前から声の大きい人だなぁ、くらいに思ってたのだけど、
こうやってまとまった形でしっかり読んでみると至極真っ当な人なのですね。
メディアを取り巻く今の環境がよくわかるし、
メディア関係者が読めば、なぜ自社の取組みが
いまいちイケテナイ感じなのかがわかるはず。
Twitterとかでメディア関係者こそ必読、みたいによく言われてるけど、
あながち嘘じゃない。
でも、結局今の編集長クラスの人たちがこういった本を
自主的に手に取って思考するかというと、なかなか想像できないのが哀しい。
- 作者: 田端信太郎
- 出版社/メーカー: 宣伝会議
- 発売日: 2012/11/12
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
- 購入: 9人 クリック: 139回
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Kindle版もあるよ!
MEDIA MAKERS―社会が動く「影響力」の正体 (宣伝会議)
- 作者: 田端信太郎
- 出版社/メーカー: 宣伝会議
- 発売日: 2012/12/19
- メディア: Kindle版
- 購入: 1人 クリック: 7回
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メディア上にあり得るコンテンツの形態
ストック←→フロー
参加性←→権威性
リニア←→ノンリニア
個人的な関心領域である女性ファッション誌で考えると、
ストック←→フローの話だけでごはん3杯はいけるっていう面白さ。
女性誌で扱ってるコンテンツは今のままではストックになれない。
ファッション自体、昨年の情報は鼻くそみたいなもんだから。
でも、そんな中、普遍的なストック型コンテンツを
丁寧に作っていこうとすることは不可能ではないだろうな。
例えば「着やせ」みたいなキーワードは流行とは関係ない普遍性があるし。
で、ほっといてもフロー型のコンテンツになっちゃって消えていくだけだから、
Webサイトに載っけるコンテンツこそ気にしなきゃいけないことだと思うのだけど・・・
でもフロー型の雑誌の中で、どの部分を再構成するとストックっぽい価値を出せるのか。
これは電子化してテーマごとの切り売りを模索、とかって話の際にもよくよく考えた方が良い。
あー、もったいないな、女性誌。頑張ればまだまだできることたくさんあるのに。
あと、もう雑誌レイアウトに縛られてどうこう考えるのいい加減つきあいたくない。
もうバラバラにして、例えば同じ素材で違う価値や利便性をどう出せるのか、
みたいな発想で話がしたい。
もう、読者への届け方も、それを使用する端末もシチュエーションも違うんだから・・・
この辺はリニア←→ノンリニアの視点で深堀り可能。楽しい。
ウケだけ狙った金太郎飴
現在の一般的なウェブサイトのコンテンツ編成は、すべての記事やカテゴリ、サイトコーナーで、同じように読者のウケを狙い、PVを獲りにいくような記事ばかりになってしまっている例が多いです。
PV乞食っていう言葉が実に気に入ってしまった。
どういう人にどういう情報を届けて、どういった価値を提供することで
マネタイズするメディアになりたいのか、みたいな基本設計をおろそかにして
PV乞食みたいな議論ばっかやっててもうまくいくはずがないんだな。
という当たり前のことを再確認させてもらえた。
クライアントばっかり向いてるメディアはクソ。
送り手企業の経済的利益をはかることを第一の判断軸にして、メディア運営における編集判断がなされることは、必ずや、読者の離反を招き、結果的に送り手企業の所有物としての「企業価値」や「資産価値」も破壊してしまうことになるはずなのです。
もうおっしゃる通りで、この辺のバランスがとれない人が多いのも
マネタイズがうまくできない要因なのかもしれない。
時に向き過ぎ、そうかと思うと向かな過ぎっていう。
オウンドメディアがなんでクソなのかわかった。
つまり、オウンドメディアは、魂を欠き牙を抜かれたサラリーマン編集者が、下請けマインドで生ぬるい提灯記事ばかりを山盛り掲載していく三流メディアになってしまいがちなのです。
オウンドメディアのつまらなさをここまで見事に説明した表現はなかった!
自分の中の違和感がすっきり言語化されてうれしい。
メディア自体のノンリニア化
SEOの重要性などは、純粋に技術的なレイヤーの話に留まりませんし、「グーグルが、文章の文体や構成そのものまでも変えている」とも言えます。デジタル化(=つまりはノンリニア化)によって、メディア消費は全体として、どんどん、即物的で刹那的で断片的なものへと変化していっています。
雑誌もこの状況にきちんと向き合わないといけない。
紙で提供するときと、上記の状況下のウェブで提供するとき、
コンテンツのあり方はレイアウトやデザイン1つとっても違うはず・・・
誌面レイアウトそのままのPDFをサイマル配信することが雑誌の電子化じゃないと思うのです。
印刷もただの手段
メディア事業において、特に紙の新聞や雑誌を印刷し発行することは、あくまで情報を流通させる「手段」にすぎず、いかに自分たちのメディア企業としてのアウトプットを「パブリック」にし、読み手との間に有効なコミュニケーションを成立させていくか?ということこそがメディア企業の本来の使命であり、存在意義だと思います。
紙が主で、その他はおまけみたいな考え方だと限界あると思う。
原価率100%越えの紙で読者に届けるのと、
ネットを使ってお届けするのと、本質はそう変わらないはずなんだけど、、、。
おまけとか余計なこと視点でしか見ないからなんも変わらないんだよな。
という訳で、非常に色々な示唆に富んだ面白い本でした。
メディア関係者必読、だと思います。
個人的にはこれが初めてのKindle読書。これまた便利でよかった。
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