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経営に必勝法は無い、でも踏んじゃいけない地雷は避けられる! 菅野寛/経営の失敗学

元ボストンコンサルティング、一橋ICSの教授、という経歴。
著作は非常に少ないのだけど、とにかくハズレなしなので、
もっと、色々な本を書いてほしい。

そして、これは最近出た新刊。

経営に必勝法は無い、だからこそっていうスタンスのお話。

結局、ビジネスの本質とは、同質化すればゆっくり死んでいく、異質化すれば失敗する確率が上がる、というジレンマの中で、いかにして異質化しながらも成功するという例外的な出口を見出すか、というゲームです。
P.248

経営の失敗学

経営の失敗学

必勝法は無い

必勝法は無いけれど、踏んじゃいけない地雷は、しっかりと調べ、考えれば排除できる。
地雷撤去は地味な作業だけど、その地味な作業を愚直にやらない企業が多すぎるという話。
これは実に耳が痛い・・・。

必勝法がない以上、経営者にできるのはいかに成功確率を上げていくかということです。
できることをしっかりとやり、あとはリスクを管理するしかない。
それがビジネスというゲームの本質です。
P.79

繰り返しになりますが、「絶対に勝てる戦略」すなわち「成功の十分条件」はありません。しかしながら、「これをやったらほぽ確実に失敗する」、すなわち「これをやってはいけない」という「Don't」は存在します。別の言い方で言い換えると、「踏んではいけない地雷」は存在すると私は思っています。そして、成功の十分条件は存在しないにせよ、地雷を踏まないことが、少なくとも「成功の必要条件」となると考えることができます。
P.84

理論の鵜呑みはダメ

現実のビジネスに理論を振りかざしてもそれで答えが得られるわけじゃない。

経済学のイロハの理論ですら、現実のビジネスにおいては100回中、100回正しいとは限りません。数学や工学であれば、公式に当てはめることによって論理的に正解を導き出すことができ、しかもその答えは100回中100回正しいのですが、ビジネスの教科書に載っている理論は百パーセント正しい公式ではありません。教科書に載っているような考え方をすれば、頭の整理がしやすくなる、答えが出やすくなる「場合がある」というだけのことなのです。
P.95

そして、ビジネススクールの落とし穴。
これは肝に銘じておかないと。
MBAとかただでさえ他の人から見たら煙たがられそう。
むしろ慎重に振舞わないと足元すくわれる・・・。

いろいろな分析手法を学ぶと、自分がビジネスパーソンとしてスキルアップしたような錯覚に陥るかもしれません。特に、MBAで毒されてしまうのはそのパターンです。ビジネススクールで様々な「武器」(分析手法)の使い方を覚えるのですが、そういう武器はかっこよく見えるので、ついつい使いたくなります。たとえて言えば、今まで自分は素手でしか戦ってこなかったのに、剣の使い方をマスターした、拳銃の使い方をマスターした、果てはレーザー光線の使い方までマスターした。したがって自分はかなりパワーアップした、とうぬぼれてしまい、素手でよい場合でもこれ見よがしにレーザー光線を使うのです。企業内で、小難しい分析手法を駆使して、華麗な分析を披露し、得意気にプレゼンテーションする、そして、周りから嫌われる、という話は珍しくありません。しかも、「小難しい話はするけれど、分析屋や評論家みたいだ」「何も実利あることを言っていない」「それで意思決定やアクションが進んだ試しがない」と周囲は酷評しているのに、それに気づかず、自分だけが酔っているとすれば最悪です。
P.99

意思決定はタイミングが大事

どれほど時間とお金をかけて調査しても、知りたい情報が100%わかるということはまずあり得ません。たとえば、最初に三日間かけて調べると六〇%くらいわかったとしましょう。この六〇%を八〇%にするには三ヵ月、九〇%にするには一年かかるかもしれません(図表B)。そうだとすれば、三ヵ月、あるいは一年も時間をかけるよりも、三日で調べて意思決定し、四日目からアクションを起こしたほうがよいかもしれません。特にビジネスでは、意思決定の遅れによるマイナスの方が、粗い情報で意思決定を行うことによるマイナスよりはるかに大きい場合が多いのです。自社内で遅々として物事が進まない間に、競合は先を行き、顧客も逃げていってしまうのです。
P.102

意思決定は常に不確実な状況での判断。
それでも決めるのが大切。
いつまでも情報を求め、分析にばかり時間を費やして何も決めないのが最悪。
もちろん必要な情報はチェックするべきなのだけど、
トップはある程度のところで決めないとだめ。
決められない経営者は一番だめなのだ、と。


人事はコミュニケーションツール

ちなみに、こうしたメッセージを伝える最も重要な手段は人事です。いくら社長が「これからは売上ではなく利益だ」と口を酸っぱくして言っても、社員の多くは「またいつものスローガンか」と聞き流します。一方、今まで大きな売上を立てていたが利益を出していなかった営業部長が左遷され、売上よりも利益率の高い受注をきっちり取ってきたAさんが営業部長に昇進した、というようなことが起こると、「これは本気だ」というメッセージが一発で社内に伝わります。本当に人事ほど有効なコミュニケーションーツールはありません。
P.236 - P.237

何を評価しているのか、どれだけ本気なのかを伝えるのには確かに有効なんだろうな。


経営の失敗学

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