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SPSSもしくはSASを使って因子分析に取り組みたい入門者には最適の1冊! 松尾太加志・中村知靖/誰も教えてくれなかった因子分析

副題は「数式が絶対に出てこない因子分析入門」で看板に偽り無し。
因子分析とは結局何をどうしているのか?
分析手法の違い、SPSSSASのオプションの意味、
分析結果の読み方や意味するところ。
どういった手順で試行錯誤していけばよいか。
そういった実際に因子分析をやるに際して必要な知識を、
数式を使わずに解説してくれている良書。

文系学生で入門書読んだけど数式ばかりで意味わからん、
回転ってなんなの!?っていう人におすすめ。

誰も教えてくれなかった因子分析―数式が絶対に出てこない因子分析入門

誰も教えてくれなかった因子分析―数式が絶対に出てこない因子分析入門

因子分析に必要なデータ

数量的なデータであることが必要。
従って、名義尺度や順序尺度は因子分析には使えない。
よくあるアンケートでの5段階評価、
当てはまる、やや当てはまる、どちらとも言えない、やや当てはまらない、当てはまらない、
は、調査の仕方に注意が必要。
上記5項目を選んでください、だとその結果に対して調査者が勝手に
1~5まで順位付けしていることになり、
厳密には数量的なデータではなく順序尺度になってしまう。
例えば、当てはまらないが1だとして、やや当てはまらないが2と後付で
数値にしていくと、アンケート回答者が
「当てはまらない」と「やや当てはまらない」の間に1と2の数量的な関係を
意識していたかがわからない。
回答者にとっては「当てはまらない」は1でも、
「やや当てはまらない」は3くらい、と思っていたかもしれない。
というわけで、ちょっとした違いなのだが、質問表には
5.当てはまる 4.やや当てはまる~、といった様に、数値を
明示して選ばせるのが好ましい。


因子分析の計算がうまくいかない

「反復中に1つまたは複数の1よりも大きい共通性推定値がありました。得られる解の解釈は慎重に行ってください。」
というメッセージが出ることがある。
これって何かと言うと、計算がうまくいってないのである。
原因は、
・データの数が少ない
・データの入力がおかしい
・因子抽出法があってない
というケース。
最も考えられるのはデータの数が少ないケースらしいが、
そんなこと言われても困るんだよなぁ、というのが正直なところ。
変な値が混ざってないか、他の抽出法で試してみてうまくいくならそれで良し。
データが足りない場合はサンプル数を増やすしかないのだが、その場合はちょっと辛い。

反復回数

出力結果に「25回以上の反復が必要です。」
といったメッセージが出ることがある。

これも文字通りで、反復の数が足りず途中結果を出力しましたという意味。
なので、設定で反復回数を増やしてあげればよい。


因子の数を決める

SPSSではスクリープロットにチェックを入れると図を出力してくれる。
表示されたスクリープロットを見て、傾きがなだらかになるところまでが
因子の数の目安になる。
因子の数を決めたら、因子数を指定して再度因子分解してみればよい。


回転法

直行回転であるバリマックス回転が一般的だが、
本書では斜交回転であるプロマックス回転をお勧めしていた。
結局、最終的に出てきた因子の解釈がしやすい方を選べばよいだけなのだが、
一般的という理由だけでバリマックス回転しか試さない人が多い。
まずはやってみて、解釈しやすい結果を使いましょう。


説明された分散の合計

リマックス回転させたときに出てくる出力結果。
右端の回転後の負荷量平方和ってところがポイント。
「分散の%」が、各因子の説明力を表し、
「累積%」がその説明力を合計していったもの、
すなわち累積寄与率になる。
この数字が高いほど、説明力が高いということ。

プロマックス回転の場合は、因子同士に相関関係があるので、
単純に足して合計しても意味がなくなるらしい。
なのでプロマックス回転のときは個別の因子寄与を比較する。


論文での書き方

因子抽出法は何を使った?
因子数の決め方は?
回転は何回転??
因子名はどうやって名づけた?
項目削除とかした?
因子負荷の表など


多変量解析

重回帰分析、判別分析、因子分析、主成分分析、
数量化Ⅰ類~Ⅳ類、コレスポンデンス分析、共分散構造分析、
などなど多変量解析には色々な分析手法がありますが、
どういった場合に、何を使うのがいいのか、目安的な話も
ちょっとだけ書いてありました。
あくまでも目安なのだけど、こういうところが親切。
もちろんそれぞれの分析手法がわからん、という部分もあるのだけど、
自分にとって必要そうなものを1つ1つ丁寧に理解していくしかない。
あと、本を読んでるだけではわからんので、
実際にSPSS触りながら、傍らに本書を置いて、作業してみるのが一番の近道。


誰も教えてくれなかった因子分析―数式が絶対に出てこない因子分析入門

誰も教えてくれなかった因子分析―数式が絶対に出てこない因子分析入門