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事業部制が優れた制度であることはわかったけど使いこなせていない企業も多い印象 ポール・ミルグロム ジョン・ロバーツ/組織の経済学 第16章:企業の境界と構造

16章は再び組織よりの話に。
企業の領域&境界(水平的、垂直的ともに)はどこまでなのか。
意思決定の権限と責任をどのように配分し、
コーディネーションと動機づけを行っていくのか?

いよいよクライマックスへ。

組織の経済学

組織の経済学

企業の本質の変化

企業の性格はこの1世紀半の間に大きく変化してきた。

生産は小規模で、1人もしくは少人数で、すべての従業員を雇用し、事業活動を指揮した。
従って、それぞれの事業は企業家が個人的に監督できる範囲に限定されていた。
これらすべてを、蒸気船、鉄道、電信という3つの技術発展が変えた。
地域市場に縛られる必要がなくなり、大量生産方式の導入によって、
高品質なものを安価に提供できるようになった。

こうした戦略変化に伴い組織も革命的に変化し、
事業の範囲と複雑性の増大は、所有者自身による管理能力を越え、
中間管理職を置くようになり、監視と動機づけの対象が拡大していった。
組織が拡大すると同時に管理職を誘導、管理、評価するための
情報と報告のシステムが必要になり、この分野も進化した。
地域市場に縛られない大企業の資金需要は、地元銀行の資金力を上回った結果、
銀行シンジケート団による融資や株式市場の大幅な拡大、
債券市場の発達、保険産業の興隆を促した。


事業部制企業の展開

企業組織の変化の上で、特に重要なのは事業部制の導入だ。
事業部長が個々の事業の責任を負い、より上位の経営者に対して報告。
経営者は事業部長の評価ならびに各部門の活動をコーディネートする、という仕組み。
これが大企業組織のひな型になった。
前世紀を通じて、事業部制は優位性を増し、事業の前方および後方統合が進んだ。
今までは外部のサプライヤーや顧客としていた取引を、企業内部に取り込み、
企業は事業領域を拡大、多角化の道を進む。
一方、新事業の拡大と既存企業の買収に伴い、
1企業内で行われる相互に無関係な活動の種類も大幅に拡大した。


企業の内部構造

事業部制の強みと、管理するうえでの問題点を整理する。


事業部制の長所

事業部制企業が登場する以前は、
中央集権化された組織と中央からのコントロールが全くない組織の
2パターンしかなかった。
これに比べると、事業部制には決定的な長所があった。
中央集権化した組織では、中央に十分な情報を集約する必要がある。
が、あまりにも広範な事業の情報をすべて集約することは難しく、
できたとしても本部の経営者の管理の限界を越える。
大組織の意思決定全体の中では、下位レベルに対して
かなりの権限移譲が行われる必要がある。
下されるべき決定の数は、管理者の処理能力を凌駕するので、
結果として多くの決定は下位レベルで行われるか、あるいは全く行われない。
事業部制はこの現実を認識しており、
下位で現場の情報を得るものによって下される決定が、
全体としてコーディネートされ、適切なインセンティブによって
誘導されるようなメカニズムをデザインしようとする。


情報及びインセンティブの改善

事業部制企業では事業部長に権限と責任が移譲される。
現場の1次情報に基づき、事業部運営を行っていく。
事業部長は業績に責任を持ち、報酬もそれに基づく。
事業部長は担当事業に関する専門的な知識に特化していくが、
計画や戦略の策定に関与させることができれば、その知識を活用できる。
また、事業分野を分割することで、
業績に対する責任の帰属という問題が軽減される。
さらに、個人、ないしグループが注ぐ努力と、
事業部の業績指標との関連性も高まる。
業績測定もより正確になるから、より強いインセンティブも与えやすい。


コーディネーションとコントロール

事業部制において、中央本部に事業部長による計画や決定を評価し、
コーディネートするだけの情報が欠けていると問題が生じる。
各事業部の活動がバラバラになってしまい、
出せるはずのシナジーが出せなくなってしまう。
よって、本部は、事業部への分権化に加え、戦略の計画、
事業部間の活動のコーディネーション、事業部の評価を行う必要がある。
GMでは各事業部へのターゲットとなる市場の割り振りや、
規模の経済を協調して実現するためのグループ会議などを行い、
事業部制の課題を克服している。
また、本部には資本市場との取引を集約させている。
専門スタッフを共有することで効率化を図っている。

事業部制企業を管理するうえでの問題

事業部を明確に規定し、必要な情報が報告される体系を作り、
コーディネーションが機能するように、
各事業部と本部の活動を配分しなければならない。
第2に、適切な行動が促されるよう、情報、決定、
評価、報酬の体系を構築しなければならない。
第3に、費用と便益を考慮して、活動範囲を選択しなければならい。


事業部ならびに報告関係の定義

事業部をどういった単位で切るかはとても重要。
地理的な区分、技術的な区分、製品別、市場セグメント別、など色々な切り方があり、
それぞれにメリットとデメリットがある。
細かい単位にすればするほど、やりやすさと共に、
事業部間のコーディネートが必要になる。
組織が自己完結的になっていることが理想だが、
問題は、自己完結性と管理可能な組織の規模感が相容れないこと。
自己完結性を優先して組織を分けると、結局大きすぎて
大企業が直面する問題と同じ問題が発生してしまう。

