ビジネス書大好きMBAホルダーが教える私の学びシェア

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これもっとマーケティングの本として読まれていいと思うんだよね。 佐渡島庸平/WE ARE LONELY, BUT NOT ALONE

コルクの佐渡島さんによる現代の価値観を読み解きながら、
コミュニティのあり方を解説する本。

彼自身、コルクラボというコミュニティを運営しながらの
気づきと試行錯誤に基づいていて
コミュニティを運営して行く際の重要なポイントが網羅されている。


コミュニティ運営なんて関係ない?

コミュニティの運営と言われると、いや別にそういうのしないし、と思うかもしれない。
けれど、サトナオさんの『ファンベース』のように商品やサービスのファンを重視する視点に立つと、
これから何らかの商品、サービスのマーケティングに関わっていくならば、
コミュニティ的なものとは切っても切れないというか、不可避な要素だと思う。

digima.hatenablog.jp


なので、個人でコミュニティを運営していなくても、
コミュニティ運営の視点を持っておくことは有益な時代。

だから、これもっとマーケティングの本として読まれていいと思うんだよね。

価値観やアイデンティティの変化

僕の、灘高、東大という学歴は、ネット以前のコミュニティだと、非常に高い価値を持つ。学歴は、自分を制御し、社会の要求に自分を合わせることができる、ということのもっともわかりやすい証明書だ。しかし、その価値観は、これからの時代、全く意味を持たない。
P31

わかりやすい学歴不要論なんだけど、学歴不要という人の学歴は皆高いの法則そのまんまだったりする。
言ってることは半分正しいと思うけど、学歴もまたコミュニティなんじゃないの、とも思う。
ただ、学歴なくても、いかようにでも勝負できる時代になってることは確か。

「何を手に入れているか」よりも「何をやっている人か」「なぜやっているか」という理由のほうが重要になってきたのだ。
P.33

これも大きな価値観の変化だと思う。
あれよあれよという間にそういう時代になっていった感じがするけれど、
価値観は変化し続けるだろうし、揺り戻しも来るような気がしている。

確かに、「何をやっているか」「なぜやっているか」といったことが
明確な人の方が共感を得やすい時代なんだろうけれど、
そうやって確立された人もまたいつしかわかりやすい権威として消費される時が来る。
本質的にわかりやすい物や権威の価値に引きづられる人が多いということは変わってない気がする。

これからは、物質の所有やヒエラルキー付き組織への所属ではなく、自分は何を欲しいのか、何をいいと思うのか、それをわかりやすく表明している個人への注目が集まっていく。SNSでフォロワーを多く集めているのは、どんな価値観で生きているかがわかりやすく、ブレない人だ。
P.34

わかりやすいってのは大切だよね。わかりやすくないと共感得づらい。


大ヒットの功罪

ピタゴラスイッチ』や『だんご3兄弟』の佐藤雅彦さんがコルクラボにゲストとして講演してくれた時の言葉が印象に残っている。「大ヒットしないように気をつけている。『だんご3兄弟』は、ヒットしたせいで、新しく好きになる人が減った。他の作品は、今も新しくファンになる人が多い」
P.75 -P.76

このヒットしないように気をつける、ってなんかすごく重要なことのように感じた。
ヒットしすぎると、一瞬で消費し尽くされて、焼け野原になる。
持続可能な成長の機会は失われて、燃え尽きるイメージ。
そこのコントロールは至難の技だと思うけど、ヒットすることの恐ろしさはあるよな、と思う。


熱狂ピラミッド

ファン層をComitter, Acceptor, Liker, Userの4階層のピラミッド構造で理解している、という話。(P.116)
これってとてもCRM的な考え方。階層ごとに取るべきコミュニケーションも変わる。

だからちゃんと個人がどの階層に属しているのかを把握しつつ、
コミュニケーションを打ち分けましょう、というのがCRM的な考え方になるんだけど、
まだそこまでは言及されていない。
こういう階層の人たちという集団をイメージしながら、
Comitterに向けた発信、Acceptor向けの発信、などと打ち分けているイメージなのかな。
個ではなく、グループに向けて投げかけている感じ。

確かゆうこすも、これはどの層向けの投稿、とか意識してやってるって言ってた。
それと近い感覚なのかもしれない。

あと、本書では週刊少年ジャンプがファンのマネージメントをしてきた、と言われているけど、
これには若干の違和感があるんだよなぁ。。
もっと意識してやったら凄そうだな、とは思うけど。


安全と安心

コミュニティには安全と安心の確保が重要、というお話のなかで、じゃあ安全とは、安心とは何かのお話。
コミュニティ運営に限らず、日常的にコミュニケーション上、重要な要素なんだと思う。

安全の意味を細かく定義すると、安全は、客観的に身の回りに危険がなく、危険があったときの準備ができている状態。安心の定義は、イメージがわくこと。文科省が、安全・安心な社会の概念というのを説明しているよくできたサイトを作っていて、その中で安心を「人が知識・経験を通じて予測している状況と大きく異なる状況にならないと信じていること」と定義している。安心の定義は、不安とは何かを考えると理解しやすくなる。
上司から急に「今夜12時に、どうしても話したいことがあるから無理してでも時間をあけておくように」とメールが来たら、たとえどれだけよく知っている上司でも、不安になる人がほとんどだと思う。もしも「緊急トラブルに対応したくて深夜だけど12時から打ち合わせをしたい。詳細は、そのときに伝える」とあれば、夜12時の打ち合わせでもそれほど不安にはならない。そこまで親しくない間柄でも、このメールなら大丈夫ではないだろうか。
p.161-P.162

で、この安全、安心の確保はコミュニティのメンバーが増えるたびに意識する必要があるということ。

コミュニティは、拡大するたびに、新旧両方のメンバーの安全・安心が必ず脅かされる。そのことを理解して、拡大するたびに、新旧両方の安全・安心の確保をする。それだけで、コミュニティは拡大しても崩壊せず、熱狂を持続しやすくなる。
P.172