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チャレンジャー企業が狙うべきリーダー企業の攻め方。発想の引き出しとして押さえておいた方が良い。山田英夫/逆転の競争戦略 第3版 競合企業の強みを弱みに変えるフレームワーク

この人の本は、どれも非常に分かりやすい。

事例で語るビジネスモデル解説の良書 山田英夫/なぜ、あの会社は儲かるのか? ビジネスモデル編 - 学びや思いつきを記録する、超要約ノート

過去のエントリも是非。
恐らく、膨大な理論を整理して、そのエッセンスを日本企業の事例とともに
紹介してくれるからだと思う。
欧米企業のケースよりも圧倒的なリアリティがあって頭にすっと入ってくる。

逆転の競争戦略―競合企業の強みを弱みに変えるフレームワーク

逆転の競争戦略―競合企業の強みを弱みに変えるフレームワーク


異業種競争の時代

ユーザー・ニーズの変化が競争構造を変えることがある。
企業が想定している競争相手と
ユーザーが考えている競争相手とが一致しないことが起きている。
自らの事業が顧客に提供している価値を把握しないといかん。
その抽象的な価値を認識していれば、競合が誰になるのかは自ずと分かる。
業界なんてものは関係なく、ユーザーが選択肢に上げて比較するものは全て競合足りうる。

例えばサウスウエスト航空は競合を車と捉えている、という事例が紹介されていた。


評価尺度の落とし穴

事業の評価尺度は企業文化の表れ。
事業が多角化するにつれ、評価尺度を適切なものに
することに意識しておかないと、ミスリードしてしまう。
例えばある鉄鋼会社では,その尺度は生産量であり、単位はトンだった。
新規部門のセラミックスはグラムで勝負しており、
生産量は少なくても利益率は鉄鋼に比べ非常に高かった。
こうした企業では生産量は少ないが利益率の高い事業がなかなか評価されず、
結局従来の事業が評価され続け,その結果,会社が凋落する。

こういった指標には、売上高、シェア、粗利益、貢献利益、予算達成率、昨対など
さまざまな指標があり、企業に当たり前のように存在している。
当たり前すぎて疑わずにいると痛い目に合うので、
評価軸が妥当か、あるいはこの視点で見た時はどうなのか?といった形で、
複眼的に捉えていきたいと感じた。

尺度による弊害の事例としては、日本生命ががん保険の
規制緩和時に販売した事例が紹介されていた。
売りまくったのだが,すぐに全く売れなくなった。
なぜかと言うと営業員の評価制度に組み込まれていなかったから。
死亡保険金の金額の高さが評価の尺度だったらしい。


侵入者の戦略、価格の常識を攻撃する

・価格水準の常識
・価格の表示方法の常識
・価格の信頼性の常識

上記3つの常識を攻めていくとリーダー企業としてはつらい。

価格水準の常識

他業界の経験曲線に基づいた価格設定。
当該企業のリーダーは追随できない可能性が高い。
カシオは電卓業界で蓄積した半導体の経験曲線を用いて、
楽器業界に参入した。ヤマハやローランドを遥かに越える
半導体の累積生産量を持っていたから、追随できないレベルの価格設定が可能だった。

また、IT関連分野では最近「有料対無料」の競争が増えてきた。

価格の表示方法の常識

価格の役割は価値表示にあると言われている。
一方、高級料亭のように価格を表示しないことに価値があるとされる場合もあるし、
質屋など、価格があってもあくまで目安で交渉によって変わりうるパターンもある。
侵入者の戦略としては、価格がグレーだった業界に
価格を明示して参入するパターンがあり得る。
購買代理店のミスミは金型用部品等をカタログ化し、定価販売に一本化。
その代わりどのような小口注文でも受け付ける形にした。
相手によって一切差を付けないやり方は、
逆に小さい企業でも自分が損をしているということが無く、安心して発注できた。
クイックマッサージの10分1000円も明瞭会計で成功したパターン。
コメ兵は質屋の世界に明瞭会計を持ち込んだ。
買取査定を一発回答のみ、交渉なしにして女性でも売りやすいようにした。


価格の信頼性の常識

引っ越しの見積もりも以前はそこから最終請求額との間にはずれが生じるのが普通だったが、
ヤマトやアートといった大手が見積もり以上請求しないというパック料金を設定した。


リーダーの戦略定石

・周辺需要拡大→市場そのものを拡大させる。
・同質化政策→チャレンジャーの差別化要因を真似することで潰す
・非価格対応→下位企業の安売り競争に応じない
・最適シェア維持→おいしくない需要をとって貰った方が、自社の利益率が上がる。


リーダー企業が追随しにくい戦略

・企業資産の負債化
→組み替えの難しい企業資産が競争上価値を持たなくなるように攻めるやり方。
 系列店や営業員を負債化させるのはイメージしやすい。
・市場資産の負債化
→ユーザーサイドに蓄積されてきた資源(ソフトウェアやパーツなど)を
 無価値にするアプローチ。
・論理の自縛化
→リーダー企業が発信してきたことと矛盾する製品.サービスの投入。
・事業の共喰化
→リーダー企業の製品と共喰い関係にある商品を投入する。

要するにリーダー企業の方が経営資源は多いわけで、
真っ向からぶつかるとやられる。
ポイントは、リーダー企業が追随したくても、安易に追随すると
今の自分たちの事業が痛手を受けるのではないか?というポイントをつくこと。
リーダー企業に出来ないことを狙うというよりは、
出来るんだけど,やりたくない領域を狙う、っていう感覚。

逆転の競争戦略―競合企業の強みを弱みに変えるフレームワーク

逆転の競争戦略―競合企業の強みを弱みに変えるフレームワーク