆる普通のレールに乗れなくて、
それに凹んでいる人たちに本書が届くと良いな。


しょぼい喫茶店の本

しょぼい喫茶店の本

共感をどう作るかってのはSNSに限らず、全てのサービスやプロダクトのマーケティングに必要な視点だよね。ゆうこす/共感SNS

ゆうこすのSNS虎の巻。

ゆうこすはとても頭がいい。
とても戦略的にSNSを使っている。
そう言うことがよくわかる本。

共感SNS 丸く尖る発信で仕事を創る

共感SNS 丸く尖る発信で仕事を創る

タグのつけ方1つ取っても、ユーザー目線。
ユーザーが検索するならなんて打つか?
そこからタグを考える。

ちょっとしたことなのかもしれないけれど、
ちょっとしたことでもユーザー目線で思考できることこそが
成功の秘訣なんだろうな。

あとゆうこすは共感をどう作るかって言う視点で考えている。
共感が応援に変わるから。
この共感をどう作るかってのはSNSに限らず、
全てのサービスやプロダクトのマーケティングに必要な視点だよね。

結局彼女は正しい目的意識=共感を生み出す、に対して、
投稿と言うアクションごとにめっちゃPDCA回して今に至ってる。

人脈は必死に作るって言うくだりも、ガッツというか、営業魂を感じるな。
見城徹に憧れていたゆうこすが彼に初めて会うとき、
著作にプッチを着た女性が好きと書いていたのを思い出し、
エミリオ・プッチを買って臨んだっていうエピソード、すごいよね。

そこまでやる必要ある?とか斜に構えたことはいくらでも言えるし、
大抵のやつはそういうことごちゃごちゃ言ってやらないんだけど、
それでもやり切ることの凄さなんだよな。

共感SNS 丸く尖る発信で仕事を創る

共感SNS 丸く尖る発信で仕事を創る

eスポーツと言うと格闘ゲームのイメージが先行していたんだけど、そんなことまったくないのね。 但木一真/eスポーツ入門

プロゲーマーと言うと梅原大吾のイメージが強くて、
それもあってeスポーツと言うと格闘ゲームのイメージが先行していたんだけど、
そんなことまったくないのね。

それくらいよくわかっていない人のための入門書。

1億3000万人のためのeスポーツ入門

1億3000万人のためのeスポーツ入門

eスポーツのwebメディアもこれを読んで初めて興味を持った。

shibuya-game.com

まぁでもやっぱり自分がプレイしていないとこれ以上深くは突っ込めないよなぁ。

あと本書で知ったプロチームのラッシュ。

www.youtube.com

プレイ動画を公開してたり、頑張ってる模様。
市場はどんどん拡大してきているようで、日本でも有望なマーケットなんだろうな。

本書にはゲーマーが語る章もあるんだけど、
そこで語られていたいくばくかの感傷を伴う回想は、
瞬く間に飲み込まれていく気がしないでも無い。

これが金になる、と踏んだら資本の波が押し寄せてきて、
それまでのコミュニティ感覚とはまったく違うものが出来上がっていくんだろうから。

どちらかと言うとチームをスポンサードしたりする方に興味あるな。

1億3000万人のためのeスポーツ入門

1億3000万人のためのeスポーツ入門

組織で意見を通していく際に大事なことが書いてある。 本書はここの丁寧さがものすごいから全若手必読。 森岡毅/マーケティングとは組織革命である。

USJのV字回復の立役者、森岡さんの本なのだけど、
統計的な手法で反響を予測しながら投資を実行し、成功に導いた話とはうって変わって、組織の話。

でもこれで納得がいったよ、数字がないのは論外だけど、数字だけでも組織は変われない。
組織を動かす、人を動かすところをちゃんとできる人がさらに数字に強かったと言うことなんだな。

