世の中には知ってるつもりでいて実は知らないことのなんと多いことか。
自分がいかに知らないかを知ることは、人生においてもとても大切な気がするし、
一度それに気がつくと、好奇心に火がついてしまったりもする。
実は知らない、やったことない、わかっているつもりが
誤解している、ということは無数にある。
- 作者: スティーブンスローマン,フィリップファーンバック,橘玲,土方奈美
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2018/04/04
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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誤解のメカニズム
人間は基本的に因果関係で物事を考えやすい。
蛇口をひねると、水が出る、みたいな。
なのでなんらかの因果を推論してしまう。
本書で例に出されているのは、
寒い時に早く部屋の温度を上げようとサーモスタットの目盛りを一気に上げる人は多いけれど、
それは実際にそれによって特定の温度に達する時間が早くなるかというと全く関係無い。
メカニズムの多くは、小さすぎたり(たとえば水が沸騰して水蒸気となる原因である分子の変化)、抽象的すぎたり(たとえば貧困の経済的要因)、あるいはアクセス不可能(たとえば心臓が体中に血液を送る仕組み)で観察できない。ワクチンがどのように機能するのか、食料の遺伝子組換えがどのように行われるのかを見ることはできないので、その欠落を自らの経験で補おうとする。それが誤解につながるのだ。
P.87
わからない部分を経験則で補おうとしてしまうから間違えてしまう。
きっとこうに違いない、という推論が全然違ったりする。
ある政策に関する実験(P.197)
ある政策に関して、支持するもしくは支持しない理由を問うと、人は必ずなにがしかの理由を見つけ出してきて、
自分の意見を強固なものにする。
でもその政策がどういった因果関係でどういう結果をもたらすのか、と問うと、
大抵の人は自分がその仕組みを理解していなかったことに気づき、
自分の意見を軟化させる。
環境を変える
まさにこれ、認知の歪みというか、錯覚の仕組みを理解しておけば、
自らその脳のクセをハックすることができる。
ナッジという手法から学ぶべき重要な教訓は、個人を変えるより、環境を変える方が簡単で効果的であるということだ。また認知にはどのような癖があり、それによってどんな行動が引き起こされるかを理解できれば、そうした癖がマイナスではなくプラスに作用するように環境を設計することができる。
P.270
- 作者: スティーブンスローマン,フィリップファーンバック,橘玲,土方奈美
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