行動経済学が好きだ。
人間の矛盾や錯覚、非合理性の事例がこれでもかと出されていて、
合理的な人間像を覆してくれるから。あるいは思わぬ合理性に気づかせてくれるから。
- 作者: エヤル・ヴィンター,青木創
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2017/03/23
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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感情と身体感覚
胃は脳を除けば、神経伝達物質、特にセロトニンが盛んに活動する唯一の部位である(セロトニンの量が適切でないと、抑うつなどの様々な精神症状が引き起こされる)。消化器系はセロトニンを用いて食物を分解し、栄養素を腸に運ぶ。消化器系は脳からの指令がなくても自律的に活動する唯一の器官系である。ニューヨークのコロンビア大学の脳科学者、マイケル・ガーションは、豚の腸を摘出して途方も無い実験をおこなった。腸の一方の端から入れた食物は、何もせずとも反対の端まで送られた。腸に抗うつ薬のプロザックを少量注入したところ、消化速度は二倍になったという。
P.21
のっけから感情と内臓の関係についてギョッとする話から始まる。
感情は身体の色々なところに影響しているんだな。
消化不良は悪夢を引き起こすという話もあるらしい。
これなんかは物理的な状態が、感情に働き変えてくるパターン。
最後通牒ゲーム
プレイヤーAが100ドル持っていて、それをBに対していくら分配するかを決める。
Bが承諾すればその通りに分配される。拒絶されたら100ドルは没収、お互い何も手に入らない。
合理的な解としては、Bは1ドルでももらえるならば得するので、拒絶する理由がない。
なのでAはBに対して1ドルのオファーしか出さない。
ところが、これを現実でやると、概ね35%以下の配分では拒絶されることが多いという結果になるらしい。
それはつまり、35ドルもらえるチャンスを捨ててでも、相手が65ドルももらうチャンスをなくす行動に出るということ。
集合的感情
人は周囲にいる他の人の感情へ影響を与えているし、自らも受けている。
集合的感情にはフィードバックループが効いていて、一度一緒に盛り上がり始めると、
どんどん興奮状態になってくる。
逆に一人ではそこまで高揚しない。
サッカーの試合で盛り上がるのも周りのファンと一体になって応援するからだし、
アイドルを目の前にして興奮し、失神するのは他のファンも周りにいるときに限られる。
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