ビジネス書大好きMBAホルダーが教える私の学びシェア

本を読んでそこから新しい知識を得たり、学んだりすることが大好き。学びたい、成長したいという意欲のあるビジネスマンの皆さん、一緒に成長しましょう。

売上構成比の推移とか、データが面白い。 伊藤元重/百貨店の進化

百貨店協会に頼まれて執筆したものを加筆修正して本にしたということで、
百貨店の歴史を概観しながら、今はちょっとしんどいけど未来あるよね、的な
無難な結論に着陸する。

まぁ、提灯記事っぽさは否めないけれど、百貨店の歴史や、
現在の課題を整理するためにはとても平易でわかりやすく、
引用される数字も本書で初めて知ったものも多い。

ちなみに帯は「IT企業になって小売は生き残る」なんだけど、
これ伊勢丹の社長が言ってること、そのまんまで、
大丈夫かなぁ、伊勢丹と少し心配になる今日この頃です。


百貨店の進化

百貨店の進化

衣料品のシェアが落ちている

1965年に42.9%だったシェアが2016年には31.7%にまで下落している。
2000年までは40%を保っていたものが、そこから一気に下落しているそうだ。
一方で伸びているのが雑貨や食料品。(P.62)

長期のトレンドを示した図1−16を見る限り、意外だが衣料品のシェアはバブルの時期に拡大しているわけではない。確かに1970年代から80年代にかけて衣料品、とりわけ婦人衣料の売り上げは急速に拡大し百貨店の売り上げに貢献してきたが、雑貨や食料品の売り上げも同じように伸びて、結果的に衣料品の売り上げシェアが増えたわけでもないのだ。
P.64

売上高の伸びを牽引した商品カテゴリなんだけど、構成比は対して伸びていない。
そしてその後急速にシェアを落としている。それが衣料品。

消費行動の変化

いや、本当に子供産まれると生活変わるからな。

小売業の世界では、よく、「一生の中で最も消費行動が変わるのは、その家に赤ん坊が生まれた時」だと言われる。この点については第2章で詳しく考察するが、ベビーカーを持った遺家族を積極的に受け入れられるような店舗運営は、若い世代の積極的な取り込みの一つだろう。
P.78

全てがショーウィンドーに

スマホで写真を撮ればすぐに同じもの、もしくは類似品が購入できる。
そんな世の中がすぐに来る。もうそうなると街の全てがショーウィンドーになる。
百貨店が魅力的なショーウィンドウになればいいって言ってるけど、
本当にショーウィンドウとしてしか使われなければ商売は立ちいかない。

海外では店舗がECの試着の場になってきている。
ECで商品を選び、リアルで試着、購入するという流れだったり、
商品の受け取りを店舗で行うというクリック&コレクトも普及してきている模様。

シアーズ

米国で長年小売の売り上げナンバー1はシアーズだった。
ダイレクトマーケティングの成功やクレジットカードの活用、PBの成功など、
小売の主要な技術革新はシアーズによってもたらされたという存在なんだとさ。
それでも、ウォルマートに抜かれた。
色々なサービスを発明してきたが、シアーズでなければいけない理由がなくなっていったから。

C2Bとお帳場

お帳場というのは百貨店の上得意様、いわゆる外商のこと。
顧客から店に対してよりアクティブな働きかけを行えるようにすることをC2Bと呼んでるみたいだけど、
要するに一人一人にカスタマイズされたサービスの提供みたいなもんが重要になってきているよということ。
百貨店は従来お帳場に対してそういったきめ細かいサービスを提供してきていたはずで得意領域なのでは?と。
そしてお帳場の売上は落ちていないらしい。

ツボ効率

百貨店の店舗は効率的すぎる、という話があるらしい。
坪効率が高く、巨大な売り上げを目指すのが百貨店の形だったのだけど、本当にそれだけで良いのか?と。
効率重視の店舗作りによって損なわれる魅力もあるはず。
これはECでも同じ。コンバージョンとかに囚われすぎると、お客様のことを見なくなってしまう。

3分間の幸せ

大げさな夢ではなく、日常の中でホッとする3分間の幸せが大切になってきている。
ちょっとした日常の中での贅沢。
ハーゲンダッツ食べる、とか。そういうやつ。

百貨店の進化

百貨店の進化