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不言実行は卑怯だ、って言われて納得してしまった! 伊藤嘉明/どんな業界でも記録的な成果を出す人の仕事力

『どんな業界でも記録的な成果を出す人の仕事力』
この本のタイトルの胡散臭さ、バカっぽさは、
売るために必要なことだろうとは思っていてもちょっと引く。

このタイトルにつられて読む人がバカっぽく見えるタイトル。
いやなんでそこにこだわるかと言うとこの本が結構良い本だからなんだけど。

タイトルの胡散臭さは置いといて、ハイアールの伊藤社長の本だ、というと
一瞬くだらないと思ってそっぽを向いたビジネスパーソン
手に取ってくれるかもしれない。
まぁそういう売り方が良くわかる帯のデザインだよね。
帯は伊藤さん推し。
情弱にはタイトルで、情強には伊藤さんで売る。

経営誌やビジネス誌でもちょいちょい出てきている人で、
その経歴も華々しい。
日本コカ・コーラ、デル、アディダス ジャパン、
ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
ハイアール アジアというこのラインナップの華やかさも凄いけど、
本当に凄いのは数年ごとにあえて未経験の業界に飛び込み、結果を出していること。
いわゆる業界を限定しないプロ経営者のキャリアを歩んでいる。

まぁある種のビジネスエリートのマインドがストレートに出てる本書は、
できる人には当たり前のことなのかもしれないけど、
とてもわかりやすくて面白かった。

どんな業界でも記録的な成果を出す人の仕事力

どんな業界でも記録的な成果を出す人の仕事力


よそ者であることを恐れない

「ポツと出」の意見より「その道のプロ」が考えることの方が絶対正しい。
多くの業界人が、そう考えている。だが、それは思い込みに過ぎない。
P.24

業界の慣習とか、常識に縛られていると確かに当たり前に思ってしまうけど、
自業界の常識は、他業界の非常識だったりするってのは、本当にあるから面白い。
MBAで色んな業種の人たちと話しているとその視野は広がる。
時に話がまったく通じないくらい前提が違ったりするからなぁ。


低迷している業界は・・・

これはあくまでもメーカーサイドのポジショントーク的な文脈もあるんだけど、
それでも自業界にとって、本当にお客様のためになることは何なのかってのは、
ちゃんと考えないといけない問題よね。
出版業界とか、ファッション業界とか、長期低迷市場って
どっか根本でずれているような気がする。

自分で自分の商品価値を落としたり、大事なお客様をぞんざいに扱うような業界に未来はない。適正価格を守り、業界や企業、そして結果的にお客様を守るのは、メーカーなのだ。
P.59 - P.60

それと昔は儲かってた、に依存しすぎてるってのもあるよな。

SPEが傾きかけだのは、ビデオ業界が好調だったときに入社してきた人たちが中堅幹部になったころだ。
1本1万何千円もするビデオが放っておいても売れた時代。20代、30 代、濡れ手に粟でやってきて、中堅幹部が40、50代になったときに、急に傾いてきた。
でも、どうしようもない。
なぜ変化についていけないのか。
それは絶好調のときに、若手で入ってきた社員というのは、どうすれば生き残れるかを考えるスキルが身についていなかったから。
考えなくても毎日儲かった時代が、あっという間に10年とか15年たってしまっていたのだ。
P.108 - P.109

結局、市場が傾いたときに踏ん張らなきゃいけなかった中間層、経営層が、
それまで思考停止でも儲かってたからボンクラ化してる…。
そういう会社が年功序列の会社だったとき、
組織が全うな物になるのに相当時間がかかる。てか、無理かもしれない。


これ真似できるかも?戦略的アカウント計画

ファクトブックを徹底的に整理しておくこと。
これは素直に凄いなぁと思った。
ファクトブックさえ見ればすべて把握できるから、
引継ぎもスムーズだし、状況把握もやりやすい。
何より、これを完成させようとすることで営業自身の能力があがる。
実物見てみたい!

