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出版ビジネスは地道な努力の積み重ねだよな、と再確認。田中達治/どすこい出版流通

筑摩書房の書店向けコラム
「蔵前新刊どすこい」営業部通信を1冊にまとめたのが本書。

筑摩書房は1978年に会社更生法の適用を申請。
その後の努力で見事に再建を果たした。

『損をしてもいいから、良い本を出そう』という創業精神から
『マーケティング重視への転換。実売率を高めていく』という方針転換が
あったと言われている。

本書において田中氏も再三、物流やシステムに関して言及している所が印象的。
出版社の中でその分野への理解がある人は未だに少ない中で、
いち早く重要性に着目していたというのは素晴らしい。

必ずしもベストセラーは望めないコアな人文書をコツコツと
出してくれる素敵な出版社の思いや熱気が伝わってくるところや、
それが本当に地道な努力の賜物であることがよくわかる点が面白い。

出版と言うビジネスは、ものすごく地味なことの積み重ねが
大切なんだよな、と改めて思った次第。

出版業界の人にはオススメしたい良書。

どすこい 出版流通

どすこい 出版流通


絶版は意外と少ない裏事情

絶版とは、著作権者との間に交わした契約により出版者に設定された出版権を放棄することと考えら

れている。そのため、絶版とされた書籍の著作権者が他の出版者と新たに契約を交わし出版を行うこ

とは不可能ではないはずだが、そうした問題を避けるため、出版者側が絶版とせず「品切」「品切重

版未定」とする例も多い。
P.118

まさにここに書いてある通り。
品切れや重版未定は実質的には絶版な訳だが、
絶版扱いにせずに権利だけを出版社が保持し続けるケースは多い。
これは作品を飼い殺しにしている状況になってしまうわけで、
非常によろしくない状態なのだが、
かといって重版したところで、採算が合わない(であろう)というのも事実。

電子書籍の進展でこの辺の自由度が増してくれると良いな、とは思うのだけど、
電子化して配信する最低限のコストがペイできるだけの市場規模が必要となると、
もう少し時間は必要かもしれない。
卵が先か鶏が先か、という話ではあって、
やってかないと市場も広がらないってのは確かなのだけど。

どすこい 出版流通

どすこい 出版流通