ビジネス書大好きMBAホルダーが教える私の学びシェア

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傑物ぶりが際立つだけに、執拗なマスコミ報道で精神を病んでいく様が恐ろしい。馬場マコト・土屋洋/江副浩正

リクルートが好きかと言われるとあんま好きじゃない。
あのある種独特なリクルートのノリは未だに馴染めない自分がいる。

就活の時も、一応学生複数名で話を聞く会みたいなの言ったけど、
どう見てもあれは選考だったし、そのつもりでものすごく前のめりな人たちが
とにかく鬱陶しかった。

だから個人的にはリクルート嫌いなんだけど、
創業者であり、あの文化がどう形成されて言ったのかということには非常に興味がある。
そこで手に取ったのが本書だ。

辞書みたいに分厚い圧倒的存在感を放つ本書だが、
読み始めると実に読みやすい伝記物という印象。

江副浩正の半生を細やかに伝えてくれる名著だ。

江副浩正

江副浩正

部下に対する圧倒的要求

この人、本当にやりたいこと、やるべきことに対する要求に妥協がないんだな、というのが実に刺激的だった。
できないかも、きついかも、なんて微塵も思っていない。
できるはず、そういう人を採用しているという圧倒的信頼。
たとえ嘘だったとしても言い切れるのはすごいことだよ。

「僕の要求するスピードに答えられる才能と意欲を持った人材を僕は採用し続けてきたという自負があります。答えられないようだったら、それは僕の目が節穴だったということ。編集スタッフに今以上の大きな任務を課してください。彼らはきっと応えてくれます。スピードが彼らの秘めた才能を引き出すのです」
P.220

コンビニ流通

儲けの源泉が広告ならば販売売り上げは必要ないという割り切り。
それを小売側に全てあげることで、流通を開拓するという発送は当時としてはとても画期的だったと思う。
実に理にかなった素晴らしい流通開拓だ。

広告収入で利益を確保するリクルートは、定価は書かれているが代金は徴収しない。つまり、売り上げは全てコンビニのものになるのである。各コンビニ本部が「住宅情報」の導入を即決する。
P.230

雑感

リクルート事件の逮捕前、江副氏は随分傲慢なところが出てきていたようだ。
そこからの急落。人間、うまくいっている時ほど謙虚にならねば、と痛感させられる人生。
そして、ちょっとしたボタンの掛け違いが、人生を狂わすこともあるということ。
この本を読むと、そんな運命のいたずらを強く感じる。

そして、これだけの人物が、マスコミの報道や執拗な取材で精神を病んでしまうという事実。
本書にもその過程は記載されているが、いざターゲットになると正気を保つのは至難の技なのだろうね。
自殺しなかったのが不思議なくらいの精神状態に追い込まれている。
自死への誘惑に負けそうになったというのは誇張ではないと思う。

どんなに優秀で強い人間も、ふとした弾みで人生は暗転するし、
どんな人間も、正気を保てない状況というのがこの世の中には存在しているということをまざまざと感じた。


江副浩正

江副浩正