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別にスタバの話ではなく、マーケティングとブランディングの良い話 スコット・ベドベリ/なぜみんなスターバックスに行きたがるのか?

タイトルからすると、ものすごくスタバの本のように思えるけれど、そうじゃない。
この人は、スタバはもちろん、その前はナイキブランディングにも携わった人物。
ゆえに、本の内容は、マーケティングやブランディングがテーマで、
別にスタバのことを延々語っているわけではない。

当時スタバブームに乗せて売ろうとしたのだろうし、
長く売る気もなかったんだろうけど。
ちなみに原題は「A NEW BRAND WORLD」、確かにこれは
何も言ってないに等しいタイトルだから変える必要はあると思うのだけどね。

なぜみんなスターバックスに行きたがるのか?

なぜみんなスターバックスに行きたがるのか?


ナイキブランディングとか

マールボロは消費者の心をとらえることに失敗し、ナイキインテルは成功した。
マールボロが下位のブランドや無名の市場参入者と戦うために値下げを余儀なくされたのは、消費者の意識の中で夕バコが実用品になってしまったからだ。つまり、タバコは、小麦や豚肉や砂糖と同じようにブランドの差がない商品と見られるようになったのだ。
マーケティング関係者が陰鬱な思いをこめて「プロダクト・パリティ(商品の同等化)」と呼ぶこの意識変化は、長年にわたってマーケティングや販売促進や広告に何十億ドルという資金をつぎこんで作り上げたブランドの価値をゼロにしてしまう。
P.25

まぁ、ちょっと間違えると築き上げたブランドはもろくも崩壊しかねない、恐ろしい。
緊張感のある分野。でもなかなか定量化が難しい。

リーボックに打ちのめされたあと、ふたたび立ち上がろうとするナイキ社内において、「ナイキとは何か?」あるいは「ナイキ・ブランドの本質とは何か?」といった根本的な問いが激しい緊張や論争の種となっていた。前にも触れたように、ナイキでは、会社の目標も、ミッションも、マーケティング・プランも、何ひとつ明文化されていなかった。
古株の社員たちは、そういういかにも企業っぽい作業をバカにしていた。
P.69

なんかこの雰囲気はわかる気がする。
出版社の中にもそういう空気は蔓延しているかも・・・
もはや死に体なのに変わらない。

外の世界に対してつねにブランドの精神をアピールしつづけることは重要であるが、さらに重要なのは、まず内に対してブランド精神を表明し、機会あるごとにその努力を続けていくことである。
真実を語ることの最大の利点は何を言おうか考えずにすむことだ、と言ったのはマークートウェインだ。今日の企業にも(社員一人の自営業であろうと、全世界に二〇万人の社員を抱える巨大企業であろうと)よくあてはまる至言だ。
ブランドの精神を心と頭で理解することによって、従業員はイノベーションの価値を理解し、同時に潜在的リスクも理解できるようになる。従業員のブランドIQ低い組織は、無気力でプロセスしか見えない閉塞状態に陥ってしまう。
P.106 - P.107

確かにブランドって、ビジョンとかに通じるものがある。
先日読んだ『コーポレートブランディング格闘記』でも社内をまとめる役割が気になったな。


マズロー欲求段階説

マーケティングの視点から人間心理における感情の役割を理解するうえで最も参考になるのは、エイブラハム・マズローの「欲求のヒエラルキー」説だ。マズローの理論をもとにブランドやプランティンクを眺めてみると、あまりに多くの商品が基本的欲求のみにもとづいた鈍感な訴求によって消費者に押しつけられている現状を嘆かざるをえない。飢えている人間は食べ物のことしか考えず、汚れにまみれた人間は石鹸のことしか夢に見ず、寒さに震える人間は暖かいセーターのことしか頭に浮かばない、という図式だ。気のきいたマーケターなら、ヒエラルキーのもっと上位にランクする感情に訴えるだろう。マズローによれば、そういうニーズはあらゆる人間に存在する。
P.156  

マズロー欲求段階説、各要素はわかるんだけど、本当にそういうヒエラルキーなのかはちょっと疑問。
でもまぁ、少なくともこういう欲求はあると思う。

安全のニーズ
身体の安全に対するニーズは、暴動、テロ、社会不安などの緊急事態や社会構造の崩壊期に最も強くなる。子を持つ親にとっても、安全は非常に強いニーズだ。世界屈指の安全性を誇るボルボは、この点に訴求する。

愛情・帰属のニーズ
マズローによれば、人間には孤独や疎外から逃避し、愛情を享受し、どこかに帰属したいというニーズがある。もちろん、このニーズに正面から応えるのは家族や友人だが、大会に参加したハーレーダビッドソンのオーナーたちが感じる連帯感も、このニーズを満たすものだ。コダックは家族が寄り添う時間をとらえた広告でこの感情に訴求し、分割前のAT&Tは有名なキャツチーコピー「手をのばして誰かに触れてごらん」でこの感情に訴求した。

尊重のニーズ
精神的に充足し、自信を持ち、自分の価値を信じるためには、人間はしっかりとした根拠にもとづく高度の自尊心を持ち、他人から尊重される必要がある。こうしたニーズが満たされないと、人間は自らを劣った存在、弱くて頼りなく無価値な存在と感じてしまう。BMWモンブランなどの高級ブランドがもたらすステータスや「自分にご褒美をあげる」感覚は、尊重のニーズを満たしてくれる。

