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プラットフォームビジネスを定義し、その類型を整理してくれた画期的に便利な著作。 富士通総研・ 根来龍之/プラットフォームビジネス最前線 26の分野を図解とデータで徹底解剖

プラットフォームビジネスを定義し、その類型を丁寧に整理している本。
ネットビジネスの成功はいかにプラットフォームになるか、にかかっているとも言える。
でも、本書のアンケートによるとプラットフォームという言葉の認知はまだまだらしい。
世の中ってそんなもんかね??

とにかく、プラットフォームビジネスの現状を整理、把握するのにこんなに適した本はない。


プラットフォームの定義

プラットフォームビジネスをより正確に定義するために、プラットフォームビジネスではないものを明確にしていこう。その本質は、最終ユーザーと事業者との関係にある。プラットフォームビジネスではない伝統的なビジネスでは、バリューチェーン構造の最終事業者が製品・サービスの選択肢を提示し、最終ユーザーはその選択肢の中から(最終)製品・サービスを選ぶ。つまり、最終ユーザーは最終事業者をさかのぽって素材や部品を指定することはできず、最終的に選択肢を決めるのは製品・サービスの最終事業者である。一方プラットフォームビジネスは、「製品・サービス」が組み合わせ可能なことを想定している。これは、産業をレイヤー構造で表現することでうまく表せる。最終ユーザーは、各レイヤーの製品・サービスを直接選択できる。
P.2

バリューチェーンは水平の連鎖だったが、レイヤー構造というのは垂直な重なり。
最終消費者は、その垂直な重なりの各レイヤー毎に製品、サービスを選択できる。
この前提が革命的に違う。いやぁ、本当にうまい説明だなぁと思いました。
また、補完製品を前提にしているのも重要なポイント。
これが無いものはプラットフォームではない。

そしてプラットフォームは基盤型と媒介型の2つに大別できる。
基盤型は事業者が提供するプラットフォームを前提とした補完製品、サービスが存在する構造を持つ。
パソコンOSやゲームのハードなんかがこれ。

媒介型は補完製品、サービスが存在するのは同じだけど、ユーザーが直接購入するのではなく、
媒介型プラットフォームを介して行われる。

実は基盤型に見える多くの製品やサービスは、媒介機能を同時に持つ、という点に注意しよう。たとえばゲームはゲームソフトを補完製品とするプラットフォームであると同時に、対戦型ゲームなどのゲームソフトは対戦者とコミュニケーションを仲介するためのプラットフォームとなっている。また、ソーシャルネットワークサービス(SNS)のFacebook上でソーシャルアプリ(ゲーム)が展開されている点で、Facebookは基盤型プラットフォームであるが、SNS本来のコミュニケーションサービスは媒介型の性質を持つ。
P.16

ネットワーク効果

プラットフォームビジネスは、プラットフォーム運営企業(プラットフォーマー)以外に、ユーザーと補完製品・サービスの提供者(補完プレイヤー)という複数プレイヤーから成り立っている。複数の異なるプレイヤーが参加するプラットフォームはマルチサイド・プラットフォーム(プレイヤーが2 種類だけの場合はツーサイド・プラットフォーム)と呼ばれており、そこでは2種類のネットワーク効果が働く。

1.サイド内ネットワーク効果同じ種類のプレイヤーが多ければ多いほど、そのフレイヤ一にとってのプラットフォームの効用が高くなる。
2.サイド間ネットワーク効果一つの種類のプレイヤーの数が多いほど別の種類のプレイヤーがプラットフォーマーから得る価値が大きくなる。
P.25

ネットワーク効果というのは面白いもので、
これがあるがゆえに、プラットフォームビジネスは独り勝ち=Winner Take All(WTA)になりやすい。
ファースト・ムーバー・アドバンテージと言われるものの源泉も、
このネットワーク効果によるところが多い。


マルチホーミング

マルチホーミングとはユーザーや補完プレイヤーが複数のプラットフォームを利用することであり、そのメリットが大きい場合はWTAメカニズムは弱くなる。逆に、マルチホーミングのコストが高い場合、ユーザーや補完プレイヤーは1つのサービスだけを使うため、規模効果やシナジー効果を通じてWTAメカニズムは強化され、強く働く。したがって、先行しているプラットフォームは、ユーザーや補完フレイヤ一に、なるべく他のプラットフォームを使わせない(マルチホーミングをさせない)ことが自社の競争力をさらに高め、後発のプラットフォーム事業者にとっては、逆にマルチホーミングのコストを下げることが必要になる。
P.28

マルチホーミングという言葉はこの本を読んで初めて知った。
確かにこの概念は攻める側にとっても、守る側にとっても大切。


サービス・ドミナント・ロジック

マーケティングの世界では、商品自体に価値を埋め込み、その交換価値を重視する考え方を「グッズ・ドミナント・ロジック(GDL)」と言う。一方、モノとサービスを一体化させ、顧客が購人した後の使用価値や経験価値を高めることを重視する考え方は「サービス・ドミナント・ロジック(SDL)」と呼ばれる。このように、製造業におけるビジネスの視点はGDLからSDLへと移ってきている。 SDLの世界では、顧客との関係性構築を通じて、いかに顧客と価値の共創を実現するかがポイントとなる。
P.58

製造業がサービス・ドミナント・ロジックへシフトしてきている、というのは、
マクロな視点で大きな時代の変化、潮流を感じる。


CPUの普及はOSとセット

基盤型プラットフォームであるCPUが普及するためには、パソコンの場合はx86プロセッサがウィンドウズとともに普及したように、組み合わせとなるOS の普及が重要な要因となる。その意味で、モバイルOS の頃でも説明したように、現在インテルサムスン電子とスマートフォンOSであるTizen(ダイゼン)の開発を進めており、ダイゼンの浸透次第によってはAtomのシェアが今後伸びていく可能性もある。その一方で、アップルはMacにもARMベースのCPUを採用する検討をしているという報道もある(Bloombergの2012年11月7日の¨Apple Said to Be Exploring Switch From Inter For Mac”より)。iPhoneiPad で動くアプリケーションをそのままMacでも動かせるようにして連携性を高める狙いがある。
P.226

言われてみればなるほど納得。
もしかするとx86系は廃れてしまうのかもしれないね。
スマートデバイスを制するものが勝者に。