グロービスでファイナンスを教えている先生が書いた入門書。
ファイナンスの中でも企業価値算出をベースに、
文系でもわかりやすく解説してくれている。
タイトルの通り、値段のないものに値段を付けるとしたら
どのように考えて値づけをするのか?
それはキャッシュフローと割引率から現在価値を出せば良いよね、というお話。
企業のバリュエーションもこれと同じ、事業の評価と、
参入是非の意思決定も基本的な考え方は同じなんだということ。
訳分からん数式が出てこないのでイメージつかむには最適。

- 作者: 野口真人
- 出版社/メーカー: 日経BP社
- 発売日: 2013/08/22
- メディア: 単行本
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モノの価値はたった3つの要素で決まる
キャッシュフローの金額=Amount
金利(割引率)=Rate
キャッシュフローが発生する時期=Time
金利1%で1年後の100万円の現在価値は99万99円。
100万円を金利1%で2年間経つと、
1年目=100万、2年目=101万、3年目=102万100円
3年目は2年目の101万円に対して1%かかる。
これが複利計算。期間が長いと膨大な額に。
サラ金やカードのリボ払いの金額で複利計算してみるとゾッとするよ。
ファイナンスにおけるリスク
面白い例を使って説明していた。
スカイツリー,マンションの4階、マンションの2階、
それぞれから飛び降りたとして、どれが一番リスクが高いか?
一般的にはリスク=危険、と捉えがちなので、
スカイツリーが最もリスクが大きいと考えるけれど、
ファイナンスの世界のリスクはそう言う考え方じゃない。
リスク=不確実性、と考える。
そうなると、スカイツリーのリスクは最も少ない、なぜなら確実に死ぬから。
その結果に不確実性がないものはリスクが低い。
そうなると、死ぬかもしれないし、死なないかもしれない、という不確実性は
4階から飛び降りる時が一番高い、となる。
加重平均資本コスト=WACC
負債に対して払うリターン(ROD)と、株主に対して払うリターン(ROE)を
金額の割合に応じて平均したもの。
WACC=ROD*(1-税率)*負債の割合+ROE*株主資本の割合
企業価値を計算するための割引率にはWACCを用いる。
会社の資金調達コストを表している。
借金の多寡は企業価値には影響しない?
フランコ・モジリアーニとマートン・ミラーという経済学者が指摘。
MM理論と呼ばれている。何人で分けようがパイの大きさ自体は変わらない、というもの。
企業の価値はキャッシュフローの価値である以上、
借金しててもキャッシュフロー自体は変わらん。
返済先が多くなっても、企業の活動によって
生み出されるキャッシュフロー自体は変わらないので、関係ないよね、というお話。
ただ、借金をするとその分レバレッジが効いて、業績の良い時にはROEが高くなる。
もちろん、逆もまた然りで、業績悪い時はそれだけROEも悪くなる。

- 作者: 野口真人
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- 発売日: 2013/08/22
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