ビジネス書大好きMBAホルダーが教える私の学びシェア

本を読んでそこから新しい知識を得たり、学んだりすることが大好き。学びたい、成長したいという意欲のあるビジネスマンの皆さん、一緒に成長しましょう。

業界問わず自分なりに様々なケースを分析してみる癖をつけることが大事なのだな。三谷宏治/観想力

タイトルだけだと、いったい何の本だろう?と思ってしまうかもしれない。
サブタイトルは空気はなぜ透明か、だ。
何だろうこの禅問答的な問いかけ。
精神世界の話かしら、とかあらぬ妄想が膨らむけれど、
内容は思考法のヒントであり、多彩なケースを紹介してくれる実に面白い本。

おそらく、観察し、想像する力=観想力、と理解するのがこの本の実態に合ってる気がする。
元々は仏教用語&哲学用語で、そちらの意味としてもぴったりくるタイトルなのだけど。

観想力 空気はなぜ透明か

観想力 空気はなぜ透明か



戦い方の違い

ビジネスには、「敵」に勝てば売上が増えるものと、「顧客」に勝だないと売上が増えないものがある。消費財で言えば、必需品と嗜好品とも言える。この二つで、戦い方は大きく異なる。
P.122

誰との戦いなのか、はとても大切。
自分の仕事は嗜好品なので、「顧客」との戦い。
不要不急の物を売るには常に顧客を満足させる何かが無いと売れない。
最近自分たちが顧客に提供できる価値は何なのだろう、と改めて考える機会が多い。
競合意識し過ぎるのもよくないかもな。


利益は後からついてくる

業界一〇位のジョイフル本田はそれが更に極端だ。一店舗当りの平均売上は、なんと八七億円。最大の千葉ニュータウン店は、店舗面積が一万二四〇〇坪(四万一〇〇〇平方m、東京ドームニ個分以上)、品揃えは二二万アイテム。五〇km先から顧客を誘引し、年商二〇〇億円を生み出す。創業者本田昌也氏の品揃えへのこだわりは、凄い。「死に筋商品こそ高粗利率であり、顧客に発見の感動を与える」「それがたとえ一年に一つしか売れないような商品であっても、その商品に価値を感じ、必要とするお客様がいる限り、それは大事な取扱商品」「欠品はお客に対する最大の信義則違反」「経営はガマン。お客さんの方だけ向いていれば、利益は後から付いてくる」
P.106-P.107

この手の話がすごいと思いつつ、本当にそうなのか実感がわかない。
本当にいつか利益が出るんだろうか。
当然、いつかその先に利益が出る構造になってることが必要なわけで、
お客さんの方だけ向いていれば、ってのが全面的に納得できない。
で、こういう話の一部分だけ切り取って「顧客サービスが云々」とか「お客様のために」とか
コスト度外視で言う輩が本当に信じられない。
それとも自分が間違っていて、本当にその先には儲かる世界が待っているのだろうか・・・
最近、すごくそこら辺悶々とするのだけど、やっぱりちゃんと儲かる仕組みが前提にあったうえでの話だと思ってる。


市場シェア

市場シェアの研究では、F・W・ランチェスターの法則と、それを研究した米国コロンビア大学の数学者B・O・クープマンにより提唱された「クープマン目標値」が有名だ。『クープマン目標値』1.独占的市場シェア:七三・九%(一位が絶対安全かつ優位)2.安定的トップシェア:四一・七%(安定した地位を確保できる。
トヨタ自動車が「シェア四〇%の安定的な確保」にこだわっているのはこのため?・)3.市場影響シェア:二六・一%(激戦の競争状況から一歩抜け出した状態。
二位であったとしても、この基準にあれば市場に影響力を持つことが可能)4.並列的競争シェア:一九・三%(数企業で拮抗している競争状態のときに多いシェア)5.市場認知シェア:一〇・九%(生活者において純粋想起がなされるレベルのシェア。競合他社からも存在を認められるようになる)6.市場存在シェア:六・八%(生活者において助成想起が可能なレベル。市場において、ようやく存在が許されるレベル)
P.150

えーと、、、存在が許されないレベルかもしれないけど、がんばろう。

複数戦においては相対シェア一・七が打ち破り難いトップの座ということになる。そこまでの差がないなら、二位以下にも大いにチャンスがある。自分より下位のプレーヤーを叩いてシェアを稼ぎ、上位プレーヤーに迫ろう、がランチェスターの教えるところだ。前述の例で言えば、ドリンク剤市場での大正製薬は「圧倒的トップ」と言える。
例え、二位の大鵬薬品工業が三位のエスエス製薬から全てのシェアを奪った(M&Aという手段もある)としても、そのシェアは二四%。首位との差はまだ、二倍弱ある。
これではマスーマーケテイング、マス・チャネルの世界では勝ちえない。
P.152

こう考えるとシェアって大事。でもそれ以上に市場の定義が重要なのかもしれない。
自分が勝負できる市場をどう定義するのか、だな。


ジャンプとマガジンの話

ジャンプがマガジンになぜ勝ったか、という話を
コホート分析の視点で解説していたのが面白かった。

要は、マガジンはある時点の読者とともに年を取ってしまった。
ジャンプは常に少年を狙い続けた。結果、成長しても読んでくれる人も増え、
全体の読者を増やすことができたというもの。
一貫した、長期的な戦略が実を結ぶ好例。

観想力 空気はなぜ透明か

観想力 空気はなぜ透明か