新人や中堅どころの人に教え諭すように丁寧に書いている本という印象。
ちゃんとこういう話してくれる人ってあんまり会社にいないんだよね。

上下関係がありすぎると組織が腐る

幸いそこまで感じたことはないのだけど、
役職名で呼ぶ会社とか上位下逹の年功序列の会社とかって
本当にあるらしいし、そんな話を聞くと地獄だなと思う。

例えば、知人の勤める某大手メーカーでは、新製品調査ではなぜかOARをあえて質問しないのです。質問するのは彼らが研究開発に力を入れた一つ一つの細かい項目(例えば、静粛性、握りやすさなど)のみです。それらの項目で既存品や競合製品に勝てば商品開発部門として評価されるのはわかるのですが、その細かい項目がOARにどう影響を与えているのかを見ないことには、その調査はほとんど意味がありません。
そこでOARを聞くように知人が質問票を変更しようとすると上司に厳しく怒られたと。「そんなことをするとその研究項目が総合評価に意味がないことが露見する。それが部として非常にまずいことくらいわからないのか!」と叱責されたそうです。
P.65

まぁ多少の脚色はあるのかもしれないけれど、働く目的がずれてる人は往々にしていらっしゃるから、
こういうのがのさばってる会社もあるんだろうなぁ。

役職の階級を意識するクセは染み付いていて、課長は相手の課長と話す、相手の部長が出てくるようならこちらも部長を出すといった作法に皆が気を遣っている
P.93

その上で、このように階級社会が出来上がっているともう役職が下の人がいる意味がない。。。

だから本当に人を役職付きで呼ぶ文化はクソだと思うよ。

評価制度

給料を下げないということは上がらないということ。
評価制度をやっても、変化の幅が小さいと頑張ったやつは失望し、
頑張ってないやつは安堵する。
つまり、組織のパフォーマンスはめちゃ落ちる。

ほとんどの会社に当てはまる最優先の対策は、これら「マーケティング・システム」「意思決定システム」「評価報酬システム」の3本の釘に集中して、社員の自己保存と会社の目的を、しっかり一致させることだと思います。
P.172

社内マーケティング

第二部はものすごーく個人として組織で意見を通していく際に大事なことが書いてある。
本書はここの丁寧さがものすごいから全若手必読の内容。
どういった視点でものを考えるべきなのか、自分の意見が素晴らしいはずなのに、
通らないのは何故なのか、というメカニズムを教えてくれる。
こういう話をちゃんとしてくれる先輩や上司っていないと思うんだよね。
それをここまで噛み砕いてくれる本書は、めちゃ貴重。


そもそも上の立場の人間と現場絵は視座と視野が違う。あと情報の非対称性もあると思ってる。
だから自分がいいと思っているアイデアも所詮部分最適に過ぎなくて、
全体最適上望ましくないものになってる可能性だってある。
それを絶対こうしたほうがいいのに分かってくれない、と思うと自分の成長が止まるぞ、というお話。
だから上司の期待値とか、今何が課題なのか、とかそこらへんの目線を合わせた上で頑張らないと、
努力の方向性が間違ってるって話になっちゃう。

いくら事業者がこれはいいものだと喚いても、顧客に知覚された価値しか存在しないも同然なのよ。 山口義宏/ブランディング デジタル時代の基礎知識

ブランドとは?の入門書。
平易だけどエッセンスがまとまってる。とても良い入門書。

消費者に識別され、価値を想起してもらう

顧客のパーセプションがすべてで、どう認知、識別されるかが重要。
顧客に知覚された価値しか存在しないも同然なんだよね。
これがマーケティングの基本中の基本。

ブランドとは「識別記号と知覚価値が結びついたもの」です。たとえ圧倒的に優れた性能の商品をつくったとしても、消費者が存在を知らなかったり、「性能が優れている」と認識してもらえない限り選ばれません。

その上でさらに、

ブランドへの知覚価値は生活者が主語になるものと、ブランドが主語になるもの、双方が対になって構成されているということ。
P.68

この主語ってとても大切なことなんだよね。
お客様を主語にすることができているか??

例えばメールアドレスを手に入れてメルマガ送れるようになった時に何を送るのかって話。
メルマガは事業者の都合ありきで書かれているものがほとんど。
直接的なコンバージョンにつながらない内容でも、お客様にとって興味を引くような内容のものこそ送るべき。
接触頻度が高くなればなるほど、お客様が主語になった内容が求められる。