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今さらセグメントの話なんてと思うかもしれないが、基本は大事というか基礎の上で応用が成り立つことを感じた。 フィリップ・コトラー ケビン・レーン・ケラー/コトラー&ケラーのマーケティング・マネジメント第12版 第8章:市場セグメントとターゲットの明確化

8章はターゲティングやセグメントの話。
そもそもターゲティングやセグメンテーションはなぜ必要なのか?
それは他社との競争に効果的に勝つために必要なのだ、という大前提。

ニーズや選好の異なる購買者グループを特定し、その特徴を明確にすること。
その後、参入する市場を選択すること。
本性はその2つのステップを主に取り上げている。

ただ、これはMBAの授業でも出てきたことなのだけど、
セグメントを分けることに夢中になるあまり、顧客のことしか考えなくなる罠に落ちるやつがいる。
最終的に顧客にとって都合のよいセグメントよりも優先されるべきは
企業にとって都合のよいセグメントなんだという視点を忘れないように。
じゃないと、結局なんも儲からなくなって、本末転倒。
セグメンテーションが自分たちの経済性にあっているかという視点を忘れずに。

丁寧に読むと面白いのだけど、その分、遅々として進まなくなる。
改めてすごいボリュームの本だなぁ、と感心。

コトラー&ケラーのマーケティング・マネジメント 第12版

コトラー&ケラーのマーケティング・マネジメント 第12版

  • 作者: フィリップ・コトラー,ケビン・レーンケラー,恩藏直人,月谷真紀
  • 出版社/メーカー: Pearson Education Japan for JP
  • 発売日: 2008/04/02
  • メディア: ハードカバー
  • 購入: 8人 クリック: 56回
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マス・マーケティングからセグメント・マーケティングへ

1つの製品を、すべての購買者に対して、大量生産、大量流通、大量プロモーションする。
例えばT型フォードなんかは典型例。
マス・マーケティングは最大の潜在市場が開拓でき、結果コストは最小になるという理屈なのだが、
市場の分化が進行し、難しくなるという指摘が増えてきている。

以前読んだ國領二郎『ソーシャルな資本主義』では、
マス・マーケティングの時代を以下のような説明でまとめており、
非常に納得感があった。

20世紀の経済は、一言で言えば大量生産、大量消費。
誰が作って誰が買っているかはわからない経済。
企業は匿名のマスに商品を売るという一方向性。
企業あるいは商品の信頼を勝ち取るために広告を打つ。

で、消費者の趣味嗜好も多様化した今、セグメントは、最小単位である個人に
フォーカスを与えるような形で進化してきている。

これがone to oneマーケティングとかダイレクトマーケティングとか、
セグメント・ワンと言われるような考え方。


市場のセグメント

やり方の1つは、消費者の選好を調査すること。
選好を調査して、それぞれを座標にプロットする。
消費者全員がほぼ同じ選好を持つ均質型選好、その対極でみんなバラバラになる
分散型選好、ある程度の塊を形成しつつバラけるクラスター型選好、といった
パターンが発生する。

分散型選好パターンでは最大多数をカバーするように座標の中央にポジショニングすることが多い。
その後、2番手は最初のブランドに隣接するポジションを取る場合もあるし、
あえて離して、平面上の四隅を狙って現在の商品に満足できない層を取り込む考え方もある。
クラスター型選好のパターンは各クラスターに合わせた商品開発と参入。
自分たちがすべてやる必要はないが、やらなければ競合が参入してくるだろう。


経験経済

パインとギルモアさん曰く。

素材を売るなら、それは「コモディティ・ビジネス」である。
有形の物品を売るなら、それは「商品ビジネス」である。
自身のパフォーマンスを売るなら、それは「サービス・ビジネス」である。
自社とともに過ごす時間を顧客に売るとき、それは唯一「経験ビジネス」と呼べる。
P.302

経験価値マネジメントに関する参考書として、以下の本が紹介されていた。

経験価値マネジメント

経験価値マネジメント


経験価値マーケティング―消費者が「何か」を感じるプラスαの魅力

経験価値マーケティング―消費者が「何か」を感じるプラスαの魅力

この領域を深掘りしたくなったらこれを読んでみようかとは思うのだけど、
いわゆる概念の原典に当たるような良書が、
あっという間に絶版になっているのだな、と思うと日本のビジネス書業界も
これでいいのかと思わせられるね。
一時の流行で流されてしまうのはいたしかたないことなのだとは思うが、
成功する企業は流行で流されてしまうようなことを
腰を据えてじっくりと向き合う人たちなのだろう、と思ったり。


消費者市場の細分化変数

地理的変数、デモグラフィック変数、サイコグラフィック変数、行動変数
行動変数によるセグメントが、他の変数と関係がないか、など
相互に比較検討して、セグメントの特徴を明らかにしていく。

こういったセグメントの際に、気をつけないといけないのは、
そのセグメントへアクセス可能かどうかも大切。
絵にかいた机上のセグメントで、そのセグメントに対して
効率的にアプローチできないなら、結局何もアクションを起こせない。


デモグラフィックスによる細分化

年齢とライフサイクル・ステージ
わかりやすいけど、扱いには気をつけないといけない変数。
実年齢と気持ちの年齢は違うものだし・・・

ライフステージ
年齢やライフサイクルが同じでも、ライフステージは異なることが多い。
同じ年でも結婚している人もいれば未婚の人もいるし、
すでに離婚している人もいるという事。
ただ、いずれにせよこういったライフステージの変化は、
マーケターにとってはチャンス。

性別、所得、世代
まぁ、この辺は基本。


トレーディング・アップ

中流階層の買い物客が、より高価な製品に買い換える現象。
本来の購買力よりもちょっと上のものを購入する傾向。
これらをボスコンのシルバースタインとフィスクがトレーディング・アップと呼んだ。

で、これまた参考書籍。

なぜ高くても買ってしまうのか 売れる贅沢品は「4つの感情スペース」を満たす

なぜ高くても買ってしまうのか 売れる贅沢品は「4つの感情スペース」を満たす

これは、とりあえず買ってみました。


決定役割

購入者のことだけ考えてしまうのは落とし穴の一つ。
購買決定には、5つの役割がある。
発案者、影響者、決定者、購買者、使用者、の5つ。
購買者=使用者は一番シンプルで考えやすいが、
自分たちのサービスや商品がどうやって購入の
意思決定をされているかは考えたほうが良い。

例えば子供のランドセルは
決定者=母親
購買者=祖父母
使用者=子供
ってな感じになる。

この話は、山田英夫『なぜ、あの会社は儲かるのか? ビジネスモデル編』にも出てきた。

ちゃんとブログに書いておくと、こういう時にすぐに調べられて便利だなぁ。


プレスクール・マーケティングの倫理性

プレスクールや託児所に対して企業が行うマーケティングアプローチ。
例えば製品自体の無償提供とか。
子を持つ親としては気になる話題。
子供を広告から守れ、という人たちもいる一方で、
厳しい予算の中でやりくりしているプレスクールや託児所にとっても、
企業から無料で提供される資源は貴重なのだ、という現実。

コトラー&ケラーのマーケティング・マネジメント 第12版

コトラー&ケラーのマーケティング・マネジメント 第12版

  • 作者: フィリップ・コトラー,ケビン・レーンケラー,恩藏直人,月谷真紀
  • 出版社/メーカー: Pearson Education Japan for JP
  • 発売日: 2008/04/02
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