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売れない8割の可能性に着目しその後のビジネスにパラダイムシフトを起こした本。 クリス・アン ダーソン/ロングテール

今となっては当たり前のように使われるようになったロングテールという言葉。
その現象を指摘したのがこの人、クリス・アンダーソン
そういう意味ではこの本はちょっとしたエポック・メイキングな本だと思う。
文庫化される際に増補改訂版になったのは良いんだけど、
今やその文庫版も入手困難になっており、
マーケットプレースなど2次流通に頼らざるを得ない。
これくらい有名な本でも、入手困難になってしまうのだな、と思うと
それはそれで紙の出版の限界を感じる。
また、こういった本の需要もものすごく一過性のものなんだということも推察される。
学術書やビジネス書などの実用書は、その時買っておかないと
あっという間に手に入れづらくなってしまう。
版元もきっとそのブームの引き方が急激なのを身にしみて感じているから、
重版もなかなかかけづらいんだろうな。

ロングテールの話をはじめて聞いたとき、ワクワクしたことを今でも覚えている。
当たり前になった今、改めてちゃんと読んでみようと思って手に取った次第。

ロングテール(アップデート版)―「売れない商品」を宝の山に変える新戦略 (ハヤカワ新書juice)

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売れない8割の可能性

さらにヒット文化への人々の対応が、結果的にヒット文化をより強化した。商品棚の世界では、ある

商品を置くためには別の商品をはずさなければならない。そこでエンタテインメント関連の業者は、

もっとも人気のある作品だけを選び、特別扱いをする。このようにヒット作品を商業的に応援するこ

とで、実は他の作品との差を拡大させているのだ。
P.70

2割の商品が8割の売上を稼いでいるといういわゆる2:8の法則においては、
当然売れる2割の商品がフォーカスされる。
それは売れるものがより売れる世界で、売れないものは排除される世界。
でもインターネットによってこれが変わった。
売れない8割、今まで見向きもされなかった8割の部分でニッチな需要をかき集めれば、
それはそれでビジネスとして成り立つ。大きなパラダイムシフトだったと思う。

ただここで整理しておかないといけないのは、ロングテールというのは、
テールが長いことだけを指しているのではなく、
商品の売れ方が分散していることも重要な要素。
この2つを混同して語られることが多いので要注意。


流通や集客の変化

金もスターもない映画は、大きな劇場チェーンに配給されない。要するに、劇場チェーンが、商売と

して成立しないところで映画の供給をふるい落としていることになる。曲線を切ってしまったのは彼

らだ。
P.215

流通及び需要をかき集める部分の採算分岐点が高いと、
必然的に売れる2割に注力せざるを得なくなる。
そのコストを劇的に下げられれば商売になる商品がぐっと広がる。

創造性豊かな個人主義を育てつつあるのか、それとも視野の狭い個人主義に手を貸しているのか。
選択肢を増やしているのか、それとも選択隕を鈍らせているのか。
P.316

この多様性を担保できる社会の方が、きっと楽しい。
視野の狭い個人主義を増長していると言う指摘は考えたこともなかった。
別にみんながみんなと一緒である必要は無いじゃないか、と思うので
個人的にはあくまでもポジティブに評価したいし、
自分自身、恩恵をたくさん受けていると思うので、
ロングテールが成立する社会の方が嬉しい。


別にヒットがなくなるわけじゃない

ロングテールはヒットの終焉を告げるものだという誤解だ。そうじゃない。ヒットはニッチと同じぐ

らい流通のべき法則分布の一部だ。終わりなのは、ヒットの“独占状態”である。あまりにも長きに

わたり、ヒット商品またはヒット狙いの商品が舞台を独り占めしてきたが、それはヒット主導型の会

社だけが小売の販路にアクセスでき、なおかつ小売の販路にはベストセラーしか扱う余地がなかった

からだ。しかしいまや大ヒット商品は多数のニッチ商品と舞台を分け合わなくてはならないのであり

、そのせいで市場はかなり違ったものになってくるだろう。
P.424

ヒット商品が無くなるわけじゃなくて、
ヒット商品しかない、っていう状況じゃなくなるってこと。
ただ人は選択肢があればあるほど迷ってしまうし、
自由になればなるほどそこから逃走してしまうということもあるので、
結果的に選択肢が増えても逆に偏った選好になるパターンもあるかもしれない。

ロングテール(アップデート版)―「売れない商品」を宝の山に変える新戦略 (ハヤカワ新書juice)

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