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98年の未来予想。結構言った通りになってるのでビックリ。内田和成/デコンストラクション経営革命

先日ダイアモンド・ハーバード・ビジネス・レビューに
デコンストラクション3.0 先手を打ってバリューチェーンの再編に乗り出せ」は、
内田氏が98年に出した「デコンストラクション経営革命」の延長線、進化版にあたる。

既に15年以上前の著作で、新刊は入手しづらい状況にあるが、
読んでみると意外と面白い。

事例は確かに古さを感じるが、今読むとほぼほぼ世の中がその通りの変化を起こしてきたことに気づく。
98年にこの先見の明は素直に凄い。


98年ってこんな時代、リーチネスとリッチネス

ネットワーク化されるということは、これらのパソコンが社内はもちろん、外部ともつながるということであり、企業以外にも一般消費者や海外とつながることを考えると、この効果は計り知れないものがある。ホワイトカラー一人に一台、すなわち現在の電話並みにパソコンが普及し、それらがネットワークで社内外とつながることの意味は大きい。例えば、ファックスが四〇〇万台程度の普及率で、これだけビジネスに影響を与えていることを考えると、ファックスの10倍近く普及するパソコンは大変なインパクトを与える。
P.55

Windows95が出て3年、だものね。インターネットの普及もまだまだ、ISDNとかの時代かな。
でも、あの時コンサルタントとして働いていたなら、そりゃあこれからの世の中の変革に
ワクワクしただろうなぁ、と思う。
そしてネットがもたらす情報革命をリッチネスとリーチネスというトレードオフの解決と捉える整理はさすが。

従来、企業が情報を経営に生かす場合に、情報の経済原理として、情報の充実度(リッチネス)と情報の到達度(リーチネス)は、相反する関係(トレードオフの関係と呼ぶ)にあった。
P.61

情報が電子化され、電子ネットワークが発達すると、状況が変わってくる。
インターネットや放送の多チャンネル化、双方向化を利用すれば、今までの常識とは逆に、一度に多数に情報を送りながらも、ツーウェイで顧客とのコミュニケーションをとることが可能になってくる。
リーチとリッチネスが両立可能なのである。
P.63

コミュニケーションコストの低減

情報ネットワークが未発達の時代には、企業がある機能を外部に切り出して発注すると、そこで浮くコストダウンによる効果より、そのために発生するコミュニケーションコストや時間のロスが多く、結果として企業は自前主義を捨てきれなかった。ところが、情報ネットワークが発達し、各企業がオープンモデルに基づいて共通のルールでビジネスを運営するようになり、アウトソーシングによる効果がデメリットを上回るようになってきている。
P.67

インターネットの普及をコミュニケーションコストの低減と捉え、
それによってアウトソーシングが進んでいく、という未来予測。

で、バリューチェーンのどこからどこまで自分でやるのかとか、
どの部分がアウトソーシングできるのか、とかその辺の判断がとても重要に。

オーケストレーターは、顧客にすべての価値を提供する点で、一見インテグレーターと似ているが、二つの点でインテグレーターと大きく違っている。一つは、顧客へはすべてのバリューチェーンを提供するのであるが、自社ですべてを持つわけではない点である。要するに他人の力をうまく使うのである。
もう一つの点は、サプライヤー(供給者、通常はメーカーのこと)の視点ではなく、ユーザーの視点でバリューチェーンを組み立てている点である。
P.87

デコンストラクションへの対応

自社の製品、サービスのバリューチェーンの中で、コストがかかっている部分と、価値を生んでいる部分とを正しく理解することである。そのためには、自社のコスト構造だけでなく、業界全体のコスト構造を正しく捉える必要がある。
(中略)
自社のビジネスがバリューチェーンの一部を構成しているのか、全部を持っているのかということである。前者であれば、バリューチェーンが統合化された時に、何か起こるかに注意を払わなくてはならない。後者であれば、バリューチェーンが分解された時に、起こることに留意する必要がある。
(中略)
自社のビジネスがネットワーク化の進展とともに、どのような影響を受けるかを把握することである。
今まで物的製品として存在していたものがネットワークで配達できてしまえば、流通革命以前に製品革命となる。
P.177-P.180

自社の強み、武器はなんだってことにつきるな。
それと同時に、今までの資産が足を引っ張ることにもなりかねない。

現在の戦略的資産が負債に変わる可能性を探ることである。
P.182

これを見抜けないと会社が傾きそう。

スピード感が求められる

三倍のスピードで企業が動くためには、企業全体の舵取りのスピード、すなわち戦略決定のスピードを今の数倍から10倍くらいに速くしないといけない。それが実現できて、企業全体が動くスピードがようやく三倍くらいになるのである。現場や末端にいる社員だけのスピードアップ、すなわちガンバリズムだけではたかがしれていると認識すべきである。マイクロソフトのCEOであるビル・ゲイツのように電子メールを駆使して毎日数十件の意思決定を繰り返すところまではいかなくても、社長や部門長は一日で意思決定する癖を付けていかないと、これからのネットワーク社会は乗り切っていけない。
P.212

以前との最大の違いは、待ちの戦略が通用しなくなったことである。従来であれば、業界リーダーの場合、二位以下の企業がどう勣くかを見ながら、必要であれば規模にものを言わせて後から追随し、蹴散らす作戦が十分通用した。下手にリスクをとるよりも、下位企業の様子を見ていればよかったのである。一方、二位以下の企業もたまに新製品を出してはみるものの、そうそう簡単には業界秩序は変わらず、それならばあまり無理をせずにリーダーの様子を見ながら、パイの分け前を少しもらっていたほうが安全だった。デコンストラクションの時代には、そんな悠長なやり方は通用しない。
自分たちの業界が、自分たちの意思やペースにかかわりなくデコンストラクトされてしまうのである。
他社に先を越される前に、あるいは業界がなくなってしまう前に自らが動かないと、生き残りすら難しいのである。勝者が一人で、残りはすべて敗者になる可能性が高いのである。
P.215

とにかく変化のスピードが加速し、ついていけない企業はおいていかれる。
そして勝者が総取りする傾向は益々強くなる、という予想。