ビジネス書大好きMBAホルダーが教える私の学びシェア

本を読んでそこから新しい知識を得たり、学んだりすることが大好き。学びたい、成長したいという意欲のあるビジネスマンの皆さん、一緒に成長しましょう。

とても頭の良いやさしい人、っていう印象 ほぼ日刊イトイ新聞・編/岩田さん 岩田聡はこんなことを話していた。

夭折した任天堂の元社長岩田聡さんのことばを集めた1冊。

MOTHER2の開発が行き詰った際に、立て直したのが岩田さん。
それ以来、糸井重里と岩田さんは交流を深めていったのだそうだ。

そして、岩田さんがどんなことを考え、
どういった発言をしていたのかを1冊にまとめたのがこれ。

天才プログラマーにして、経営者。
でもこの本を読むと近づきがたい人ではなくて、
語り口の柔らかい、とても頭の良いやさしい人、っていう印象が浮かび上がってくる。

なんか、風貌そのままの人だったのかなぁって。
伝記や評伝好きなんだけど、これは本人の言葉から人物像が浮かび上がるとても良い本。

合理的なんだけど冷たくない

HAL研究所の立て直しのためにHAL研の社長になった時の話。
自分がやるのが一番いい、と思えることは自分がやる、というシンプルな判断と覚悟。

いちばんたいへんなところに自分が行くのが、会社の生産性にとってもっとも合理的であり、それと同時に、「岩田にものを決められること」に会社の人たちが納得するためには、問題解決の姿を目の前で見せることが、いちばんいいじゃないですか。「あの人が決めるならまあ納得しよう」と言ってもらうのに、こんなにいい方法はないんですよ。
P.34

それと、この本が岩田さんのやわらかい印象をうまく表現できているのは「ひらがな」の使い方が巧みなんだよね。
一番、大変、所、最も、達、為、事、良い、貰う、とか漢字で書こうと思えば書ける。
でもそうするときっと、文章からの印象がずいぶん変わるだろうね。
そういう工夫も含めてこの本はとても良い本。

ボトルネック問題

これは本当にそうで、リーダーはチームの、マネージャーは複数チームの、事業部長は事業の、社長は会社全体の、
それぞれの立場から俯瞰して見たときにボトルネックをいかに見つけて、潰すか。
これってビジネスの要諦だよね。

あらゆることがそうですけど、仕事って、かならず「ボトルネック」といわれるいちばん狭い場所ができてしまって、そこが全体を決めちゃうんですよね。逆に、全体をどうにかしたかったら、ボトルネックがどこなのかを見つけて、まずそこを直さないといけません。ボトルネックより太いところをいくら直したとしても、全体はちっとも変わらないんです。
P.48

変化は必要だけど過去は否定しない

こういう所がすごいんだよね。
現状やこれまでやってきたことを否定するのは簡単だけど、そこにはそれまで頑張ってきた人たちがいるわけで、
否定だけでは共感や理解は得られない。これも真理だなぁ。

「わたしがもしもむかしの時代にいたら、いま任天堂がやっているのと同じような方法をとったと思うよ。でも、環境が変わったでしょう?周囲が変わったでしょう?ぼくらが変わらなかったらどうなる?ゆっくり縮小していく道を選ぶ?それとも、もっとたくさんの人が、未来にぼくらのつくったものでよろこんでくれるようになる道を選ぶ?」ということなんです。
P.52

個人面談

岩田さんは個人面談をとても重要視していたらしい。
1対1で。どうしてこの会社に入ったの?とか今までの仕事で一番面白かったこと、つらかったことって何?ってのを
必ず聞いていたらしい。何よりもその人のことが良くわかる質問なんだって。
これ、すぐ真似できる。

岩田さん&宮本茂さん語録

イデアの話はずっと覚えてたけど誰が言ったのかを忘れてた。
宮本さんだったんだなぁ。
そして岩田さんの天才の定義、これも素晴らしいよね。
天才って何もせずに天才じゃないんだよね。