StAPとは、Strategic Account Plan(戦略的アカウント計画)の略で、アカウント管理のことだ。
アカウント管理とは、重要顧客をマネジメントすることだが、StAPは特に、相手の困っていることを把握し、その解決策を考えることを意味する。
ファクトブックは、このStAPを実践するための道具だ。
どんな企業にも困っていることは必ずある。
それを把握して、解決する手助けをするために「この企業(人)の課題は何か」「この組織が困っていることは何か」と、いつも探して、考えておくのだ。
それがStAPだ。
P.82

キャリアの心得

とりあえず話し聞いとけってのはよく言われるな。
自分の市場価値を知っとけと。
でもあの手の電話ってすげー胡散臭いから、
昔、面倒くさがってたら電話来なくなったこともあるな…。
まぁ、声かけてきたヘッドハンティングの会社が
よくわからん会社だったってのもあるけど。ちょっと反省。

もしあなたが、他の部門や会社の人から引き抜きの話を受けたり、ヘッドハンターから声をかけられたら、たとえ転職する気がなくとも、会って話を聞いておくべきだ。
なぜなら、自分の市場価値を常に確かめておくことは大事だからだ
P.122

そんでもってこの辺のマインドはビジネスエリート共通の見解っぽいところ。
でも地位が人を作るってのはあるよな。
経験や知識が十分蓄積されてから、とか眠たいこと言ってる人には任せられないってのは確か。
情報が揃っていないと意思決定できません、みたいなのと同じ無能さを感じる。

経験や知識なんて、ポストに就けば後からついてくる。
「経験や知識が十分蓄積されてから」なんて言っている人は、一生そのポストに就けないだろう。
抜擢人事は受け入れるべきであり、そのときに必要なものは年齢でも経験でもなく、「やってみます」「やらせてください」という姿勢だ。
(中略)
「年齢は関係ない。
経験も関係ない。
大事なのは姿勢だ」
やる気がある者が、やれ。
何かを成し遂げるのに、経験も知識も年齢も関係ない。
「やってやる」という気持ちと、やり遂げるために最善の努力をする覚悟があるかどうかだけが、できるかできないかを分かつのだ。
P.132 - P.133

下に対してはやる気があるのか、無いのかしか興味ない。
何がやりたいのか、どれくらいやりたいのか、とか。
で、経営者のキャリアパスってのも、納得。

「では、経営者になるためのキャリアパスとは何か?」ということについて、アドバイスを送ろう。
これは私の言葉ではなく、魚谷社長が、いつか私に送ってくれたアドバイスだ。
「社長になるには、マーケティング、営業、オペレーションを経験する必要がある」
私は今、ハイアールアジアの社長をしており、その前はSPEでも日本と北アジアを統括する代表を経験した。
今ではこのアドバイスが、的を射ていると実感を持って言うことができる。
P.139

確かに絶対外せない3つだなって感じがする。
この3つの勘所押さえておけると良いんだろうな。


強みを複数持て

数学の記号に「π(パイ)」という記号がある。
私はこれからのビジネスマンはπであるべきだと考える。
どういうことかというと、πという記号は2本足で歩いている人間のように見えるが、どの業界に行っても自分の足で歩いていくには2本足が絶対必要だからだ。
今までのビジネスマンは1本足の人が多かった。
つまり、終身雇用に守られたその道一筋ウン十年という生き方だ。
でも1本足しかないと、何かあったときにすぐひっくり返ってしまう。
たとえばデザイナーなら、「私はデザインのプロです」と、そこだけを突きつめるより、経営戦略の語れるデザイナーとか、マーケティングができるデザイナーになる。
営業なら、営業一本の人よりも、営業とマーケティングの経験がある、といった具合だ。
その方が、生き残る確率も、世界中の会社から求められる可能性も高くなる。
だから、同じ仕事をし続けるのは得策ではない。
そして違う仕事をするにしても、業界を超えて仕事ができた方が、この先の世界でよリ必要とされることは、いうまでもない。
転職は社内でもできる。
1つの業界で通じるマーケッターより、どんな業界でも通じるマーケッターの方が市場価値が高いことは自明の理である。
P.104

