すべての理論は過剰であり、過小である。
もっともらしく聞こえても現実にそのままハマる理論なんてない。
理論には限界があり、その限界を踏まえて考えないといけない。
古今東西の戦略論をひも解きながら、そんなことを伝えてくれる良書。
10個の分類はこんな感じ。
・デザイン・スクール
・プランニング・スクール
・ポジショニング・スクール
・アントレプレナー・スクール
・コグニティブ・スクール
・ラーニング・スクール
・パワー・スクール
・カルチャー・スクール
・エンバイロメント・スクール
・コンフィギュレーション・スクール
三谷さんの経営戦略全史は読んだ上でこれ読んだんだけど、
正直後半戦はどれも良く知らない話ばかりだった。
紹介されている戦略論に関して、この本が初見だと若干消化不良になる気がする。
戦略サファリ 第2版 -戦略マネジメント・コンプリート・ガイドブック
- 作者: ヘンリーミンツバーグ,ブルースアルストランド,ジョセフランペル,齋藤嘉則
- 出版社/メーカー: 東洋経済新報社
- 発売日: 2012/12/21
- メディア: 単行本
- 購入: 1人 クリック: 4回
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創発的な戦略
学習しながら、計画的にコントロールする。
この辺の表現に本書の言いたいことのすべてが詰まっている気がする。
戦略は単純であるが故に曖昧さを除き、秩序をもたらす。
しかしその単純さ故に現実を歪めることを忘れてはいけない。
どの戦略も誤っている可能性がある。
分離の誤り
考える人と実行する人の分離の危険性。
確かに現場がわからない人の限界は理解できるが、
一方で現場で考えることが出来るやつもほぼいない。
両方できるのはベストだけど、それはとても稀有な存在。
PPM
BCGが発明したプロダクト・ポートフォリオ・マネジメント。
これもわかりやすくて素晴らしいツールだけど限界もある。
負け犬は、本当に負け犬なのか、これから成長する種なのか、
この分類からは判別できない。花形ももう枯れ始めているかも?
捨てちゃいけない事業を捨てる危険がある・・・。
分析と戦略
ポーターは戦略開発に一連の分析技法を好んで使う、と言っているのだが、
これに対してミンツバーグは噛み付いている。
分析技法は有益な情報を戦略作成プロセスにもたらすが、
分析技法が戦略を開発することは絶対にない、と。
まぁ、言わんとすることはわかるが、若干揚げ足取りな感じがしないでも無い。
錯覚と自己正当化
情報が増えるということは、必ずしも意思決定の精度を上げているわけではないが、自分は正しいという自信は強める。ただし、実際に手にした情報は殆どが余分なもので、付加価値はない
P.182
情報は集めるんじゃなくて、まず捨てろ、というのは良く言われる話。
盲目的に集めると手間もかかって無駄も多いし、結果自信満々で間違える可能性が高い。
意思決定には様々なバイアスが入ってくることはちゃんと知っておいた方が良い。
人間の脳みその癖なので、完全には逃れられない。
学習の弊害
ちょっとやってみる、となりがち。
もちろん、それで良いことも多いのだけど、
ちょっとやってみて、学んで、軌道修正が通じない案件もある。
核戦争と出産は「ちょっとやってみて様子を見よう」という戦略にはふさわしくない!
P.267
市場の失敗
企業は、市場の不完全性からその優位性を導きだしている。
独自性は成長の基盤になり、企業はまた独自な資源を開発する。
リソースベースの原点とも言える。
- 作者: エディス・ペンローズ,日?千景
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 2010/03/05
- メディア: 単行本
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ペンローズの洞察をさらに進化させ、
リソース・ベースト・セオリーとしてまとめたのが、
ワーナーフェルト。日本だとバーニーの方が圧倒的にメジャーだけど。
戦略サファリ 第2版 -戦略マネジメント・コンプリート・ガイドブック
- 作者: ヘンリーミンツバーグ,ブルースアルストランド,ジョセフランペル,齋藤嘉則
- 出版社/メーカー: 東洋経済新報社
- 発売日: 2012/12/21
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