ナボコフは『ロリータ』で一躍有名になった作家ですが、
作家である以前に、文学への偏愛と知識にあふれた人でもありました。
そんなナボコフがアメリカの大学でヨーロッパ文学の講義をしていた時の、
講義ノートの草稿をまとめたのがこれ。
- 作者: ウラジーミルナボコフ,野島秀勝
- 出版社/メーカー: 河出書房新社
- 発売日: 2013/01/09
- メディア: 文庫
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ナボコフが教えてくれる可能性は、徹頭徹尾、丁寧に読むこと。
細部に関する正確な知識。そこに書かれていることを丹念に拾い上げ、
作家が作り上げた世界の構造を明らかにする読み。
だから、ナボコフは主人公に感情移入し、物語を楽しむような読み方なんか
知ったこっちゃない、と切り捨てます。
と、同時に作品を観念思想的に解釈するような読みも、ダメ。
そんなこと言われると今までの自分の小説の楽しみ方は一体なんだったんだろう?
という話になりますが、まぁ、それはそれで良いんじゃない、とも思います。
ただ、そういう読み方だけでは気づき得ない豊穣な世界が文学の世界にはある、ということ。
というわけで、作品鑑賞の無限の可能性に、一歩踏み出したい人にぜひお勧めしたい名著。
そして、ナボコフの読み、は映画の鑑賞にもまったく同じことが言えるなぁ、と気づく。
物語を楽しむことしか知らないなんて、もったいない。
それはむしろ物語を楽しむこと意外の選択が許されない抑圧された鑑賞になってないか?
小説も、映画も、物語から離れた所で、もっと自由に楽しんでいいはずのもの。
想像している以上に自由で、面白くて、刺激的なものなんだよな、ってことが
1人でも多くの人に伝われば、出版業界も少しは盛りあがるかしら。