今日のヤマトを作り上げた小倉昌男が、
ヤマトの来た道を振り返りながら経営について語る名著。
そんなに経営者が書いた本は読んでこなかったけれど、
色々勉強した上で読むと、得られるものも多い気がした。
- 作者: 小倉昌男
- 出版社/メーカー: 日経BP社
- 発売日: 1999/10
- メディア: 単行本
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逃げず、諦めず、考え続ける
不況のせいで全国の同業者が全部赤字であるならば仕方がないが、競争相手が儲かっているのに自分の会社が赤字であるというのは、社長として何とも耐えがたいことである。当時、どうしたら業績が好転するか、私は日夜そればかりを考えていたのである。
ただし、ヤマトは他社にくらべ大きなハンディを抱えていた。
ヤマト運輸は本社が東京にある。ところが、路線トラック会社は、日本通運と西武運輸を除いて、本社は全て地方である。西濃運輸は岐阜県大垣市、福山通運は広島県福山市、トナミ運輸は富山県砺波市である。ヤマトのように本社が東京で、しかも労働組合がしっかりしているとなると、賃金べースは他社よりどうしても高くなる。
一人あたり月給ベースで平均五千円は違うのではなかろうか。
運送業は労働集約産業で人員が多いから、コストに占める人件費の割合は六〇%近いものがある。それが五千円でも違うとなると、普通のことでは競争に勝つことはできない。
P.68
日夜そればかり考える、っておそらく本当にそればかり考えていたんだろうな、と思う。
それくらい悩んで考え続けて、はじめてアイデアらしきものが閃くんだろう。
ダメな理由とか勝てない理由は簡単に思いつくけど、そこからどうするかに至ることが大切。
そしてそれは、そんなに簡単なことな訳ないのだから、
四六時中あきらめずに考え続けないといかん。
ネットワーク事業
一生懸命頑張ってネットワークを作り上げる。そのネットワークの上を毎日荷物が流れていく。
それがある日、ある数を超したとき、じわりと利益が滲み出てくる。
段々滲み出る日が多くなると、ネットワークのどこからか利益がぽたりぽたりと滴り落ちる。
そしてやがてそれが集まって、ちょろちょろと溜まり始める。
どこから出て来るのかはわからないが、全体として利益が出る。
ネットワーク事業というものはそんなものではないだろうか。
P.103-P.104
ネットワーク事業と言っても、リアルな世界に構築するネットワーク事業。
あまりにも壮大で、自分だったらどっからどう手をつけりゃいいんだか困惑しそう。
投資は膨大になるし、正直びびるだろうな。
それでも、じわじわと儲けが出てくるイメージを信じて踏み切ったのは本当に凄い。
サービスが先、利益は後
サービスとコストは常にトレードオフ(二律背反)の関係にある。サービス水準を上げればコストは上がり、コストを抑えればサービス水準も下がる。経営者の仕事とは、この問題を頭に入れ、そのときそのときでどちらを優先するかを決断することに他ならない。
宅急便事業を始めるにあたって私か決断したのは、「サービスが先、利益は後」ということだった。
サービスを向上してまず郵便小包などと差別化を図らなければ、結局、利益の上がる事業にはならないと考えたのである。
P.131
サービスによる差別化を優先し、利益は後からついてくる。
小倉昌男が言うと重みがある。
いつかちゃんと利益がついてくるイメージを持っているからこそできること。
全然そこを意識せずにサービス向上意識が先行したりする人が多い印象。
やるなら覚悟を持って取り組まないといかんよな。
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