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ベーコン展が楽しみすぎる。言葉は作品の周りを空回りし続けるが、それでもなお・・・ フランシス・ベイコン 磔刑―暴力的な現実にたいする新しい見方 (作品とコンテクスト)

Crucifixion, Triptych 1965, Francis Bacon
ベーコンの磔刑に関する批評。

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フランシス・ベイコン 磔刑―暴力的な現実にたいする新しい見方 (作品とコンテクスト)

フランシス・ベイコン 磔刑―暴力的な現実にたいする新しい見方 (作品とコンテクスト)

  • 作者: イェルクツィンマーマン,J¨org Zimmermann,五十嵐蕗子,五十嵐賢一
  • 出版社/メーカー: 三元社
  • 発売日: 2006/03
  • メディア: 単行本
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右端の男性の腕には鉤十字、左端の肉塊にはフランスの赤・青・白のリボンが、
というベーコンの作品では珍しくわかりやす過ぎる象徴が描かれている作品。
磔刑図における3つの場面とは、一般的に、道行、磔刑、埋葬なのだけど、
ベーコンのそれは左右のどちらが何なのか判然としない。
おそらく真ん中が磔刑なのだろう、くらいしかわからん。

そもそもベーコンの作品自体が非常に多義的で、
これと言った正解を持つものではなく、
必然的に言葉は作品の周りをうろつくことしかできない。
それがどうしようもなくもどかしく感じられたりもするし、
著者の文体がこれまたややこしい書き方をするので、鼻についたりもするのだけど、
ベーコンの作品の意味はこれです、みたいなわかりやすい話に
回収することはそもそも不可能だから諦めるしかない。

ただ、時折提示される類似性が刺激的ではある。
例えば屠殺と磔刑の関連性は、ベーコンの国際的名声を築いた
『ペインティング、1946年』の中に潜んでいる、と指摘する。

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この作品と、レンブラントの『屠殺された牛』の類似性は、確かに明らか。

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その他ベーコン自身の習作との比較や、さまざまな磔刑図との比較を通じて、
この作品に迫ろうとする、けど迫れないまま、
ベーコンの磔刑の周りをぐるぐる回っているような本。

でもそれでいいのだ。
大切なことは、国立近代美術館でベーコン展が開催されることであり、
われわれはそこで本物のベーコンを体験できるということ。

なにを読むよりも、観たほうが早いというか、
観られるときに観ておけよ、と全力でオススメしておきたい。