以前、お話を聞く機会のあった藤原和博氏は三角形って言ってたのを思い出した。

藤原和博の必ず食える1%の人になる方法

藤原和博の必ず食える1%の人になる方法

まずは軸になる二本足。これは近い領域で二本持て、と。
そしてその後の3本目、これをどれだけ遠いところにジャンプできるか。
遠ければ遠いほど、三角形の面積はでかくなる。
その面積のでかさが自分の価値だと。

いずれにしても一本足ってのはしんどいってことだな。


ビジネスマインド

どんな姿勢で臨むのかっていう話。
ビジネスエリートのちょっとマッチョな考え方。
こういうマインドで生きることについていけない人もいるんだろうけど、
思うに、ここまで割り切って演じた方が結局自分が楽なんだよな、と思う。

人間だから365日、24時間自信にあふれているわけではないし、弱気になることもある。
でもそれは人前で見せなければいいだけの話。
リーダーを演じることでチームワークが良くなるなら、やらないことは職務放棄だ。
このことは、リーダーだけでなく、ビジネスパーソン全員にも同じことが言える。
できるやつ、すごいやつ、誰よりも優れたやつを演じればいい。
そして、実力が伴っていなければ笑われるだけだから、努力しようとする。
その努力がいつか「本当にできる」「本当に優秀である」ことにつながるのだ。
P.186

知識や経験は、所詮過去のものだ。
業界の知識や豊富な経験があっても、それが未来を切り開く鍵になるかといえば、必ずしもそうではない。
未知の世界で結果を出していくためには、姿勢が大事なのだ。
P.213

結局こういう、ちょっとマッチョな思考回路って、
自分で自分をだますと言うか、自分を奮い立たせると言うか、
結局自分を守るためにそれが一番合理的なだけなのよね。
人間、みんなそこまで無敵の強さを持っていないし、
サボりたいときはサボりたいし。
でもそのままだらだら生きてるだけの人と、
少しでも自分を律して良い習慣を続ける人の差は大きいわけだ。
で、自分を律するのって結局自分で自分をだますってのが多い気がする。


そして一番大事なのは主観

よく「ものごとは客観的に見ろ」と言われているが、大事なのは客観ではなく主観だ。
「自分」を持ち、自分の目で見て、考えた主観こそ、価値があるのだ。
そもそも人間は、本当の意味では客観的になれるわけがない。
俯瞰的にものを見ることができるかもしれないが、俯瞰的に見るのも、やっぱり主観だ。
P.215

これは人生の真理だね。
自分がどう思うかがとても大切。
幸せとかも主観だから、自分が幸せかどうかなんて自分次第だよなぁ。

良い主観を持ち続けることが良い人生に繋がりそう。


ビジネスにおける不言実行は卑怯だ

色々と取りとめも無くメモしてきたが、
自分が一番そっかー、と納得してしまったのが有限実行のくだり。
不言実行カッコいいと思ってました。
思春期に読み漁った歴史小説のおかげで儒教道徳が染みついてるので…

確かに、不言実行は卑怯かもしれん!改める!

自分の意思を口にする

不言実行より有言実行

日本には古来より、黙って結果を出す「不言実行」を「カッコいい」「男らしい」と評価する向きがある。
だが、私はそうは思わない。
ある意味、卑怯だ。
ビジネスでは「黙って結果を出す」ことはNGである。
できるなら事前に言わないと駄目だ。
組織はそれに期待して計画を立てるのだから。
チームプレイとは、役割分担のことに他ならない。
だから「自分がこれだけやる」というコミットを見せてくれるのならば、私はその人にプロジェクトを任せる。
かたや「自分には無理です」と謙遜しながら、あとから「やりました」と言う人は、計算もできないので、評価もしない。
「できるなら最初からそう言え」という話だ。
不言実行と有言実行とでは、不言の方がプレッシャーはない。
有言の方は「これだけやります」と言った瞬間に責任が伴い、あとにひけなくなる。
不言実行は責任が伴わない。
だから卑怯なのだ。
不言実行する本人も、達成する前に「これはできそうだ」とある程度わかっているはずなのに。
だから私は「これだけやります」と言う人間を評価する。
P.227 - P.228


どんな業界でも記録的な成果を出す人の仕事力

どんな業界でも記録的な成果を出す人の仕事力