副題に「ビッグデータからビジネスチャンスをつかむ」って書いてあるので、
はいはいまた流行のビッグデータ万歳本ねってちょっと思ったのだけど、
この本の原題は
「Sexy Little Numbers - How to grow your business using the data you already have」
なんですよ。
売らんかなと思ってデータサイエンティストとかビッグデータとか
流行の言葉をタイトルに入れただけの話。
あなたが既に持ってるデータに向き合うだけで
出来ることはたくさんあるよってのが基本的な趣旨。
なので、やみくもなビッグデータ万歳本ではなく、地に足の着いたまともな本でした。
分析する際の考え方を具体的なケースに沿って説明してくれたりするので、
すぐに自分たちもこの考え方に沿ってやってみようと思える。
もちろん、現実はそんなに簡単じゃなくて、
自分たちの場合だと、この考え方に沿って使えそうなデータは、、、とか
どうやって使おうか、とか、カテゴライズの粒度はどれ位が良いか、とか、
たくさん考えなきゃいけないことがあるけど、
使えそうな考え方に出会えることが素晴らしい。
多くの人に取って大切なことはデータを使うと
どんなことができるはずなのかを知っておくこと。
そして、データに基づく意思決定が実にパワフルだと理解すること。
実際のデータ解析は専門チームがやれば良いからね。
データ・サイエンティストに学ぶ「分析力」 ビッグデータからビジネス・チャンスをつかむ
- 作者: ディミトリ・マークス,ポール・ブラウン,馬渕邦美,小林啓倫
- 出版社/メーカー: 日経BP社
- 発売日: 2013/02/28
- メディア: 単行本
- 購入: 3人 クリック: 12回
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アイデアを伝える際はクリエイティブ制作者になったつもりで
もうこれは本当に大切。
数字集計して、分析して、気づきがあったとしても、それを伝えられなければ意味がない。
そしてメッセージを伝えるのに統計用語とかは必要ない。
回帰分析してようが、何しようが、上司や他のチームの人間に伝える時に
技術的なプロセスなんてどうでも良い。
もっというと、だから何なの? 要するに何が言いたいの?って言うのは、
本来とてもシンプルなメッセージに出来るはず。
それが自分でも分かってないと、分析なんて出来ない。
ガースの差別化マーケティングピラミッド
パレートの法則、すなわち2:8の理論は顧客分析にも適用できる。
2割のVIP顧客が8割の売上に繋がっている。
そういったVIP顧客を如何に育て、維持するのか。
CRMとはそういう試みのはず。
財布内シェア
顧客の財布の中のどれだけのシェアを取れているか、という考え方。
購買力のない顧客にいくらアプローチしても伸び代はない。
でも自分の所に落としてくれている金額が少額だとしても、
その人の購買力は遥かに高く、他サービスを頻繁に利用しているだけかもしれない。
購買履歴その他のデータから、顧客の財布(=購買力)を予測するモデルを作れれば、
誰に注力すればより売上を伸ばしやすいかがわかるはず。
たしかにクッキー使ってよそのサイトの利用状況とか収集できる気がする。
顧客との関係度
製品やサービスをランク分けして、各カテゴリーへ落とした金額を元に関係度を産出する。
自分たちが重用視したいサービスは重みを重く付けておけば、
だれが、理想的な顧客なのかも発見しやすくなるし、そういった顧客グループが特定できたら、
こんどはそのグループの行動特性が何なのかを深掘りして行けば良い。
応用範囲の広い考え方だった。
価値のある顧客、価値の計測、優先順位
価値のある顧客とは何か、を定義することが大切。
売上なのか、将来あげられそうな売上なのか、利益なのか・・・
考え方は色々あるはず。価値ある顧客を定義することは、要するに何を価値とするかの定義。
重視する価値を決めたら、今度はその価値が何によってもたらされるものか、
その変数を整理する。その価値に影響を与える要素は何なのか??
そこを整理できれば計測や予測が出来るようになる。
そして定めた価値に基づいて顧客を順位づけし、
それぞれに最適なマーケティング施策を実行して行く。
コンピュータの指紋!?
ブルーカヴァという企業がコンピュータおよびモバイルデバイスの指紋を取ろうとしている。
完全にユニークな端末として認識する技術ということ。これはすごい。
KPIの決め方、SMARTな目標設定
S : Specific(具体的)
M : Measurable(測定可能)
A : Achievable(達成可能)
R : Realistic(現実的)
T : Time based(時間設定)
A2Aフレームワーク
A2Aというのは、Analytics to Actionのこと。
分析から実行へ繋げるフレームワーク。
データ→分析→テスト→共有→実行のサイクルを回して行くPDCAサイクルのようなもの。
ターゲティングとプライバシー
消費者のターゲティングの話になるとプライバシーの話になってしまうことが多い。
そうなると経済学の視点が抜け落ちてしまい、議論は堂々巡りとなる。
結局経済原則が成立しなければ、無料コンテンツは成立しない。
プライバシーは重要な問題だが、データの収集と解析が、
ユーザーにとっても心地よい新たなサービス提供へと還元されていることを
説明していかないといけない。
データ・サイエンティストに学ぶ「分析力」 ビッグデータからビジネス・チャンスをつかむ
- 作者: ディミトリ・マークス,ポール・ブラウン,馬渕邦美,小林啓倫
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