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見える化という言葉の独り歩きが一番怖い。ちゃんと原点に立ち返って振り返らないと。 遠藤功/見える化

戦略は実現できなければ意味が無い。
戦略だけなら模倣できる。
でも、その戦略を高いレベルで実行できる現場力は模倣困難。
オペレーショナル・エクセレンスこそが、模倣困難な差別化の要因になる。
というのが著者が再三繰り返し主張していること。
まったくもってその通りだと思うのだけど、
その自発的、能動的に動く強い現場を作り上げる際に有効なのが「見える化」だ。

一時期流行語のように目にしたし、見える化がテーマの本も
Amazonで「見える化」で検索したら2708冊も検索結果が出てきた。

でも読むならこの1冊をじっくり読めば十分だと思う。
見える化は何でもかんでもデータを可視化することではないってのが落とし穴。
ちゃんと本質を捉えられているか、常に意識していきたい。

見える化-強い企業をつくる「見える」仕組み

見える化-強い企業をつくる「見える」仕組み



現場力は現場の自立的な問題発見と解決能力

問題が顕在化するためには、「本来こうなっていなくてはいけない」という標準や基準がまず明示され、組織内で共有されていなくてはならない。
P.15

すべては、どうあるべきか、を定義するところから始まる。
そことのギャップが問題であり、解決すべき課題だから。
この定義ができ、全員で共有できていないと何も始まらない。
また、現状がそれなりに回っているのだとしたら、
より高い理想を掲げ、そのギャップを問題として設定する。
その課題設定と解決が現場から能動的に生まれてくる組織は強い。
見える化とは、その問題を見えるようにする、というのがオリジナルの意味。
何でもかんでも、数字を可視化することではない。


数値はあくまでも事実の断片

数値はあくまで「事実の一部分」にすぎないと認識したうえで、「見える化」の仕組みを構築しなければならない
P.55

数字の奥にある、数字には表れない何かがあるはずだ、と考えることが重要。
数字は重要な指標だが数字がすべてではないことを肝に銘じておく必要がある。
これはトヨタ大野耐一も言ってたこと。

トヨタ生産方式―脱規模の経営をめざして

トヨタ生産方式―脱規模の経営をめざして

究極の見える化は、見えないものを見ることができる人を育てること。


異常を白日のもとに晒す

異常は本来、仕事のプロセスの中で発見し、解決すべきものである。「小さな異常」に気がついて対処することが「大きな異常」を発生させない唯一の方策である。
P.81

そう簡単にできることではないが、異常が発生したらそれをしっかりと突きつけ、
ことの重大性を認識させることが重要。
しかし、往々にして異常は隠蔽されがち。
異常を誰が見ても異常と感じる状態にすれば、対策を取らざるを得なくなる。


とにかく記録を残す

カイゼンに取り組むと、知恵を出すことばかりに目が行き、どうしても記録がおろそかになってしまう。効果があってもなくても、記録を残すことが現場改善の基本中の基本である。
P.114

この効果が有っても無くても、記録するというのが大切。
ついつい効果がなさそうだから次へ、次へ、と進んでしまいがちだが、
効果が上がらなかったとしても、そのことを記録することには価値がある。


犯人探しは厳禁

すぐ「犯人探し」を始めるような未成熟な職場でトヨタのような「見える化」を行えば、職場は瞬く間に崩壊してしまうだろう。
P.195

見える化は問題を明らかにする。都合の悪い情報ほど明らかにしなければいけない。
このとき絶対にやってはいけないのが、問題を個人の責任にするような犯人探し、だ。
見える化は人を評価するためのものではない。
これは勘違いしやすいポイントだと感じた。
もちろん、ミスに対して指導は必要だが、それは人をつくるための指導。
人にやさしく、業務に厳しく。


最後は人への信頼

見える化」という「組織の透明性」は、失敗に対する寛容性からもたらされる。そして、その根っこにあるのは、人に対する「信頼」である。人への「信頼」が根底にあるからこそ、「見える化」は成立することを忘れてはならない。
P.196

信頼が無い現場は強くなれない。
マネジメントをする際に肝に銘じておかなければ。
ただ、学べば学ぶほど信じ続けることの難しさを痛感する。
色々なものを信じ抜けるかが経営者の能力を左右する気がする。

見える化-強い企業をつくる「見える」仕組み

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