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世界を席巻しているように見えるグローバル・スタンダードは、アメリカ型ビジネスモデルに過ぎない。渡部亮/アングロサクソン・モデルの本質

会社は株主のもので、高い利益率と成長率を
維持し続けなくちゃいけなくて、
というビジネスの常識らしきものは、
別に常識でも、何でもなくて、
アメリカ型のビジネスモデル、本書が言う所の
アングロサクソン・モデルの価値観に過ぎない。

それがあまりにも強烈かつ強力で、世界がその力に巻き込まれているようにも思う。
彼らは「貨幣」「法律」「言語」を駆使して、
グローバル・スタンダードという名の下、世界を席巻している。

そのビジネス・カルチャーの文化的、歴史的背景を丹念に追う良書。
彼らの理屈も理解しなくてはいけないし、一方で、
それだけがすべてではないことも理解しなくてはいけないのだと思う。



株式と会計制度

アングロサクソン・モデルにおける株式価値と会計制度の関係。
会社は株式価値の創造を目的とする。
株式価値の創造とは、将来にわたる配当やその源泉となる利益の創出によって可能になる。
将来利益の予想を可能にする情報は財務会計によって提供される。
会計情報は現在の株価と将来の利益を結びつける上で決定的に重要な情報。
これが歪曲されることは、価値創造そのものへの不信感へつながる。

会社が価値創造を続けるという無限の信頼感があって初めて、株式は貨幣にも擬せられる価値を持つ。
P.88

結局、この一言にすべてが凝縮されている。
株式が貨幣と同様の価値を持つ社会の中でやっていく以上、
株式の価値を担保することが目的となる。
でも、逆にそのゲームのルールから降りられれば、
企業の目的は別の所にあっても良いということ。

日本企業は、必ずしもアングロサクソン・モデルに
迎合する必要はなかったように思うのだが、どうなんだろう。
ケンカするにしても相手のルールの中でやり合うのは不利だしね。


経済政策面における政府の役割

  1. 安定的な金融政策運営
  2. 独占の排除
  3. 累進的な所得税制
  4. 外部不経済の排除
  5. 自然環境の保全
  6. 情報公開の徹底と情報入手の自由
  7. 開放的市場の維持
  8. 市場取引における詐欺的行為と相場操縦の取締り

P.157

世界の三大宗教は2000年もの間、利息を禁じていた

この話は実に興味深い。
イスラム教を除くと16世紀中頃から教会が付利の慣行を追認してきた。
元来キリスト教では付利は原罪なのだけど・・・
そして、利子の発生によって何が起きたか?

①競争の促進
通貨を供給する銀行に対して生産者が報いるためには、
付加価値の一部を利子として分与する。
生産者が利子を払うためには、
競争によって生産者が余剰価値を生まなければいけない。
ゆえに、利子のある世界では競争が助長される。

②経済成長の促進
数%の利子も何十年も経つと複利計算の結果、膨大な金額になる。
これを支払うためには経済は成長し続けなくてはいけない。

③所得格差の発生
利子を手に入れる者は少数の富裕層。
利子の発生とともに、所得再配分政策が必要になった。


1990年代の財務経営

米国企業の財務経営を単純化すると、
負債性資金の取入れによってレバレッジを効かせて利益を上げ、
その利益で自社株買いして、経営者はストック・オプションで多額の報酬を得る。
言ってしまえば、こんなもんだ。
これが、本当に素晴らしい経営なのか?
ありがたがるほどのものなのか??
考えたやつは頭良いと思うけど、違和感も感じるんだよね。