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研究のための基礎知識。手順や手法をしっかり練った上で取りかからないと大変。 田村正紀/リサーチ・デザイン 経営知識創造の基本技術

いざ、研究を始める前に、その調査設計こそが肝なのだよ、という話を
色々な概念や手法の解説とともに説明してくれる良書、なのだが、
いささか日本語が難解なのが玉にきず。

とりあえずこの辺を意識しておいた方が良いな、とか
自分のやりたい研究だと、この辺の手法が使えそうだとか、
最初はざっくり当たりをつけるつもりで読んだ方が良いかも。

一発で全部理解しようとすると、多分途中で挫折する。
実際に研究をする段になったら傍らに置いて、
自分の研究にとって要注意な箇所を何度も振り返って味読するのが良さそう。
この人の日本語がもう少しわかりやすかったら、最高なんだけどな。

リサーチ・デザイン―経営知識創造の基本技術

リサーチ・デザイン―経営知識創造の基本技術


リサーチの質はデザインで決まる

この場合のデザインには以下の4要素がある。

  1. 研究課題:何を目的にしてリサーチするのか?
  2. 理論:どのような理論を使うのか?
  3. データ:実証のためにどのようなデータを使うのか
  4. 推論技法:データから推論するための技法は?

これをあらかじめしっかり設計した上で、取りかかる。
でも、最初に想定した通りに研究なんて進まないので、
随時修正をかけブラッシュアップしていく必要あり。

研究課題は、個人の関心と、実務的な産業界の関心と、学会の関心の
3つが交わるものが理想、でもそんな課題設定なかなかできない。


リサーチ・デザインの代表例

・事例研究:個別事例に関するデータを集め分析する
・比較事例研究:複数を比較し、パターンを抽出
サーベイ研究:アンケート調査に基づく研究
データマイニング:POSデータなどの大量データから法則を発見
テキストマイニング:コールセンターに寄せられた顧客の声など、大量の文章自体を分析
・エスノグラフィ:研究者が実際に職場に入り、フィールドワークをする
・長期研究:ある変数や行為主体を長期間に渡り観察する


従属変数の分散に注目

要するに、結果がばらついてる所に着目しろってこと。
結果に差が出るのはなぜなのか、そこにはきっと理由があるから。
それを従属変数の分散に〜とか書いちゃうからわかりづらくなる。


おそらく、とても大切なのが変数の設定

これまた、要するに、結果に影響を及ぼしている変数は何なのか。
変数によって影響の大きいものも小さいものもある。
どんな変数を想定、あるいはデータから抽出できるか、がとても大切。

そして変数の中には、お互いに影響しあっているものもある。
変数Aが変化すると変数Bも変化する、というタイプのもの。
これを共変動という。
あるいはAとBの変数が相関関係にあると見えても、
本当は別の変数CがAB両方に影響を与えていた、何てこともある。
これが、疑似関係。

要するに、変数の設定と分析は一筋縄じゃいかない。
この辺の分析のためにSPSSといった統計解析ソフトや
Amosといった共分散構造分析のソフトが必要になってくる訳だ。


因果関係

統計の世界でも良く言われることだが、
相関と因果は違う。
相関は2つの変数が連動して変化している状態。
因果関係はAが原因となってBという結果を生んでいる状態。
これは似て非なるもの。


事例研究における因果推論技法

定量的なデータの取り扱いは、そこまで難しくない。
SPSSとかAmos使ってやればそれなりの分析はすぐにできる、多分。
それに対して、事例研究ってかなりあやふやな感じ。
個人的には事例研究って何すりゃ論文になるんだ?って感じ。
レポートと大して変わらんのじゃないの?という疑問が常にあるのだけど・・・

まぁ、ここで紹介されているような因果推論技法を
しっかり使えれば論文になるということなんでしょうか。


比較事例での因果推論技法

代表的な技法は、ミルの方法と定性的比較分析(=QCA)の2つ。
ミルの方法のミルはジョン・スチュアート・ミルのこと。
ミルの方法にも差異法と一致法の2つがある。

差異法は、結果が異なる2つの事例の、変数の共通性と違いを特定する方法。
とはいえ、前提として原因となる変数は1つで、変数間に相互作用はない、という前提付き。
既に、この前提があり得ないと思うのだが・・・ありなのか?

一致法は結果が似ている事例の変数を洗い出し、
一致している変数を、結果に対する必要条件としての原因とする、という考え方。
個人的にはまだこっちの方がしっくり来る。

QCAは、各事例の変数の違い、異なる組み合わせを真理表という形式で整理。
事例がどの組み合わせに該当するかを整理し、解釈していく。


一方、単独事例の時はどうするの?

単独事例しかない事例研究というのは良く起こりうる。
そんなときは、一体どうしたら良いのか??

適合法、反事実分析、過程追跡、の3つの手法がある。

適合法は、理論を用意し、事例の結果が理論に合致しているかを見る手法。
合致していれば、理論は正しいとされる。
そう言われてもなんだかとってもざっくりな気がする・・・
そもそも単独事例だし、反証できないことを良いことに、
都合良くやれちゃう気がするのだけど・・・

反事実分析は、決定的な影響を与えたと思われる原因変数が、
違う値をとったらどうなるか、という架空の設定を儲けて、その結果を推測する。
クレオパトラの鼻がもう少し高かったら歴史は変わってた、みたいな話。
これも、正直よくわからん。ただの夢物語じゃないの、それ?

過程追跡は、文字通り過程を細かく追跡していく方法。
そして何が原因となって同影響を与えたのかを推論していく。
これももっともなお話作れればいいのだろうか? いまいち実感として腹落ちしない。

という訳で、事例研究系は、どこまでやれば論文になるのかさっぱりわからんのだけど、
きっとこう言う技法を使った論文を実際に読んでみないとイメージつかめないんだろうな。

自分の研究対象はおそらくあまりデータのない先端業界事例になるので、
下手すると事例研究になる可能性が高いのだけど・・・なんだか不安。



リサーチ・デザイン―経営知識創造の基本技術

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