自己実現のニーズ
マズローによれば、自己実現を求めることは「自己という存在の外にある主義主張」への参加を望むことだという。これはきわめて重要かつ強力なニーズであり、何世紀も昔から教会を中心とする宗教活動、赤十字や共同募金などのコミュニティ活動、あるいは国家主義の大義、愛国的大義、革命的大義などによって満たされてきた。こうした受け皿はたしかに今日も存在するが、消費志向の現代社会では、自己実現のニーズが少なくとも部分的にはモノの購入という形によって満たされているという事実も、否定しがたい。ブランドの威力を余すところなく見てきた一人として言わせてもらうならば、マズローヒエラルキーの頂点に位置する欲求を満たすことのできるブランドなど、この地球上に一つもない。マーケターとしてできるのは、せいぜい、こうしたニーズが存在する事実を謹んで認めることぐらいだろう。
P.156 - P.157

と、まぁこんな感じで、スタバ以外の話もたくさん書いてある。


スタバの話

どのブランドにも深いところに時を超えたストーリーがある、ということだ。スターバックスの場合には、コーヒーハウスのほかにも神話の材料があった。スターバックスのロゴマークになっているセイレンだ。セイレンには、美しい歌声で船乗りの心をまどわすという伝説がある。「スターバックス」という名前も、ハーマン・メルビルの小説『白鯨』に登場する一等航海士の名前から取ったものだ。航海のイメージは、明らかに眼を向けるべき分野だった。スターバックスのコーヒ上豆も、ストーリーには事欠かない。コーヒーが育つスマトラ、ジャワ、エチオピア、ケニア、スラウェシといった地域は、さまざまなイメージに富んでいる。

スターバックスが『白鯨』からとられてたのは知らなかった。


パーセプションこそが現実

「物腰はおだやかに、手には太い棍棒を」と言っだのはセオドア・ルーズベルトだが、その知恵は経済界においても同じだ。頭のいい企業は、業界での優位をめざすと同時に、自社が悪者に見られないための気配りも重要であることを理解している。市場では、正しいパーセプションであろうと誤ったパーセプションであろうと、パーセプションこそが現実なのだ。
P.253

ブランドもそうだけど、人間関係もそうな気がする。
パーセプションこそがすべて!!!
そんなつもりじゃなかったというのは通用しない世界。
人からどう見られるか、その人のパーセプションはどうだったか、
それがすべてだと思ったほうが良い。
逆にこういうパーセプションを与えたいのならばどうするべきか、って
逆算していけばいいだけなのだけど。


人間らしいブランド

ちょっと長いけどメモ。
これを従業員全体に徹底させる、というか浸透させるってのが凄い。

ブランドに人間らしさを加味するちょっとした工夫をいくつか紹介しよう。

自分を笑おう
思い切って自分と自社製品を笑いのネタにしてしまおう。明るい面を見よう。だれでも笑いは好きだ。笑いはみんなのためにも良いし、自分のためにも良い。正直で楽しい笑いが取れれば、尊敬されること間違いなしだ。他企業を置き去りにできる。しょせん、仕事の話。ガンの治療ほど深刻ではないのだから。もし後者のケースなら、次の項を読んでほしい。

心からの同情を表現しよう
ハートが大事。慈善事業に小切手を一枚切っただけではダメだ。顧客を大切に思っている、顧客が生活するコミュニティを大切に思っている、自社の従業員のことも同じように大切に思っている、という真摯な気持ちを表現しなくてはいけない。邪悪な企業で働きたい、邪悪な企業をひいきにしたい、と思う人間はいない。悪業を積めば、それはブーメランのようにかならず自分のところへ返ってくる。最悪のタイミングをねらいすましたように。だから、ハートを大切に。そして、お返しを忘れないように。

主義主張を持とう
何でもいい。主義主張を持とう。ただし、すべての人にいい顔をするのは無理。要は、敵より友人が多ければいいのだ。ブランドを自社よりも大きなもの、永続的なもの、興味をそそるものに関連づける努力をしよう。広い世界に目を向ければ、IBMもAOLタイム・ワーナーも、ほんの小さな点でしかない。IBMは“Think”というシンプルなキャッチーフレーズとブランドを結びつけることによって、IBMという企業よりも大きなものの提唱者になった。それから何年かたって、アップル“Think Different”という絶妙のキャッチーフレーズを打ち出した。この文法規則をあえて破った言い回しは、二つの重要なメッセージを伝えている。①アップルはIBMとは違う。②その違いは、ルールを破る能力と心意気にある。アルバート・アインシュクイン、ジョン・レノンジェームズ・ディーンのように。

よく聞き、よく見よう
話をまったく聞かない人間がいる。わたしの経験から言えば、この手の人間は友人がほとんどいない。かたくなに目と耳をふさいでいるブランドに比べると、周囲の世界をよく聞きよく見るブランドは、他者に敬意をもって接するし、対応も賢い。口を閉じているほうが多くを学べることを、おぼえておいたほうがいい。顧客や従業員が暮らしている世界を企業自身の目でしっかり見ることだ。何度もくりかえして。観察し、そこから学ぶべし。

間違いを認めよう
だれでも間違うことはあるIあなたの会社も例外ではない。失敗したら、潔く認めよう。
情報化が進み、企業の行動に対する消費者の関心も高まってきたおかげで、将来はさらに何もかも丸見えの時代になるだろう。からだに合った清潔な下着を身につけることだ。

魂を見つけよう
企業にはハートと脳みそと魂がある。脳みそは、ふつう、経理や業務の部門に存在する。ハートは、CEOとマーケティングの中間あたりに存在する場合が多い。だが、魂は、すべての部門、すべての社員の中に存在しなくてはならない。魂は、善かれ悪しかれ企業文化の中にある。見失ったのなら、そこから再発見の旅を始めるべきだ。そして、見つけたら大切に守り、万が一にも合併などで失ってはならない。クライスラーを思い出してほしい。
P.297 - P.299

なぜみんなスターバックスに行きたがるのか?

なぜみんなスターバックスに行きたがるのか?