・説明してそれを聞いた人がわかるのと、そのわかった人がほかの人に
 説明できるほどわかることは、ぜんぜん別ですから。

・アイディアというのは、複数の問題を一気に解決するものである by宮本茂

・「人が嫌がるかもしれないことや、
  人が疲れて続けられないようなことを、延々と続けられる人」
 それが「天才」だとわたしは思うんです。



秀才はどうしても承認欲求が強くて天才より認められたがるタイプが多い気がする。 北野唯我/天才を殺す凡人

世の中には凡人と秀才と天才の3タイプが存在する。
で、それぞれ全く違うタイプなのよね。
価値観から何から違う。

その構図を物語形式で解き明かすのが本書。

天才を殺す凡人 職場の人間関係に悩む、すべての人へ

天才を殺す凡人 職場の人間関係に悩む、すべての人へ

  • 作者:北野 唯我
  • 発売日: 2019/01/17
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)

秀才は天才にに対する憧れと妬みの感情があるけれど、
天才は秀才に興味がないんだよね。
だからこそ秀才の愛憎を掻き立ててしまう。

みたいな構図。

そもそもそれぞれをそれぞれたらしめる軸が異なっていて、
天才=創造性
秀才=再現性
凡人=共感性
だったりする。

企業経営にはどのタイプも重要。
でも、軌道に乗り始めると秀才が訳知り顔で跋扈する感じが強いかもしれないね。
日本人はかなり秀才タイプが多いような気もする。

お互いの違いを理解しあえるといい組織になるかもしれないけれど、
世の中は圧倒的に凡人だらけだからなぁ。

天才と秀才が互いに理解し合えている組織は幸せだと思うけど、
秀才はどうしても承認欲求が強くて天才より認められたがるタイプが多い気がする。

でも所詮お前は秀才だよっていう限界に苦しむんだよねぇ。
天才はそもそも承認欲求がモチベーションになってないから、
他者からの承認に対しても特別な感慨を持たないというか、
別に自然なことなんだろうし、そんなことよりこういうことやりたい、が先に立つ。
それがまた秀才を逆なでするのよなぁ・・・。

天才を殺す凡人 職場の人間関係に悩む、すべての人へ

天才を殺す凡人 職場の人間関係に悩む、すべての人へ

  • 作者:北野 唯我
  • 発売日: 2019/01/17
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)

商品構成のセオリーや管理手法などの基本がまとまっている1冊。 小松崎雅春/商品構成がわかる本

小売りの商品構成に関する本。
特に業界を限定した話ではなく、セオリーを学べる本。

まず、基本を知ること。
そしてたまに基本に立ち返ること、すごく大事だなぁ、と
今回読んでしみじみ感じた。

図解 商品構成がわかる本

図解 商品構成がわかる本

  • 作者:小松崎 雅晴
  • 発売日: 2010/05/26
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)

売れるものだけあればいいわけではない

小売りの商品構成の奥が深いところは、
数ある品番に対して売れ筋だけに品ぞろえを絞ればよいかというと、
売れ筋の売上も鈍ることが起きると言うこと。

消費者は比較、検討して購買に至るので、
実は売れていなくても見せることで役割を果たしている商品がある。
それはアパレルで言えばカラー展開もそうだし、
価格のバリエーションも同じ話。

たった1つでも全体の秩序を乱すような商品があると、品揃えした他の商品が全く売れなくなってしまう、というケースです。
P.20

ここで重要なことは、自分の希望する色があるにもかかわらず、全体の色数が減ると、購入をやめる人が増えるという事実です。この実験から分かることは、たとえ自分が買わない色であっても、たくさんの色数がそろっている品揃えの豊富な店で買物をしたい、という消費者心理です。
P.21

図解 商品構成がわかる本

図解 商品構成がわかる本

  • 作者:小松崎 雅晴
  • 発売日: 2010/05/26
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)

