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戦略というものを構造的に捉えて、言語化しているマーケター必読の書。 音部大輔/なぜ戦略で差がつくのか

マーケティング界隈で活躍しまくっているP&Gマフィア。
彼らはP&Gの卒業生。

そんなP&Gマフィアの筆頭ともいうべき人が音部大輔氏だ、

戦略とは何か?
わかっているようでみんなわかっていない。
戦略をちゃんと定義できていなければ、戦略なんか立てようがない。
本書は戦略とは何か、どう考えるものかを丁寧に解説した本。

戦略にフォーカスして、どのように考えていくかを噛み砕いているので、わかりやすい。
最も、膨大なデータと予算が必要そうな印象も抱いてしまうのだが、
弱者の戦略というよりは王道の戦略論。

優秀な人は言語化能力がすごい。

戦略というものを構造的に捉えて、言語化してるのでマーケター必読の書だと思う。


戦略とは何か

一言で言うなら「目的達成のための資源利用の指針」である。

なぜ戦略が必要なのか?に対する答えは、「達成すべき目的があり、かつ資源が有限であるから」である。目的がなければ戦略は必要ないし、資源が無限であれば戦略は必要ない。
P.27

目的を常に意識することは戦略とはまた違う次元で重要だ。

このサンプリングの目的はなんですか?と言う質問に対して、「1人でも多くの利用者に製品を渡すことです」と回答されたことがある。会話になっているように聞こえるが、これではサンプリングという行動の記述に過ぎない。カテゴリー(製品分野)の被使用者にカテゴリーの体験をしてもらいたいのか、ブランドの使用者に新しいアイテムを追加しようしてもらいたいのか、競合ブランドの使用者に製品体験を通して自ブランドの優れた点を認識してもらいたいのか。目的によって最適なサンプリングの仕方は異なるだろう。
P.25

この何のために?という目的を浸透させることは非常に重要だ。
目的の認識が間違っていると、とんでもない結果を招きかねない。
間違った課題に対する正しい答えほど手に負えないものはないからだ。

良い目的を設定するために

目的は解釈の余地がない、誤解の招きようがない表現で設定されなければいけない。
そのための要素がSMACだ。

SMACというのは、Specific(具体的)、Measurable(測定可能)、Achievable(達成可能)、Consistent(一貫性がある)をつなげた単語だ。
P.44

達成可能性をどう捉えるか、ということに関しては、
確実に達成できるというよりも、確実に達成できないことを排除するイメージ。
既存のデータと仮説の組み合わせで構築していく。
ロジカルな仮説思考が求められるということ。


資源を解釈し直す

「目的」に並ぶもう一つの需要な構成要素が「資源」である。戦略における残り半分の創造性は、資源を解釈し直すことにある。目的の再解釈に創造性が必要であったように、ここでも戦略は創造性を要求する。(中略)
目的を達成できなかったり、成果がはかばかしくなかったりといった場合に、資源の欠乏を理由とされることはよくある。(中略)すべての問題を資源の欠乏に帰結させてしまうという姿勢自体も、戦略的に思考できていないことが原因かもしれない。
P.86-P.87

自分たちの資源に、自分たちがどれだけ気付けるか。
組織の中には顕在化していない資源も隠れている。
当たり前だと思っていたことが非常に強力な資源になることすらあり得る。
気づけていない隠れた資源はないか、資源の組み合わせで相乗効果が発揮できないか、
資源になりうる要素をとことん洗い出して整理しなくてはいけない。

ブリーフィングの重要性

ブリーフをいかにわかりやすく、かつ、彼らの専門性を鼓舞できるように書くか、というのはとても重要な工程である。自分たちが提示した目的や戦略が十分に理解しやすいもので、代理店担当者を鼓舞し奮起させるものになっているだろうか。もしクライアントとしてよくわからないのであれば、彼らに直接確認してみるのもいいだろう。
P.118

代理店活用に際してのブリーフが重要だというお話なのだが、
これは代理店のみならず、あらゆる関係者を巻き込み、予想や期待を超える結果を出してもらうための技術。
目的や戦略を明確にした上で、やる気を引き出す伝え方をする。
チームで仕事をする際の要諦でもある。

人は一体どういう時にやる気になるのだろう。
やはり自分が貢献できそうだ、という感触や、自分の働きへの期待が伝わる時なのではないか。
そう考えるとブリーフィングは細部まで規定されたものでは逆効果になる気がする。
それぞれの専門性を持った人材が、創意工夫する余地、余白みたいなものもあるべきだ。


最悪を回避する思考実験

「今日は、計画実行から半年後である。叡智の限りを尽くして組み上げた戦略と、それに基づく計画を、全員が全力で遂行した。誠に残念ながら、我々の試みは完全な失敗に終わった。さて、なぜ失敗したのか」
P.284

これから遂行するプロジェクトを未来から振り返る。
なぜ失敗したのか。
これは遂行の精度をあげる重要な思考実験だ。

個人的には常に意識してる思考実験。
イデアを考えるときはポジティブに広げていくが、ある程度アイデアがまとまってきたら、
一度自分ですべてを否定してみようと試みる。
どうしたら失敗させることができるか。
そのネガティブチェックによって思いついた穴が、
失敗を回避するために対策しなければいけないポイントだったりする。


ポジ、ネガを交互に繰り返し、穴を埋めていく脳内ディベートこそ、
思考を深めるのに有効な手段だと思うのだがこれをやらない人が多すぎる。

これに慣れてくると、一人でいつでもどこでも、思考できるようになるし、
大抵の質問には即答できる。
とにかく思考し続けることは大事。