MOTHER2の開発が行き詰った際に、立て直したのが岩田さん。
それ以来、糸井重里と岩田さんは交流を深めていったのだそうだ。
そして、岩田さんがどんなことを考え、
どういった発言をしていたのかを1冊にまとめたのがこれ。
天才プログラマーにして、経営者。
でもこの本を読むと近づきがたい人ではなくて、
語り口の柔らかい、とても頭の良いやさしい人、っていう印象が浮かび上がってくる。
なんか、風貌そのままの人だったのかなぁって。
伝記や評伝好きなんだけど、これは本人の言葉から人物像が浮かび上がるとても良い本。
- 作者:ほぼ日刊イトイ新聞
- 発売日: 2019/07/30
- メディア: 新書
合理的なんだけど冷たくない
HAL研究所の立て直しのためにHAL研の社長になった時の話。
自分がやるのが一番いい、と思えることは自分がやる、というシンプルな判断と覚悟。
いちばんたいへんなところに自分が行くのが、会社の生産性にとってもっとも合理的であり、それと同時に、「岩田にものを決められること」に会社の人たちが納得するためには、問題解決の姿を目の前で見せることが、いちばんいいじゃないですか。「あの人が決めるならまあ納得しよう」と言ってもらうのに、こんなにいい方法はないんですよ。
P.34
それと、この本が岩田さんのやわらかい印象をうまく表現できているのは「ひらがな」の使い方が巧みなんだよね。
一番、大変、所、最も、達、為、事、良い、貰う、とか漢字で書こうと思えば書ける。
でもそうするときっと、文章からの印象がずいぶん変わるだろうね。
そういう工夫も含めてこの本はとても良い本。
ボトルネック問題
これは本当にそうで、リーダーはチームの、マネージャーは複数チームの、事業部長は事業の、社長は会社全体の、
それぞれの立場から俯瞰して見たときにボトルネックをいかに見つけて、潰すか。
これってビジネスの要諦だよね。
あらゆることがそうですけど、仕事って、かならず「ボトルネック」といわれるいちばん狭い場所ができてしまって、そこが全体を決めちゃうんですよね。逆に、全体をどうにかしたかったら、ボトルネックがどこなのかを見つけて、まずそこを直さないといけません。ボトルネックより太いところをいくら直したとしても、全体はちっとも変わらないんです。
P.48
変化は必要だけど過去は否定しない
こういう所がすごいんだよね。
現状やこれまでやってきたことを否定するのは簡単だけど、そこにはそれまで頑張ってきた人たちがいるわけで、
否定だけでは共感や理解は得られない。これも真理だなぁ。
「わたしがもしもむかしの時代にいたら、いま任天堂がやっているのと同じような方法をとったと思うよ。でも、環境が変わったでしょう?周囲が変わったでしょう?ぼくらが変わらなかったらどうなる?ゆっくり縮小していく道を選ぶ?それとも、もっとたくさんの人が、未来にぼくらのつくったものでよろこんでくれるようになる道を選ぶ?」ということなんです。
P.52
個人面談
岩田さんは個人面談をとても重要視していたらしい。
1対1で。どうしてこの会社に入ったの?とか今までの仕事で一番面白かったこと、つらかったことって何?ってのを
必ず聞いていたらしい。何よりもその人のことが良くわかる質問なんだって。
これ、すぐ真似できる。