学びや思いつきを記録する、超要約ノート

国内MBA2013年入学、2015年無事卒業!読んだ本、記事、などの読書ノート。 忘れないために超要約整理。そんな記録。

CRMの決定版。これは読んで終わりじゃなくて、実践して初めて価値ある書! 三谷宏治/CRM 顧客はそこにいる

三谷氏はボストン・コンサルティング・グループを経て、
アクセンチュアの戦略グループ、エグゼクティブ・パートナーという経歴。
本書はCRM関連書籍としては大ベストセラー。

確かに、とても学びが多い。
CRMって言葉は普及したけど、普及の過程で結構誤解されている気がする。
そういうことに本書を読んで気づけた。

CRM―顧客はそこにいる (Best solution)

CRM―顧客はそこにいる (Best solution)


顧客はむやみに細分化していない

その進化のための次の4ステップは企業が顧客を正しく捉え、位置づけ、働きかける活動・能力を育むための要諦ともいえる。
①顧客セグメンテーションの適正化
②セグメント別の明確な位置づけと対応
③情報収集と個別対応のケイパビリティ強化
④顧客インサイトをケイパビリティとして確立し活動の陳腐化を防ぐ
特に顧客セグメンテーションの適正化のためには、後に述べる「五つの罠」をくぐり抜ける必要があり、それがCRMを正しく働かせる前提となる。しかし意外に多くの日本企業が最初のステップからつまずいているのが現状であり、そのままでは単にワンートゥー・ワン的個別対応を追求しコスト倒れになる危険も高い。
P.48

セグメントの適正化ってのは一番大切だし、とっても難しい。
ビジネス上意味のあるセグメントを見つけ出さなくてはいけないし。
コスト倒れになるようなやたらと細かいセグメント設定とかは、
やってる感は出るけど、本当に儲けに繋がっているかをよくよく考える必要がある。
あと、結局セグメントの粒度と施策の粒度が合ってないのも自己満足。
セグメント細かすぎて、施策がついていかないパターン。
でも最近はマーケティングオートメーションツールとかを組み合わせて、
細分化&自動化の流れが結構来ている気もする。
ZOZOがやってるメルマガ100種類以上打ち分ける、とか。


顧客のエージェント

企業はもはや供給者(たとえばメーカー)もしくは販売者(たとえば商社)としての立場ではなく、顧客の立場に立ち、その利害を代弁するエージェント、つまり購買代理人になることが求められる。
P.70

いかに顧客に寄り添っていけるか、いかに信頼されるか、ってのが本当に重要なんだろうなぁ。
どうやって身近な存在になれるか、コミュニケーションのとり方は工夫の余地がたくさんありそう。
顧客のエージェントっていうイメージはとてもしっくりきた。

そして、エージェントとして提供できる6つのバリュー。

カスタマイゼーション
・嗜好、消費パターンを記憶して、商品/サービスをニーズに合わせて作る/組み合わせる
ワンストップ
・必要なニーズに関連する商品/サービスを一ヵ所で提供する
マッチング
・中立、客観的視点で、商品/サービス群の中から消費者のニーズに合うものを探す
ジャストタイミング
・必要性が最も強まり、消費者にとってふさわしいタイミングで商品/サービスを提供する
レコメンデーション
・ニーズの予測・確認・修正を繰り返し、嗜好、消費パターンに応じて見合う商品/サービスをピンポイントで提案するメタプロダクト
・消費の背景を理解した上で、高次のより明確なニーズに対して、すべての商品/サービス群を目的実現のためにセットで提供する
P.73

どの価値をどう届けるか、組み合わせによっても違うだろうし、
丁寧に検討することで色々なアイデアが生まれそう。


CRM最大の誤解かもしれない

その顧客収益基盤は顧客生涯価値(LTV〔Life Time Value〕)、つまり①個客シェア②商品範囲③顧客時間④顧客範囲の4軸で定義される多面的なものでありうる。ではこれは企業の成長において何を意味するのであろうか。
CRMは既存顧客の囲い込みが唯一の目的であるとしばしば誤解されている。開拓の手間がかかる新規顧客は忘れ、既存客との「関係性」を強めて顧客ロイヤルティをあげ、既存の商品・サービスをもっと効率的に売ろう、とするものだ。しかしそれだけでは商売は拡がらない。つまり①の軸、既存客・既存商品で個客内シェアを上げる(同じものを同じお客様にもっといっぱい浮気せず買ってもらう)だけでは大きな成長はない。
P.78

