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グローバライゼーションと電子化の中、多様性は保てるのか 赤木昭夫/書籍文化の未来

グーテンベルク以来の電子書籍という革命が書籍文化に与える影響、ってのが主題。
ビジネスとしての電子書籍と言う視点では無いので、
そういうのを期待していると期待はずれになるかも。

世界の出版社の動向や市場の推移などのデータをまじまじと見ると、
日本で今後読書という行為自体がどうなっていくのか不安になる。
まぁ、もともと勤勉で、読書量も多い国民性だったわけだけど、
そういうのもグローバリゼーションの中で平準化されていくのかな。

書籍文化の未来――電子本か印刷本か (岩波ブックレット)

書籍文化の未来――電子本か印刷本か (岩波ブックレット)



アメリカの書籍輸出額 日本は減少している・・・

イギリス、ドイツ、フランス、中国向けが伸びているにもかかわらず、
日本向けの輸出は減少している。
これは日本に知的停滞どころか、知的後退が起きているのではないか、
ってのが筆者の主張なんだが、いまいち腑に落ちない。
まぁ読書量の低下ってのはあるのかもしれんけど、
それを言うために北米の輸出額を使うことが妥当なのかな?

英語の本=偉い! みたいなのは昔に比べりゃ無いし、
何より翻訳もすぐ出るようになってるから、
原書をなんとか輸入して読まないとって感覚が
この10年でどんどん無くなっていってる気はする。


電子書籍再販制度

再販制度の適用外で本の値引き販売が出来るのが電子書籍の大きな特徴。
紙の本との価格差をつけすぎることを嫌がってほとんど差のない
価格設定をしている状態だけど、もっと安くしろって意見は散見される。
でも、本て今の価格でも十分に安いと思う。
これ以上下げろって、たしかに需要喚起のためには必要かもしれんけど、
一方で、良書の価値は今でも安すぎるくらいなんだってこともわかった方が良い。

で、フランスは電子書籍再販制度の対象なんだって。
さすが文化の国フランス。
ちなみにフランスは再販制度をやめた結果、出版物の多様性が損なわれ、
再販制度を復活させた国です。

書籍文化は多くの人が読む大衆小説だけではなく、
売上としては極小の無数の本達によって成立している。
本屋に行ったら村上春樹ONE PIECEしかないような世界は避けたい。


電子書籍の永続性、所有と利用

まぁ、ずっと読めるかどうかはわからんてのが
電子書籍のリスクだという指摘は合意。
フォーマットもバラバラだし、データの所有権がない利用権モデル。
フォーマットに関してはこれから統廃合が進んでいくとはいえ、
進化していくに連れ下位互換がどこまで考慮されるかが不明。
昔のファイルが読めない、何てことが起きるかもしれない。
でも主流は所有モデルじゃないから、今後もその会社が生きていれば永久的に読めるかも?
でもその会社がつぶれたら???楽天のRabooというサービスが終了した時、
電子書籍の最悪な側面があぶり出されたよね。

ちなみに本書で端末が壊れたらマーカーやメモも無くなるみたいな記述があったけど、
Kindleは既にそれを克服しているはず。
どこに線引いたかとかもクラウド上に保存しているから、
端末ぶっ壊れても何も無くならないはず。

書籍文化の未来――電子本か印刷本か (岩波ブックレット)

書籍文化の未来――電子本か印刷本か (岩波ブックレット)