『イノベーションのジレンマ』には結局どうすりゃ良いのかは書いてなかった。
実際そういった批判も多かったらしい。
そんなの抜きにしてあれは名著だと思うけれど。
で、ジレンマをふまえて、対応の仕方に言及したのが本書。
でも、やっぱりこうすりゃ勝てるなんて必勝法はない訳で、
どうしても一般論になってしまう。
本書が悪い訳ではなく、そういうもんだよな、と言う話。
十分面白いのだけど、イノベーションのジレンマの衝撃を超えることは無いと思う。
イノベーションへの解 利益ある成長に向けて (Harvard business school press)
- 作者: クレイトン・クリステンセン,マイケル・レイナー,玉田俊平太,櫻井祐子
- 出版社/メーカー: 翔泳社
- 発売日: 2003/12/13
- メディア: 単行本
- 購入: 16人 クリック: 168回
- この商品を含むブログ (101件) を見る
本当に破壊的イノベーション?
一部の企業にとっては破壊的イノベーションだとしても、
一部の企業にとっては持続的イノベーションに過ぎ無いことがありうる。
ターゲットの市場の既存企業すべてにとって破壊的イノベーションじゃない場合は、
白紙に戻して再検討するべき。
バリューネットワークはナッシュ均衡
イノベーションのジレンマにも載っていたバリューネットワークの概念が、
この説明でちょっと明確に。
バリューネットワーク内でナッシュ均衡が成立しているがゆえに、
イノベーションの足を引っ張ることもある。
アイデアは戦略的計画に落とし込まれる段階で変質する
アイデア自体には持続的か破壊的かの色がついていることは少ない。
それを計画に落とし込む過程で多くは持続的イノベーションとしてまとめあげられてしまう。
裏を返せば、どんなアイデアも破壊的になり得る。
アイデアが破壊的になり得るか、のチェックポイント
・これまで金や道具、スキルが無いという理由でまったく行われていなかった、もしくは高い料金を払って専門家にやってもらっていたと言う人が大勢いるか?
・サービスを利用するために不便な場所にあるセンターに行かなければならないか?
少なくともどちらかがYESじゃないとだめ。
次はローエンド破壊型のチェックポイント
・価格が低ければ、性能面で劣っても購入する顧客がいるか
・低価格でも利益が得られるビジネスモデルを構築できるか
最後のチェクポイント
・業界の全ての大企業にとって破壊的か?
区別のつかない万能化に至る原因
・的を絞ることへの恐れ
・定量分析の要求
・小売りチャネルが属性に基づく構造を持っている
・広告の経済学のために製品のターゲットを状況ではなく顧客に定める
差別化していかないと勝てない、ということ。
MBAの授業では差別化、強みは何か、ターゲットは誰か、といった話が
ひたすら強調されるけれどみんなしてそんなことばっかり言ってるとなんか
違うこと考えた方が良いんじゃないか、と言う気にもなってくるから不思議。
モジュール化と特化を進める連鎖
因果的連鎖がある=たまたまじゃない。
1.技術改良がやがて顧客のニーズを越える。
2.それ以上の機能アップに対して顧客には支払う意志がないので、
それまでと違う方法での競争を強いられる。
結果、顧客が欲しいと思うものを必要な時に与える能力が高い企業が利益を得るようになる。
3.スピードと応答性を高めるために独自使用の製品アーキテクチャを、モジュール型に進化させる。
4.モジュール方式によって産業が解体され、一部の特化企業がかつての統合型企業を打倒する。
コモディティ化と脱コモディティ化
コモディティ化がバリューチェーンのどこかで進んでいるときは、
必ず脱コモディティ化という補完的なプロセスが
バリューチェーンの別の場所で作用している。
「まだ十分ではない」段階にいることがとても大切。
「十分良い」になってしまうと、そこからコモディティ化が一気に進む。
イノベーションへの解 利益ある成長に向けて (Harvard business school press)
- 作者: クレイトン・クリステンセン,マイケル・レイナー,玉田俊平太,櫻井祐子
- 出版社/メーカー: 翔泳社
- 発売日: 2003/12/13
- メディア: 単行本
- 購入: 16人 クリック: 168回
- この商品を含むブログ (101件) を見る