顧客のLTVは4軸で構成されている多面的なもの。
それなのにここに書いてある通りCRMというと
顧客の囲い込み的な話ばかりになってしまう。これは完全に誤解してた。
近視眼的・狭義のCRMに陥らないように気をつけたい。


戦略的なセグメント

マス広告を無駄が多いとわかっていながら継続せざるをえないのは、企業が代わりに選択的かつ低コストな広告伝達手段を持たないからにすぎない。雑誌然り、DM然りである。いくら名簿をかき集めてきれいな印刷のDMをうったところで、レスポンスが二%もないようなやりかたではTVの方がましである。個別対応といっても大変なのだ。実際ワンートゥー・ワンの一番の危険はそこにある。
もう一つ、平均化の罠である。「平均的日本人」というものが現実には存在しないように、平均的顧客というものも存在しない。対応が大変だからとこれも安易にセグメントをまとめて平均値をとってもそこには誰も客はおらず、むなしく攻撃を続けることになる。みんな海か山に住んでいるのにその場所情報を「平均して」その真ん中のジャングルに兵を送るようなものだ。資源の無駄以外の何ものでもなく、負けは確実である。
P.92-P.93

CRMとは儲けるためのものであるべき。
コスト倒れは本末転倒。肝に銘じておきたい。
また、平均化の罠はCRMに限らずデータの分析をしていく上でとっても大切。
そしてまた気をつけなければいけない誤解。

「顧客セグメントとは顧客のニーズをパターン化しそれごとに括ったものである。」
よく知られた、しかし明らかに間違った定義である。
問題は二つある。
一つはニーズだけで括られるのではないということ、もう一つはコストとのバランスが必要だということである。
ニーズは企業にとっての顧客を特徴づける、一つの側面にすぎない。
P.94

切り口はニーズだけじゃないし、費用対効果の視点を持たないと意味が無い。

要はセグメンテーションとはその売上増効果と提供コスト増との最もいいバランスのところで切られるべきだ、ということである。顧客ニーズに偏らず、その売上増効果全体と提供コストとのトレードオフを考慮した、そういうセグメンテーションのことを「戦略的セグメンテーション」という。
P.96

何のためのCRMかってこと。
収益を向上させるためのものであることを忘れちゃいけない。
CRMすること自体が目的化してしまったCRM、とか多い気がする・・・。


今すぐできるセグメンテーション(顧客層別化)

層別化のやり方にはさまざまな手法がある。その中でも特に「タイミングを重視した」「より直接的な」手法をここでは紹介したい。
考え方としては極めて簡単である。①どうせ人(や企業)は押しても買わない。ゆえに、②買いモード(買う気になっている)客を効率よく見つけよう。それには、③タイミングをうまく測る(タイミング・セグメンテーション)か、④その客が行う情報収集(POI)をお手伝いしよう、というものだ。
P.97

購買のスパンとか調べてみるのは結構楽しい。


なんでも顧客に聞けばいいもんじゃない

「こういう商品があったら買いたいと思いますか。」
「はい、非常にそう思う。はい、ややそう思う」云々の世界である。
確かに研究開発段階では他にあまり方法がないし、こういう調査に重きが置かれることはいたしかたない。しかしこういった意向情報が極めて不正確、つまりいい加減だというのも確かである。金を払わない客の言うことほど当てにならないことはない。「こういう商品が一万円以下だったら絶対買う」と答えた人を追跡調査してみると、実際にその商品が世に出たときにきちんと買う人はその半分もいない。こういう意向調査のデータは、値段を決めるとか売上予測をするとかの定量的な分析には本当はなるべく使いたくない、というのが企業の本音であろう。
P.122

川上智子『顧客志向の新製品開発』でもこの手の話は出てきてた。

テーマも面白いし、論文の構成を学ぶ上でも参考になる。 川上智子/顧客志向の新製品開発 - 学びや思いつきを記録する、超要約ノート

顧客は、自分が欲しいものを知らないっていう話。
こういう話を知ってる前提の人で話すと楽だけど、
そうじゃない人って顧客の意見=神のお告げみたいに
なっちゃう人いるからめんどくさい。
こういうちょっとしたリテラシーの問題って仕事していく上では結構大切。


CRM=RFMじゃないのよ

「今、いっぱいお金を使ってくれる顧客」が重要なのは当たり前の話で、それが見えていなかったのは戦略的には論外、それ以前の話である。重要なのは「将来の客」をどう見つけどう囲い込むかであろう。それが「いついくら買った」だけのRFMセグメンテーションでできるのか。
P.130