こういった問題に対する現代での解決法は、
各事業部を比較的小規模に維持したまま、
コーディネーションが必要な事業部をグループ化してしまうこと。
各事業部長はグループ全体の責任者であるグループ長に報告を行う。

生じる問題がなるべく下位レベルで
解決できるような構造をデザインすることが重要。


インセンティブとコントロールの問題

分権化は末端情報の活用を可能にするが、
意思決定が本部の知らない情報に基づく環境は、
モラル・ハザード問題の悪化を意味する。
その結果、このモラル・ハザードへの対策として
インセンティブ制度の導入が必要になる。
インセンティブ導入をうまくいかせるには、、
業績指標の適切な設定と計測が大切なのは今まで見てきた通り。
それを可能にする会計・経営手法の発達が事業部制が一気に広まった一因でもある。


移転価格の問題

事業部の活動の適正配分に際して問題となるのが移転価格問題。
垂直的統合企業では部門間取引が避けて通れない。
この時の移転価格は重要な位置づけになる。
事業部長の業績と報酬が連動しているならば、
なおさらお互いの事業部にとって移転価格は重要になる。
外部市場が機能していれば移転価格は市場価格になるが、
現実は、市場価格も独占的企業による歪みが生じている可能性もあるし、
そもそも特殊なパーツで外部市場が存在していないといった場合、意味がない。
1つの解決策として事業部同士で交渉させるという方法もあるが、
お互いが自らの利益を追求した結果、移転される量が過少となり、
最終産出量も過少になるといった非効率を生む可能性もある。

供給者=アップストリーム、最終生産者=ダウンストリーム、とした時、
アップストリームの事業部長が独占価格を自由に設定できるという想定には無理がある。
それでも、企業の利潤最大化から考えると高すぎる価格を設定することは十分にあり得る。
逆にダウンストリーム側に価格決定権を持たせると安すぎることがあり得る。
どちらの場合も移転量は過少となり、効率的ではない。
1つの解決策は、アップストリーム事業部の限界費用と決めることだ。
だが、この時限界費用を高く申告するインセンティブが生じる。
その場合、アップストリーム事業部の収入は増え、
その貢献度は上がるが、企業全体の利潤は減少する。
第2の解決策は、アップストリーム事業部をコスト・センターにして、
限界価格で移転を行う代わりに、費用の抑制に連動した報酬を与えるという方法。
アップストリーム事業部の供給先が社外にもあると、実行は簡単ではない。
第3の解決策は、2事業部の統合。責任とインセンティブの本質的な変更を伴わないと、
事業部間問題が事業部内の部課間問題なるだけ。

垂直的境界と垂直的関係

現代では、完全な垂直統合に近いといえる企業はない。
それはなぜ? そして企業には活動を組織化するうえでどんな選択肢があるのか?
そしてその選択の判断基準は?

1つには規模の経済の問題がある。
インプットの生産に規模の経済による効果が著しく働き、
自社のインプット利用水準だけでは最小効率規模を実現できない場合には、
独立したサプライヤーを使った方が有利になる。

2つ目は範囲の経済の問題だ。
サプライヤーの財・サービスの生産規模が小さい場合でも、
買い手企業とは無関係な活動も携わっているならば、
範囲の経済による恩恵を被っているかもしれない。
たとえば、ガソリンスタンドに関して、ガソリンの小売りをするだけならば、
石油会社の所有で問題ないが、
洗車や修理など石油会社の利潤にとって関係ない活動が含まれてくると、
努力配分問題が生じるので、複雑なンセンティブを考慮する必要が生じる。
そうなると、独立した所有者に委ねてしまった方が良くなる。

異なる時点で生産されていた製品群を全体として考えるならば、
コア・コンピテンスは範囲の経済の一種。


垂直的統合の長所

標準的なインプット、競争的なサプライヤーが複数社存在、
サプライヤーの規模の経済が購入企業が真似できないほど大きい、
範囲の経済が存在しない、売り手にも買い手にも特殊的投資が存在しない。
上記の条件すべて満たされない場合は、垂直的統合の方が有利になる可能性がある。
つまり、相当特殊な状況以外は垂直的統合の可能性がある。

サプライヤーにインプットの品質を維持させるためには、
維持できないと失う何かを与える必要が生じる。
これはサプライヤー関係から発生するレントだ。
垂直的統合はこのレントの一部、ないしは全部を企業が取得する一方法となる。


水平的な範囲と構造

一般的に、拡張の試みが成功する公算が高くなるのは、
自社が特にコンピテンスを持つ分野を明確にし、
そのコンピテンスを高めるために投資し、
コンピテンスによって費用や販売の面で
優位に立つ製品を投入する場合。

水平的拡張によって組織が大きくなると、
コーディネーションや意思決定がうまく機能しなくなる。

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