ビジネス書大好きMBAホルダーが教える私の学びシェア

本を読んでそこから新しい知識を得たり、学んだりすることが大好き。学びたい、成長したいという意欲のあるビジネスマンの皆さん、一緒に成長しましょう。

現場力の人にこれだけは読んどけと言われたから、半信半疑で読んでみたけど、これはいい本だ! ヤン・カールソン/真実の瞬間

組織を顧客志向に劇的に改善させ、現場の力を活かすとはどういうことなのか。
そんなテーマに関して某教授がとりあえずこれだけ読んどけ、と
オススメしていたのがこの本。

本書のタイトルにもなっている「真実の瞬間」というのは、
主にサービス業の現場で企業(従業員)が顧客と接するわずかな時間のこと。
その「真実の瞬間」にどういった対応ができるか、
それが顧客満足や企業イメージに大きな影響を与える。
実際の現場には無数の真実の瞬間があり、1人1人が意思決定を行いながら
業務が進んでいる。その小さな意思決定の精度を上げていくことが、
企業全体のパフォーマンスを大きく向上させる。
逆に言えば、現場の1人1人が意思決定を行える組織を作り、
適切な権限委譲を推進していかないといけない。
本書はまさに危機に瀕した企業が、生まれ変わるドキュメント。

半信半疑で読み始めたけれど、確かにこれは名著。
経営者のリーダーシップの取り方の一例としても非常に勉強になった。

真実の瞬間―SAS(スカンジナビア航空)のサービス戦略はなぜ成功したか

真実の瞬間―SAS(スカンジナビア航空)のサービス戦略はなぜ成功したか


すべての意思決定をすることが経営ではない。

リンネフリュ社が生き残る唯一の道は、各人が責任を負い、可能性を広げるためにアイデアを出し、経験を活かして、私に力を貸してくれることだ。
私もいくつか自分のアイデアをもっているので、それを使うことができるかもしれない。
しかし、最も重要なのは、きみたちが私を助けてくれることで、その逆ではない。
P.18

経営者の仕事は、意思決定すること。
これは間違いないのだけど、すべて自分で考え、
すべての意思決定に関与することが経営することではない、ということ。
掌握しすぎようとすると、意思決定に忙殺され、
大局的な視点で考える時間を取れなくなる。
また、すべてをコントロールしきれるわけは無い。
現場は無数の意思決定で成立しているのだから、
適切な権限委譲をして、責任感を持たせて、現場を主役に持っていくことが大切。

カールソンは、自分が4週間の休暇に入る前に、インタビューで
休暇中に仕事の電話が鳴らなければ組織がうまく動いている証拠、
1本でも電話が鳴ったらまだまだ、みたいなことを言って休暇に入ったらしい。

私は数日後に休暇をとった。それから四週間、電話はみごとに黙したままだった。それは、多少はインタビュー記事の効き目もあったろうが、計画どおりに業務が遂行されている何よりの証拠だった。帰社してみると、私の留守の間に、多くの意思決定がなされていた。そのなかには私の意に沿わないものもあったが、肝心なのは責任者が意思決定を行ったという事実だ。他の従業員も、正確で、新しい情報に基づいて、責務を果たしていた。
P.46

現場が主役の組織づくり、これぞ現場力。


経費は競争力を高めるための資源

私たちは、経費とは「悪」であり、つねに最少に切り詰めなければいけないという考えをやめ、競争力を高めるための資源だと考えるように方針を変えた。実際、経費は、ビジネス旅行者獲得という目標達成に有効的に使われるならば、その市場での競争力を強めることができるのだ。
P.35

コスト=悪、削れるだけ削るべし、という考え方は危険。
経費は資源だと考え、効率的な投資を意識しないといけない。
そのコストは何に寄与しているのか、その意識を持てば、
自ずから無駄も見えてくるのかも。


経営者の仕事

何でもわきまえているか、わきまえているふりをしないと、有能な管理者ではない。そう思い込んで、多くの経営幹部が、同じようなまちがいをする。自分たちの直接の上司に対する「何も知らないし、部下の仕事さえこなす能力がない」という従業員の陰口は、管理者が自分は何でも知っていなければならないと勘ちがいしていることの、何よりの証拠だ。しかし、経営幹部には、細かい、専門的な知識は必要ない。私は大手航空会社の社長だが、飛行機の操縦も修理もできない。社員はだれ一人として、私にそのような能力を期待していない。今日のリーダーに求められているのは、もっと一般的な手腕で、社内外の人間関係と集団関係および自社の多様な業務の連携プレイを円滑にする、すぐれた経営センスと広い理解力なのである。
P.51-P.52

そうだよなぁ、としみじみ思ってしまった。
社内外の人間関係、とさらっと言っているけれど、
やっぱそういう交友関係は大切だよね・・・。

で、以下のようなタイプは意思決定者としては向いてない。

1つの問題に対して10の解決策を案出し、その中から一つを選ぼうとする矢先に、また五つ新しい解決策を思いつく、といったタイプの人間である。考えることに没頭している間に、機会は失われてしまう。そしてまたまったく新しい問題に直面して、解決策を考えはじめる。彼らが次々と新しい代案を考え出すのは、じつは決断を避けるためではないかとさえ疑いたくなる。
P.108

頭でっかちになってしまっては、いかんよなぁ。


褒めることの大切さ

残念なことに、多くの会社では注意を引くのは失敗だけである。仕事ぶりが良かろうが悪かろうが、あるいは極端な話、仕事をまったくしなくても、だれも何もいわない。スランプに陥ったり問題を抱えて悩んでいても、だれも気にかけてくれるものがいないとしたら、やる気も萎えてしまうだろう。「へまをしてもかまわないさ。だれも気にしないんだから。努力するだけむだだよ」ということになる。だれでも自分が貢献していることを認めてもらいたいと思っている。仕事をして、それを認めてもらうことで、自負が培われる。ことに、従業員の自負心と現場での意欲が顧客の満足度を大きく左右するサービス業の場合は、成果に見合う賞賛の言葉は非常に効果的だ。
P.158

ちゃんと褒めることは大切なんだろうな。
言葉にして褒めてあげないといかんのだろう。
この辺は自分も意識してやっていきたい。

真実の瞬間―SAS(スカンジナビア航空)のサービス戦略はなぜ成功したか

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