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すべてを正しく行うが故に失敗する! クレイトン・クリステンセン/イノベーションのジレンマ

名著だと言うことは聞いていたけれど、いまさら読了。
そして噂に違わぬ名著だった。
本書が解き明かしてしまったことは案外シンプル。

技術革新に際して、なぜ大企業は失敗するのか?
それは経営者が無能だから?
実はそうじゃない。
偉大な企業は、すべてを正しく行うが故に失敗する。
構造的な罠がそこにはある、ということ。
そしてシンプルだからこそ恐ろしい。

イノベーションのジレンマ―技術革新が巨大企業を滅ぼすとき (Harvard business school press)

イノベーションのジレンマ―技術革新が巨大企業を滅ぼすとき (Harvard business school press)

Kindle版もある

イノベーションのジレンマ 増補改訂版 (Harvard business school press)

イノベーションのジレンマ 増補改訂版 (Harvard business school press)

持続的イノベーションと破壊的イノベーション

持続的イノベーションはこれまでの技術の延長線上にある技術革新で、
常に業界のリーダー企業、実績のある企業が率先して開発を行っている。
つまり、持続的な技術開発についていけなくなる、乗り遅れたために失敗する、という訳ではない。

本書で取り上げられているディスク・ドライブ業界の事例では、
ほとんどの技術革新が持続的イノベーションで、破壊的イノベーションはごくわずか。
だが、破壊敵イノベーションは、業界のリーダー企業を失敗に追い込んでいる。

通常は快適イノベーションは、技術的には単純で、既成の部品を使い、
アーキテクチャーも従来のものより単純。
確立された市場では、顧客の要望に応えるものではないため、当初はほとんど採用されない。
この、顧客の要望に応えるものではない、と言う所が、成功した企業にとっての難しさになる。


正しくマーケティングし、顧客のニーズを吸い上げるという正しいプロセスを踏んでいる限り、
破壊的イノベーションへの投資は判断されにくい。
とにかく、この既存の顧客に縛られてしまうと言う難しさ、
良くできた罠について事例を挙げながら繰り返し説明してくれる。

技術革新が起きると、業界をリードする企業はなぜ失敗するのか

組織とマネジメントの視点から考えると、
組織構造自体の問題が指摘されている。
企業の組織構造は部品レベルのイノベーションを促すことが多いと言われ、
アーキテクチャ自体の変革が必要な時には、既存の組織体制が障害になる。
組織やグループの体制が現状に最適化されているが故に、大きな変革を起こしにくい、ということ。

能力と抜本的な技術の視点から考えると、
既存技術の改善にはたけているが、抜本的な技術革新は新規参入企業の方が向いている。
過去に築いてきた能力の価値が新技術によって破壊された時に失敗する、と言う考え方。


バリュー・ネットワークと言う考え方

企業はバリュー・ネットワークという枠組みの中で、
顧客のニーズを把握し、対応し、問題を解決し、
資源を調達し、競争相手に対抗し、利潤を追求する。
バリュー・ネットワークの中では、各企業の競争戦略や、
特に過去の市場の選択によって、新技術の価値をどう認識するかが決まる。
ゆえに実績のある企業は期待される利益のために持続的イノベーションに資源を投資し、
破壊的イノベーションには与えない。
この資源配分のあり方が、実績ある企業が持続的イノベーションを
リードし続けているにも関わらず、破壊的イノベーションによって失敗する構図になっている。

新規参入企業の上位市場への移行

大変な苦労を伴うが、破壊的イノベーションが小規模であっても市場を確立すると、
破壊的イノベーションの持続的イノベーションが始まる。
この時、実績ある企業の下位市場への見方と、新規参入企業の上位市場に対する見方は全く異なる。
実績ある企業に取っては取るに足らない、わざわざ参入する価値もない市場、と思うだろうし、
新規参入企業にとっては、上位市場は規模も、利益率も魅力の固まり。
こうして、新規参入企業の、上位市場への侵出が始まる。それも、もの凄い勢いで。

このように、バリュー・ネットワークは、登れるが、降りられない。

「顧客の意見に耳を傾けよ」と言うスローガンはいつも正しいとは限らない。
メーカーを持続的イノベーションへ向かわせ、
破壊的イノベーションのリーダーシップを失わせ、
誤った方向に導くことがある。


破壊的技術はそれを求める顧客がいる組織に任せる

企業に何ができて、何ができないかを決めるのは顧客だ、と言う考え方。
これは資源ベース理論にも当てはまる。

では、破壊的イノベーションに対して、どう振る舞うか?
とにかく、既存顧客のニーズは無視してでも破壊的イノベーションを追求する方法。
独立した組織を作り、その技術が必要な顧客の中で活動させる。

どちらが良いか。前者は相当しんどい。
企業に何ができるかを決めるのは顧客で、この考え方を乗り越えて成功しなくてはいけなくなる。
後者であれば、前提に逆らわず、調和することができる。


組織の規模を市場の規模に合わせる

成長企業は、期待する成長を維持するだけでも、大きな売上を稼がないといけない。
そうなると、どうしたって新規事業は割に合わないと言う判断になりがち。
なので、小規模な市場へは、小規模な組織を作って対応するのが望ましい。
また、先行者メリットだが、持続的イノベーションに関しては必ずしも大きくない。
が、破壊的イノベーションにおいては、リーダーシップを発揮できるかどうかが大きな違いをうむ。


新しい成長市場を見出す

存在しない市場は分析できない、と言う前提で臨まないといけない。
破壊的イノベーションに直面したマネージャーが立てるべき戦略と計画は、
実行するための計画と言うよりは、学び、発見するための計画であるべき。
発展中の市場は、とんでもなく不透明なものなのだ。


組織にできること、できないこと

同じ能力を持つと思われるグループをそれぞれ違う組織で働かせてみる。
すると、必ず差が出るはず。なぜなら組織には組織としての力があるから。
優秀な人間を入れれば組織としての力が自動的に上がる訳ではない。
ダメな組織に良い人材を送り込んでも、成果は出ない。
組織にできることは、資源、プロセス、価値規準の3つで決まる。

イノベーションのジレンマ―技術革新が巨大企業を滅ぼすとき (Harvard business school press)

イノベーションのジレンマ―技術革新が巨大企業を滅ぼすとき (Harvard business school press)

Kindlw版もある

イノベーションのジレンマ 増補改訂版 (Harvard business school press)

イノベーションのジレンマ 増補改訂版 (Harvard business school press)