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「働かざる者、食うべからず」でも、「寡婦と孤児は庇護すべし」 波頭亮/AIとBIはいかに人間を変えるのか

これもあのNews Picks Bookシリーズの1冊なんだけど、
他のに比べると普通の本だから、あんまり人気ないみたいね。

たぶん、ここに書かれていることは1年ごとに古臭くなっていくんだと思う。
でもこの界隈の議論の元になる基礎情報とか抑えておくには便利な本って感じ。

ニューロンの数

しかしその一方で、「グーグルの猫」のニューロンの数が10億に達しているとはいっても人間の脳のニューロンの数は1000億以上であり、それらのニューロンを繋ぐシナプスに至っては100兆に達する。物理的な実装を伴うCPUなどの演算装置を作ろうとすると、こうした人間の脳の途方もない巨大さはAIにとって高いハードルとなる。AIが人間並みの認知や判断、思考をおこなえるようになるにはまだまだ先は長いというのも事実であろう。
P.52

これを見たときはへーって思いつつも、物理的な量の問題であればそれは時間の問題じゃないか、とも感じた。
AI vs 教科書が読めない子どもたちの著者の新井紀子さんは、もっと根本的な問題として
AIは「言葉の意味を解さない」という限界があると言っていた。
計算機である以上、論理、統計、確率、で語れないものは処理できないという限界があるのだ、と。
ニューロンの数が増えれば勝手に乗り越えられる問題なのか、そうではないのか、気になるところ。

個人的には数学者である新井さんのお話は非常に腑に落ちるのでAIに興味あるなら、
そっちも読まれることをおススメしたい。

AI vs. 教科書が読めない子どもたち

AI vs. 教科書が読めない子どもたち

ベーシックインカムと貧困

低所得者だけに給付する方が必要な財源が少なくて済むのだから、富裕層にまで配る必要は無い」という批判をする向きもあるが、そうした批判は妥当ではない。富裕層に対してはBIとして給付する金額以上の増税をすることによって、実質的な負担増を担ってもらえばよいだけのことである。
これは健康保険の受益と負担の関係と同じである。健康保険の保険料は、月収6万3000円未満の人は1ヶ月約5600円であるのに対し、月収135万5000円以上の人の保険料は1ヶ月14万5500円と、収入の多寡によって26倍もの負担額の差があるが、受益の方は全員同一で、実際にかかった治療費の3分の1が自己負担という制度になっている。
P.142

この話もベーシックインカムのための増税が妥当かどうかよりも、
今の健康保険ってこんな金額で差がついてるのねっていうのがわかりやすかったからメモ。
こういう色んなファクトをわかりやすくまとめてくれている本ってとても便利。

以下の数字も、自分的には驚き。

相対的貧困率(等価可処分所得の中央値の半分以下の人の割合)は2011年の時点で16.0%に達している。これはOECE平均の11.6%を大幅に上回る水準であり、日本国民の6人に1人が等価可処分所得122万円以下での生活を強いられているということになる。更に一人親世帯の子供の相対的貧困率は50.8%とOECD加盟国中で最悪である(OECD平均は31.0%)。
P.172

迫り来る貧困。
人は自分とかけ離れた環境に対して十分な想像力を持たない。
だから貧困なんて想像つかないと思うんだよね、NewsPicksに金を払える程度に収入がある人たちには。
自分もまったくわからない。
努力の足りない人らの貧困は死なない程度に生活保護でもされていて、って感じだけど、
ひとり親の世帯で貧困で学習機会を奪われて、貧困が連鎖みたいなのは、すごく良くないことだと思っている。

そこから抜け出す機会が常に提供されている社会の方がいいな、と思うのでした。

実は、「働かざる者、食うべからず」の教えが記されている旧約聖書には「寡婦と孤児は庇護すべし」という教えも記されている。
P.222

これも知らなかったんだけど、仰るとおりだと思うな。
「働かざる者、食うべからず」でも、「寡婦と孤児は庇護すべし」