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因果関係を考えるということはどういうことなのかを丁寧に教えてくれる名著 久米郁男/原因を推論する 政治分析方法論のすすめ

社会科学において、原因を推論するとはどういうことなのか。
化学と違って、実験して定量的にどうこう言うような話じゃない訳だ。

仮説構築でも仮説検証でも、因果関係をどのように思考し、
記述していくのかということが丁寧に書かれた本。
著者は政治学者なのだけど、ここに書かれていることはとても普遍的。

原因を推論する -- 政治分析方法論のすゝめ

原因を推論する -- 政治分析方法論のすゝめ

科学と似非科学の違い

反証可能性があるかないかがポイント。
反証できない仮説は万能な説に見えることもあるけど、
そのことが誤りであることを証明できる可能性が無い仮説は科学ではない。

本書ではそれを「金星は自分の意志で動いている」仮説を例に説明している。
金星は自分で動いてるんだ、という主張は反証されようが無い。
どんな動きをしようとも、それが金星の意思である、と言うだけだから。

陰謀論とかもこの類いで、陰謀論のスケールがでかくなればなるほど、
反証できなくなってもっともらしく流布される。


因果推論の三条件

・独立変数と従属変数の間に共変関係がある。
・独立変数の変化は従属変数の変化の前に生じている。(時間的先行)
・他の変数を統制(コントロール)しても(他の変数の値を固定しても)共変関係が観察される

3つ目の証明はかなり難しい。
まぁ、定量的に処理できる話なら、重回帰分析とか使えば分かりやすいとは思うけど。


とりあえず、かなりおすすめ

論理的な思考や因果関係を考えるとはどういうことかを教えてくれる名著。
論文書く院生とかは一度読んでみることをオススメ。
政治分析を題材にしているけれど、そこに興味が無くても敬遠しないように。
むしろ、政治分析と言う定性的な要素の固まりをどのように分析していくのか、
その緻密な思考法は他の学問分野でも大いに役に立つと思われる。

原因を推論する -- 政治分析方法論のすゝめ

原因を推論する -- 政治分析方法論のすゝめ