とにかくリアリティのある最高のリーダーシップ本。悩めるリーダーや管理職はこれを読め!! スティーブン・マーフィ・重松/スタンフォード式最高のリーダーシップ

スタンフォード大学で人気のリーダーシップに関する講義を書籍化したものらしい。
基本的にリーダーシップ系の本は山ほどあるけれど、
しっかりと見極めないとかなり玉石混交で、
ヒドイのだとただの自己啓発本みたいなやつも多い。

その点、これはスタンフォードの講義がベースになっているので、安心っちゃ安心。

で、実際読んでみたら数あるリーダーシップ本の中でも
かなり誠実、というかリアリティのある内容だな、という感想。

部下を持ち、管理職になって、これからマネジメントやリーダーシップに関して
学ぼうとする人には是非お勧めしたい。

本当に学びの多い1冊でした。

スタンフォード式 最高のリーダーシップ

スタンフォード式 最高のリーダーシップ

そもそも部下はリーダーに近づこうとしない

部下たちは決して、あなたに対する不満や本音を教えてくれない
(中略)
部下たちは、あなたの指示に対して、表面的には従うかもしれない。それが組織のヒエラルキーだからだ。だが、彼らの心の中で、あなたはリーダーとして認められていない。
P.39

まず、これを認識することが重要なんだよなぁ、と思うのです。
この認識の上ですべて考えないと始まらないんだよね。

チームとは感情的な生き物

集団の中で個人は変わる。つまり、育ってきた環境や教育などによる「その人らしさ」が、集団の中ではぼやけてしまうのだ。
P.56

集団心理が求めるカリスマ的なリーダーシップはある種の錯覚。
それは個々のメンバーの思考停止状態でもある。合理性ではなくカルト性で集団心理は動いてしまう。
これは人間誰しもが持つ「弱さ」でもある。

4つのリーダーシップを1つ1つ身につける

カリスマ的なリーダーシップで集団を率いていくという古い形の強いリーダーは終わり。
これからの時代は4つのリーダーシップを身につけることが重要なのだ、と。

①積極的なリーダーに必要な「個人としての土台」
→Authentic Leadership
②部下を前に出す「謙虚さ」
→Servant Leadership
③「自分の力で変えられるもの」を変えていく勇気
→Transformative Leadership
④人、もの、価値観など、様々な「違い」を理解するための知恵
→Cross-Border Leadership
P.72 - P.73

リーダーは弱さを見せてもよいが、弱さを勘違いしたリーダーはまずい。
例えば決断を下すべき時に、チームみんなで決めようと自分の意見を言わないのは、弱くてもいいと勘違いしているリーダー。

自分のことは意外とわからない

自分が思う自分と、周囲がこう思う自分、
その両方を足し合わせたものが本当の「自分」なんだという考え方。
自分が思っている自分は半面しか見えていないということ。

共感の違い

心理学の世界では共感にもエンパシーとコンパッションという違いがあるらしい。
エンパシーは泣くほど落ち込んでいる人に共感して一緒に泣く、みたいな共感。
コンパッションはわかるよ、と共感しつつも一線を引いて、客観的に見ながらアドバイスできる共感。

リーダーに必要なのはコンパッション。
リーダーがエンパシーでは共倒れになるだけ。

滅私型リーダーの思わぬ低評価

自己犠牲的なリーダーはこんなに頑張っているのに、とチームに対しても不満を募らせていく。
チームとリーダーに対立構造が出来てしまうとお互い努力すればするほど分断が進んでしまう。
まじめな人ほどこのパターンに陥りやすい。

またチームに対して自己犠牲しながら働くプレイングマネージャーは次第に自分の成果が出せなくなる。
そうなると、なんであんな人が上司なのか、とさらに部下から突き上げをくらう。
これが自己犠牲型プレイングマネージャーの負のスパイラル。

こういう事例をちゃんと紹介するのもすごくリアリティがある。
いちいちこの本で語られていること、知ってる人の顔が思い浮かぶんだよね。

マルチタスクは生産性が低下する

人間はマルチタスクをこなしているのではなく、タスク・スイッチングをしているだけ。
本来マルチタスクなんてできないんだよ、と。
たしかに優先順位つけて片っ端から片付けているだけだよね。
で、その優先順位付けが下手くそだったり、途中の仕掛段階でスイッチングを繰り返す人って、
ものすごく業務に無駄が出てくる。


