本書も系統としてはBOPビジネス関連。
製品のイノベーションは先進国が起こすもので、
新興国には先進国の商品の廉価版などを順次展開していけば良い、
という考え方ではダメ。
現地化し、特有のニーズを拾い上げ、
コストやインフラ面での新興国ならではの厳しい制約の中でこそ
真のイノベーションが生まれる。
そのイノベーションは、新興国から先進国へと逆流する。
それがリバース・イノベーション。
先進国の企業でこれに気づいていない企業は大企業と言えども危ういよ、
という警鐘を鳴らしつつ、
BOPビジネスが社会的責任やボランティアと言った文脈ではなく、
ビジネスとしての重要性を持っていることを説く本。
- 作者: ビジャイ・ゴビンダラジャン,クリス・トリンブル,小林喜一郎(解説),渡部典子
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 2012/09/28
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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5つのニーズのギャップ
先進国と新興国には5つのニーズのギャップがある。
要するに先進国の論理で商売してもダメ、ということ。
グローバル化+現地化=グローカリゼーション、が重要。
1.性能のギャップ
新興国の人々は我々が普段使用しているような高機能の製品には手が出ない。
超割安でそこそこの機能、15%の価格で50%の性能を望んでおり、
既製品の設計変更では不可能。全く新しい価格性能曲線を描かなくてはいけない。
そのためには1から設計し直すことが必要。
2.インフラのギャップ
途上国では物理的基盤(道路、電気)、社会基盤(学校など)、
産業基盤(銀行、株式市場)といったインフラが未整備。
これらの厳しい制約がイノベーションを生むとも言える。
3.持続可能性のギャップ
貧困国が経済成長を持続するための唯一の方法は、
「環境に優しい」ソリューションを用いること。
4.規制のギャップ
新興国の規制システムの未整備が、
ある領域においてイノベーションを促進する可能性がある。
5.好みのギャップ
味覚,習慣、儀式などの多様性。
戦略レベルの対応
とにかく輸出ではなくイノベーションを起こすことに取り組まなければダメ。
そして新興国の機会を活用して、他の貧困国への横展開や富裕国の取り残された市場の刈り取り、
最後には富裕国の主流市場へ移転させる。
また、新興国の巨人には常に目を光らせておくこと。
彼らにはグローバルな野心があり、いつか既存の多国籍企業を脅かす存在になる。
油断していると足下をすくわれる。
恐らくメーカーにはピンと来るのかな
製造業、特に最近ボロボロの日本の製造業にこそ、
こういった考え方が重要なんだろうなぁ、とは思うのだけど、
それ以上のことは感じない、と言えば感じない。
知識としては分かるのだけど、業界が違いすぎて
自分のこととしては考えられない部分もある。
ただ、人口オーナス状態の日本および日本企業が成長していくためには、
内需なんかあてにしていたら衰退確定な訳で、
こういった道を切り開いていくしかないんだろうなぁ、とは思う。
- 作者: ビジャイ・ゴビンダラジャン,クリス・トリンブル,小林喜一郎(解説),渡部典子
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