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学びや思いつきを記録する、超要約ノート

国内MBA2013年入学、2015年無事卒業!読んだ本、記事、などの読書ノート。 忘れないために超要約整理。そんな記録。

駄目だ、駄目だって言ってるだけで思考停止してないで、可能性を模索しよう。 内沼晋太郎/本の逆襲

出版関係

ブックコーディネーターとしてちょいちょい雑誌やらWebやらで
紹介されている内沼氏。
博報堂の嶋さんとB&B(BOOK & BEER)というビールが
飲める書店を開業。本が好きで新しい形態の本屋さんも始めた気鋭の人。
若干の胡散臭さを感じるのはその妙な肩書きのせいだと思うのだけど、
本書によるとそこは本人も自覚して使っているみたいだし、
至極全うなことを書いてるので大分印象が変わった。

本の逆襲 (ideaink 〈アイデアインク〉)

本の逆襲 (ideaink 〈アイデアインク〉)


取次ルートにのらない出版物

最近は「トランスビュー」や「ディスカヴァー・トゥエンティワン」「ミシマ社」などを筆頭に、いわゆる取次を介した出版流通にはまったく、もしくはほとんど乗せないで、書店と直接取引をする出版社も増えてきました。同時に、「PLANCTION」や「BOOK PEAK」などのように、本業が出版ではない、デザイン事務所や編集プロダクション、アパレルブランドなどが、出版社から出ているものと同等もしくはそれ以上のクオリティの本を作り、ごく限られた書店のみで直取引で売っているようなケースも増えています。
P.60

ディスカバー・トゥエンティワンはちゃんと売れる本を
定期的に刊行してて取次通さないってのがすごい。
効率悪くないのかな??と思ったりもするけれど、
取次は取次で厄介なんだろうからなぁ、頑張って欲しい。
ちなみに出版流通ってちゃんとした統計データが揃ってない。
出版科学研究所のデータも元をたどれば取次のデータからの推計だし・・・。

取次通さない流通としては医学書とかの専門書系とか他にもあるのだけど、
それらに関する定量データは整備、蓄積されていないと思われる。


扱いやすい洋書

洋書は、和書と違い定価販売が義務付けられていません。輸入品のため、為替によって価格が変動するからです。また、大手の総合取次からも仕入れることができますが、洋書を専門に取り扱う小さな取次もあるため、少量からでも始められますし、売れ残ればセールもできます。アパレルや雑貨店などに海外のアートブックが売っていたりするのには、もちろん見た目のよさもありますが、和書よりも流通上取り扱いやすいという事情もあるからです。
P.61

アパレルのお店でも洋書の写真集とか置く所が増えてる気がするけど、
しゃれた感じと流通上の取り扱いやすさ、両方の理由があったのね。
まぁ置いてる店のほうもブランディングのために置いてるんだろうから、
売れ残ったとしてもセールにしようとはならないのかもな。
売上狙いで置くには利が薄いし、管理の手間もあるし。
そもそもそこら辺の目線をあらかじめ合わせておかないと駄目、
という話は至極納得。


ネタとしてのコンテンツ

人々はコンテンツではなくコミュニケーションそのものに熱狂していて、コンテンツはコミュニケーションのための「ネタ」にすぎない、というのがごく一般的な構図となりつつあります。
P.66

今のコンテンツの消費のされ方を端的に言い表していてとてもわかりやすい。
ネタ消費に対してユーザーがどれだけ対価を払うか、と考えると
コンテンツを売ることの難しさを色々感じてしまう。


本の定義とか、可能性

雑誌『WIRED』の創刊編集長であるケヴィン・ケリーはインタビュー(『WIRED』第2号、2011年)の中で、「『本』は物体のことではない。それは持続して展開される論点やナラティヴであり、『雑誌』は、アイデアや視点の集合体を、編集者の視点を通して見せるものだ」と言っています。著者や編集者が全体として作ったひとつの「論点やナラティヴ(語り/ストーリー)」こそが本の最小単位であり、それ以下に分割したものは本とは呼べない、というわけです。
(中略)
ケヴィン・ケリーは同じインタビューで、「ウェブ上の人々の注意持続時間は数分だが、一方で本を1冊読み終えるとしたら10時間以上の時間が必要になる。しかし、これまでたとえば映画を1本観る時間相当で読みきれる本はあまりなかった。雑誌の記事より長くて、本より短いもの、そこにビジネスの機会がある」と予測しています
P.98~P.99

1冊10時間は言いすぎだけど、活字で30分とか1~2時間ってのは、
確かにお手軽で良いのだろう。
新書とかはその際たるものだと思うけど、小説ならば短編とかにも
もっと可能性があるのかな。
コミックスも大体1時間かからない、30分とかで楽しめるという
時間的なお手軽さが良いってのはあるのかもしれない。
MARKEZINEとかビジネス系のニュースサイトでやってる連載記事とかは
こういう観点から見ても程よいのかもしれない。
雑誌もコンテンツの束だから、1つ1つのコンテンツ消費は、
そこまで時間がかからず良いと思うのだけど、売上は下げ止まらない。
ネットのコンテンツと似たような数分間の世界だから、
より競合してしまっている、とも考えられるかもなぁ。

ちなみにケヴィン・ケリーの著作選集は
現在2巻まで出ており、無料で公開されている!

ケヴィン・ケリー著作選集 1 - 達人出版会
ケヴィン・ケリー著作選集 2 - 達人出版会


本遊びっていう言い方が素敵だ

売買以外にも、本を介した様々なコミュニケーションの形があります。5分間のプレゼンで紹介する本を一番読みたいと思わせた人が勝つ「ビブリオバトル」、数名のプレゼンターが前の人が紹介した文脈を引き継いで3分間で順番に本を紹介し続ける「hoooon!」、自己紹介を兼ねた本の紹介をした後に名刺交換のように本を交換する「ブクブク交換」など、オリジナルな「本遊び」がたくさん生まれ、少しずつ広まっています。
P.123

hoooon!」も「ブクブク交換」も初めて知りました。
本を媒介にしたコミュニケーションってもっともっと活発になれば面白い。
でも読みたい本が増えすぎて困ってしまうかもしれない・・・。

本書は崩壊だの、斜陽だのという論調で語られることの多かった
出版業界の中でも前向きに可能性を模索しているのが素晴らしかった。
やれ文化がどうしただのといった頭でっかちな感じもなく、
この重すぎない感じがしっくりくる。
単なる批評家ではなく実践者として前線にいるからこそ、なのかな。

本の逆襲 (ideaink 〈アイデアインク〉)

本の逆襲 (ideaink 〈アイデアインク〉)