スタンフォード式 最高のリーダーシップ

スタンフォード式 最高のリーダーシップ

ちょっと理想的すぎる気もいたします、、、という進化型組織論 フレデリック・ラルー/ティール組織

人の発達段階の応じて組織のあり様も変わってきた、という整理のもと、
それでは次に来る進化した組織モデルは何かという話をしている本。

なかなかの分厚さにたじろぐが内容はそんなに難しい話ではない。
それなりに話題になったので解説本がたくさん出ているが、
この話をリアルに感じる経営層はどれくらいいるのだろう。


上下関係もなければ目標も予算もない組織。
信頼関係で結ばれ、自律的に高いパフォーマンスを出していく、
なんてのは正直夢物語のように思える。

もちろんいろいろな事例は出て来るものの、
皆が皆、これを目指せるとは思えないというのが正直なところ。

まぁ発達段階によるとするならば、十分に発達した、
それこそ進化型従業員が欲しいよ、、、なんて言いたくなってしまいますが。。。

まぁ元々X理論、Y理論というものがある。

従業員は本来怠け者で、なるべくなら仕事をサボりたいものだ(X理論)。
労働者は意欲的で、自発的で、自制心を発揮できる(Y理論)。
P.182

これってどっちが正しいのか?
どっちも正しいのである。

なので、まぁどういう組織を作るか次第で、XにもYにもなるんだろうね。


OKR導入のイメージを掴むには最適な本。 クリスティーナ・ウォドキー/OKR シリコンバレー式で大胆な目標を達成する方法

OKR、目的と主要な指標を定め、組織全体の目標と進捗を可視化する手法。

実際に導入したくて学んでる。

本書はストーリー仕立てでどのように導入し、
定着させていくかが語られる。

weeklyでやることをフォーカスし進捗や達成度、自身の度合いを確認し合う。
組織の皆が、他の人の状況も把握できる状態を保ち、
自分の仕事が事業目標とどうつながっているのかを理解することができる仕組み。

目標管理制度があっても、それが可視化されていて、
他のスタッフが把握できるかと言うとそこまでなっていない。
結局会社とその人の1対1のクローズドな目標管理って限界あるんだよね。

個人だけで仕事するわけじゃないから、
周囲の人間とも共有できていないと色々と齟齬が起きる。

もっぱら自分の組織では他チームの仕事に対する無知、が横行しているので、
そこをなんとかしたいと言う思いもあるな。

と言うわけで絶賛、勉強中。

毎週自分の目標が達成できそうかどうかの自信度を自らつけさせるって言う運用が
結構なるほどって思った。

人生の全てを市場価値で計ろうとすると見誤るよと言うお話。 ヤニス・バルファキス/父が娘に語る経済の話

この本が評判いいのは知っていたけれど、
この著者、財政破綻したギリシャの元財務大臣なのね。

あの難局をハードネゴシエーションして乗り切った人が
娘に語る経済の話って思うと俄然興味が出てきた。

市場取引が生まれ、市場経済が発展し、
全てが市場価値で計られがちだけど、
この世の中の価値基準は必ずしも市場価値だけじゃないよって言う話。

そこを見誤ると幸せになれなそう。

学部が経済学部だったからマクロ、ミクロ両面で経済学の考え方、みたいなものは
知っているけれど、経済学ってそれこそ学部とかで縁がないと、
かなりよくわからないものなのかもしれないよね。

例えば比較優位とか、効用の最大化っていう概念は仕事していく上でも
とても役立ったけれど、逆にそういう感覚がない人も多数いるなぁとも思う。

生きていく上で経済活動と無縁には過ごせないので、
ある程度のリテラシーはあるに越したことがない。

という訳で、むしろあんまり知らないって人におすすめでした。