実際の日本企業の事例をベースにして、ビジネスモデルの解説をしてくれている。
異業種のビジネスモデルを取り入れることが成功に繋がる。
では異業種のビジネスモデルをどのような視点で見ればよいのか?
自分の業界に取り入れるにはどうすればよいのか?
そのような視点で解説してくれているのでとてもわかりやすい。
事例が日本企業というのもとても大切なポイント。
欧米企業の事例集だと今一ピンとこないことってあるけれど、
本書は事例の1つ1つが、実にイメージしやすい。
- 作者: 山田英夫
- 出版社/メーカー: 日本経済新聞出版社
- 発売日: 2012/07/24
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
- 購入: 4人 クリック: 31回
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スター・マイカの社長が意識する成長の速度
UCLAの教授に教えられて、気にかけていることに、「成長の速度」問題があるらしい。
年率50%を越える成長率は社内の管理体制がついていかず、
また、一定規模を越えると大企業が参入してくる。
つまり、ベンチャーには「抑制された成長」が必要だということ。
これには思わず考えさせられてしまった・・・
今の自分の事業は50〜100%の成長率なのだが、
確かに色々ついて来れなくなってきているかもしれない。
ビジネスモデルを見る7つの視点
- 顧客の再定義
- 顧客価値の再定義:主にメーカー用=サービス・ドミナント・ロジック
- 顧客価値の再定義:主にサービス業用=マイナスの差別化
- 顧客の経済性
- バリューチェーンのバンドリング/アンバンドリング
- 経営資源の持ち方(ヒト/モノ)
- 定番の収益モデル
顧客の分類の仕方
マーケティングの世界では
バイヤー、ペイヤー、ユーザー、という考え方がある。
同じような分類として
DMU=Decision Making Unit=意思決定者
PU=Purchasing Unit=購買者
CU=Consuming Unit=使用者
という呼び方もある。
例えば子供のランドセルとかの場合は
DMU=母親
PU=祖父母
CU=子供
ってな感じになる。
DMUが誰なのか、を常に考えないと、アプローチするべき顧客が誰なのかを見誤る。
Gプランのビジネスモデル
Gプランはポイント交換サービス大手。
ポイントビジネスがどういうビジネスモデルなのか興味があったのでメモ。
Gプランのビジネスモデルは、
ユーザーがポイントをGポイントに交換する際に、
元のポイント発行業者から手数料を得る。
また、Gポイントから他のポイントへ変換するときに、
交換先の企業から手数料を得る。
つまり、ユーザーがA社のポイントをGポイントへ交換し、B社のポイントへ再交換する場合、
GポイントはA社からもB社からも手数料収入が得られる。
原則としてお客様からは手数料を取らず、ポイントを積極的に交換してもらう素地を作っている。
また、Gポイントのサイト自体がポイントがたまるアフィリエイトサイトなので、
ユーザーが紹介先でものを買ってくれれば、アフィリエイト収入が手に入る。
- Gポイントへの変換でも儲かる。
- Gポイントから他社への変換でも儲かる。
- サイトに訪れた人をECに誘導して儲かる。
というわけでよくできてるなぁ、と思ったのでした。
レベニュー・マネジメント
需要と供給のバランスに応じて売価をコントロールし、
収益を最大化する管理手法のこと。
ただ小売りでこれを安易にやろうとすると、
クレームにもなりかねないな、とも思う。
とはいえ、価格の調整機能はあってしかるべき。
とくにアパレルでもアウトレット商品の値づけとかは可能性ありそうで面白そう。
ジレットモデル
言わずと知れたカミソリのジレットのビジネスモデル。
本体は安価に提供し、替え刃でもうけるビジネス。
現代でもプリンターとインク、
Nespressoの本体とカプセル、などがこのモデルの成功事例。
ネットワーク効果
IT系のサービスで無視できないのがこれ。
参加者が増えるほど、参加者1人1人のメリットが増えていく、という好循環。
ECでネットワーク効果を発生させる方法は何があるかな、と考えてみたくなった。
共同購入とかはそれに近いものがあったけれど、もうちょっと違うことができないか模索したい。
フリーミアム
クリス・アンダーソンの『FREE』で一躍注目を浴びたモデル。
一部の有料ユーザーが大部分の無料ユーザーのコストを負担しているモデル。
WEBサービス系に多い。代表的なものはevernoteやDropboxなど。
売り切らないモデルへの転換
これが結構ポイントだと思った。
従来、商品を売っておしまいだった所を、売り切らず、顧客との関係を維持、継続。
小売りからサービス業への転換をはかれた所が、
高い利益率と安定した収益をあげている事例が多い。
もしかしたら、ファッション誌等の娯楽系コンテンツの未来もその辺にあるかもしれない?
というわけで、戦略系やビジネスモデル系の本は読むと
色々と脳みそが刺激されてアイデアが浮かぶし、考えたくなるから楽しい。
未読の方はぜひ。
- 作者: 山田英夫
- 出版社/メーカー: 日本経済新聞出版社
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