ビジネス書大好きMBAホルダーが教える私の学びシェア

本を読んでそこから新しい知識を得たり、学んだりすることが大好き。学びたい、成長したいという意欲のあるビジネスマンの皆さん、一緒に成長しましょう。

片付けたい仕事を解決するために、顧客は商品を雇用する!! クレイトン・M・クリステンセン/ジョブ理論

イノベーションのジレンマ』で有名なクリステンセン教授が満を持して出したのがこの『ジョブ理論』。
本としてまとめるのに時間はかかったけど、ずいぶん前から構想としてはあって、
ここに紹介されるようなエピソードも断片的に流布していたように思う。

結局、あらゆるKPIを設定して数値管理しようとしてもそんなにうまくイノベーションなんて起きないよね、と。
大切なのはいわゆるインサイトで、顧客が本当に望んでいるニーズを発見できるかなんだよ、と。
で、顧客のニーズってのはそもそも顧客自身もわかってないことも多い。
それをどう見つけるのか、その考え方を教えてくれる本。

ジョブ理論 イノベーションを予測可能にする消費のメカニズム (ビジネスリーダー1万人が選ぶベストビジネス書トップポイント大賞第2位!  ハーパーコリンズ・ノンフィクション)

ジョブ理論 イノベーションを予測可能にする消費のメカニズム (ビジネスリーダー1万人が選ぶベストビジネス書トップポイント大賞第2位! ハーパーコリンズ・ノンフィクション)

  • 作者: クレイトン M クリステンセン,タディホール,カレンディロン,デイビッド S ダンカン,依田光江
  • 出版社/メーカー: ハーパーコリンズ・ ジャパン
  • 発売日: 2017/08/01
  • メディア: 単行本
  • この商品を含むブログ (4件) を見る

片付けたいジョブはなに?

魔法の言葉、「顧客が片付けたいジョブは何なのか??」
そのジョブを片付けるために、顧客は商品・サービスを雇用しているんだ、という整理の仕方をすることで、
商品が果たしている役割や期待されている機能に今まで気づかなかった側面が現れてくる、というもの。

ただ、ジョブは「状況」と密接な関係がある。

ジョブの定義には「状況」が含まれる。ジョブはそれが生じた特定の文脈に関連してのみ定義することができ、
同じように、有効な解決策も特定の文脈に関連してのみもたらすことができる。
P.59

状況によって顧客が片付けたいジョブは違う。

有名なミルクシェイクの話は本書でも出てくるのだけど、
朝の通勤時間にミルクシェイクを買う人は朝の通勤時、運転しながら飲めて、腹持ちがして、長い時間楽しめるものを求めているけれど、
夕方子供に買い与えるときは、優しい父親像を求めてるってな話。
同じ商品でもこれだけ状況によって片付けたいジョブは異なる。

ミルクシェイクをもっと売りたいと考えた場合に、探す方法はひとつではないということになる。”ひとつですべてを満たす”万能の解決策は結果的に何ひとつ満たさないのだ。
P.36

でもそういう真のニーズは消費者自身が自覚しているかというと、
必ずしもそうではないのだ。

多くの企業は、どうすれば自社製品がもっと魅力的になるかを消費者に訊くという危なっかしい策に手を出している。もっと速く?もっと色鮮やかに?もっと安く?あるいは、すでにつくり上げたものをただ変更するとか、業界の共通認識となったカテゴリの定義をそのまま踏襲するだけでいいと考える企業もある。その時点で、消費者にとっての本物のジョブを発見する機会を手放しているといえる。
P.142


*感情の動きと不安

ある男性が、コストコマットレスを買った。
その人にインタビューした結果見えてくる購入の経緯。
データ上は一見衝動買いにしか見えないこの行動の裏には1年に及ぶ不満や葛藤があったという話。

コストコでの行動だけを見れば、彼は衝動買いの客に分類されるかもしれない。そして、人はマットレスを衝動買いする、というマーケティング分析の一例にされてしまうかもしれない。しかし実際には、彼は1年前から考え続けていた。
(中略)
新しいマットレスを雇用したい気持ちより、古いマットレスを解雇したい気持ちのほうがはるかに強かった。そしてあの日、ついに我慢が切れたのだ。
P.181 - P.183

購買行動の裏にある消費者心理を考えないとだめよね。
数字だけ追っかけててもそれは見えてこないのよ。

これは購買データを分析する人たちは皆、肝に銘じておいた方がいい。
購買行動は1つ1つが単なる数字ではなく、人間臭い行動なんだってこと。
購買者数、ユニークユーザー、DAU、MAU、アクティブユーザー、
KPIとか言って見た気になってるそういう数字の裏側を考えないといけないのよ。

そういう意味では定量も定性もどっちも重要なのよね。
定量データだけには限界がある。

また、シェイクの話のように同じ商品であっても、顧客が置かれた状況によって、
片付けたい仕事は変わる。つまり商品を雇用する理由が変わる。

だからこそ、状況が重要。
モグラ的なセグメントを越えて、状況で捉える必要があるよね。
でもこの状況で顧客を把握するって、すげー難しいよなぁ、とも思う。

カスタマージャーニー的な落とし込みは顧客の状況の整理には役に立つ気がするけれど、
カートに残したままの商品があるからカート落ちメール流しましょう、
ほらコンバージョンが上がりましたみたいなアプローチは、
顧客の片付けたい仕事、っていう文脈とは全く関係ない。

それだと結局、大して魅力的なジャーニーにはならんだろうね、ってことなのよ。
最終的にはカスタマーには素敵なジャーニーを提供したい、と皆思っているはずなのにね。

ジョブ理論 イノベーションを予測可能にする消費のメカニズム (ビジネスリーダー1万人が選ぶベストビジネス書トップポイント大賞第2位!  ハーパーコリンズ・ノンフィクション)

ジョブ理論 イノベーションを予測可能にする消費のメカニズム (ビジネスリーダー1万人が選ぶベストビジネス書トップポイント大賞第2位! ハーパーコリンズ・ノンフィクション)

  • 作者: クレイトン M クリステンセン,タディホール,カレンディロン,デイビッド S ダンカン,依田光江
  • 出版社/メーカー: ハーパーコリンズ・ ジャパン
  • 発売日: 2017/08/01
  • メディア: 単行本
  • この商品を含むブログ (4件) を見る