RFMはもちろん大事だけど、それだけじゃないよな。

あと、アプローチの仕方も要注意。
コミュニケーションの仕方間違えると、逆効果。

顧客セグメンテーションの目的は、重要なお客様を効果的・効率的に囲い込むことであって、その他のお客様を無用に刺激し不快にさせるためのものではない。
P.137

結構繊細な問題を孕んでるんだよな。


購買ニーズマトリックス

P.144~の購買ニーズマトリックスの話が面白い。
購買への関心度と選択の知識度で4つのセグメントに仕切る。
楽ちん志向、無関心、こだわり派、子羊、これらの類型と対応方法は
学ぶべき点が多いし、普通に面白い。

で、自分の場合は子羊の攻略が重要。

消費への関心は高いが、自分で最適な選択をするだけの力を持っていないタイプが「子羊」である。弁護士や医者などの高度専門的なサービス提供の構図が、まさに「子羊」に対するアプローチの典型である。依頼人や患者の状況を理解した上で、抱えている問題について適切なアドバイスや処方を行う。その際、本人の判断が必要なものについてはその判断を助けるための専門知識や、判断の視点・観点を提供する。
(中略)
また、ここでは特に、個客エージェントのアドバイスが個客の立場に立ったものであること(少なくとも個客エージェント企業の私欲からでたものではないこと)を示すことが重要となってくる。たとえばアマゾンの場合、読者からの書評を載せることでその機能を果たしている。
P.148

企業の私利私欲ではないことを示すってのがなかなか難しい。
でもこれってメディアの作り方にも似ている気がする。


セブンイレブンのケイパビリティ

ちょっとこの話はビックリ。
コンビニのバイトがやってるPOSレジの客の性別年齢選択なんて
いい加減っていう話はたくさん聞くけれど、
セブンはちゃんと対策をとっていたのね。すごい。

セブンイレブンは違う。その店のロケーションや販売の日付・時間帯といった情報をこれまでに蓄積した全国の膨大な購買データのパターンと組み合わせることで、入力されたデータの異常を識別するケイパビリティを持っている。この他にも店内ビデオの活用や地区のスーパバイザーといった人間系での対応も駆使して、データの正確性を確保している。これに対して他の多くのコンビニェンスーストアでは、来店客の九〇%が「六〇歳以上の男性」となっていても手の打ちようがない。差は歴然であろう。
P.171

データは正確じゃないと意味が無い。
そこにこだわって、オペレーションとかチェック機能を設けて仕組み化しちゃうのが凄い。


SFAの話

問接人員の削減やSOHOへの流れの中で、仕事に関わるさまざまな庶務は営業マンが自分でやらなければならなくなってきている。SFAではまずこの部分の負担をできるだけ觧消し、営業に専念できる時間、すなわち自分の付加価値を最も発揮できる時間の拡大に貢献しようと考える。そのため電子メールはもちろん、スケジュール管理、顧客への資料送付や案内なども画面から簡単に依頼し、本部で集中的に受けつけるようになっている。
P.189

CRM関係なく、こういう効率化してかないと駄目なんだよなって話。

欧米と異なり、営業等の領域ではいわゆるジョブディスクリプション(職務規程)が極めて曖昧で、組織の中で誰がいつ、何をするのかが決まっていない。決まっているかのように見えても、それは多分に自律型という名の下での「現場スタッフへのお任せ」である。新しい活動が始まっても、「ツールはできた、あとはうまく使いこなせ」式がほとんどだ。
P.242

まぁ、これもまさに、ですよね。


ゲームのルールが変わった

これまで既存の小売業が明確には意識してこなかった、顧客の満たされていないニーズを見つけだし、それを持続的に満たしていくために購買エージェントとしてあらゆる努力を注ぎ込む。そしてその領域において、顧客の高い信頼とロイヤルティを獲得し、強い戦略ポジションを確立する。これが、国内のみならず海外においても、今日急成長している小売業に共通して見られる大きな特徴である。もはや、誰のためか不明瞭な供給的発想の「販売」を顧客が受け入れなくなってきていることの表れといえよう。冒頭の「ゲームのルールが変わった」という発言の意味するところである。
P.283

まぁこの本出てからずいぶん経っているけれど、CRMが重要であることは変わってない気がする。
ただ、昔よりは随分とCRMって言葉も人口に膾炙して、
妙な誤解と知ったかぶりが蔓延しているかも。
自分でもなんとなく抱いていたCRMのイメージが誤りであったことがこの本を読んでよくわかった。
あと、多分この本は実践の書。
読むだけじゃなくて、実務の傍らに置いて、ちゃんとこの本に沿って
考えてみることが大切な気がする。

CRM―顧客はそこにいる (Best solution)

CRM―顧客はそこにいる (Best solution)