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自衛隊の戦略の必達目標は絶対に負けないこと。 折木良一/自衛隊元最高幹部が教える 経営学では学べない戦略の本質

マーケティングの戦略や戦術、ロジスティクスといった用語は、軍事用語。
3.11の震災発生時に自衛隊のトップであった著者が、
経営学城の戦略と、軍事的な戦略の違いを紐解きながら、戦略の本質を語る仕掛け。


自衛隊元最高幹部が教える 経営学では学べない戦略の本質

自衛隊元最高幹部が教える 経営学では学べない戦略の本質

集合的無意識とバイアス

まず、自分はバイアスにとらわれている、と認識することから始まる。
私は大丈夫だ、ではなく。
脳のバグだから誰もがバイアスの影響は受けてしまうものだ、と言う客観視ができるかできないか。
知識としてまずバイアスがあるってことを知ってないと話にならない領域でもある。

戦略立案において重要なことの一つは、「相手を知る」ときに、自分がどのようなバイアスにとらわれているのかを客観視すること、つまり、現実を直視することです。
P.47

中でも、日本人の「集合的無意識」は他国に比べても極めて特異なものらしい。

絶対に負けてはいけない

自衛隊の戦略の目的は絶対に負けないこと。
負けたらそれは死を意味するし、代わりに守ってくれる存在はいないから。

そして戦争もビジネスも、たった1回の勝負で勝敗が決まることはない。

戦闘には第1ラウンドだけではなく、第2ラウンドがあり、場合によっては第3ラウンドがあるのです。
P.115

局地的な戦闘に勝利しても、戦争自体に負けたら意味がないわけだ。
これは戦争でも経営でも同じ。

地政学的リスク

日本企業の地政学的リスクへの意識は極めて低い、と指摘している。

調査によっては二〇〇〇年に比べた時の現在のテロ発生頻度が、なんと一〇倍以上にも上る、というデータも存在しています。ならば日本企業もそうしたリスクに対し、感度を高めなければならないのは当然でしょう。
P.162

欧米ではタテマエの世界が崩れつつある。
差別は良くない、移民には寛容であるべきだ、というタテマエが、
実際自らの生活が脅かされてくると保てなくなってくる。
自身の生活に余裕があるからこそ、人は他者に寛容になれるわけで、
そこが崩れると、移民排斥といったホンネが出てくる。

意識していない文化の違いは相当大きい

「熊か自動車が突進してきたとき、あなたは子供をどのようにして守りますか」と質問しました。その返答は、日米で正反対であったといいます。
P.198

日本人とアメリカ人の奥さんに上記の質問をしたところ、アメリカ人の奥さんは全員子供を後ろにはねのけて、両手を広げて仁王立ちする、と回答。日本人は、相手に尻を向け、子供を抱きしめる防御体制をとる、と回答したらしい。

会田氏によれば、欧米人は「危機」が発生する原因を究明し、責任の所在を明確にして、「あるべき姿(未来の姿)」を模索し、再発防止のために「新しい状態を創造」しようとします。
その一方で、日本人は「危機」に至った責任の所在を明確にして教訓を得るよりも、ともすればそれを運命論で処理し、定年や忘却によって乗り越えようとする。そして日本人は「危機」が終わったあと、たとえば大災害の後でも「復興」というかたちで、「あるべき姿」ではなく「元の姿」に戻すことが多いといいます。
P.199 - P.200

参考文献

文化人類学から見た日本。

勝者の条件 (中公文庫)

勝者の条件 (中公文庫)

日本人の意識構造 (講談社現代新書)

日本人の意識構造 (講談社現代新書)

日米比較の古典

菊と刀 (講談社学術文庫)

菊と刀 (講談社学術文庫)

菊と刀 (光文社古典新訳文庫)

菊と刀 (光文社古典新訳文庫)


戦史研究の決定版

失敗の本質―日本軍の組織論的研究 (中公文庫)

失敗の本質―日本軍の組織論的研究 (中公文庫)

この辺の著作が紹介されているけれどどれも面白そう。

自衛隊元最高幹部が教える 経営学では学べない戦略の本質

自衛隊元最高幹部が教える 経営学では学べない戦略の本質