ビジネス書大好きMBAホルダーが教える私の学びシェア

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ブルー・オーシャンって言葉が一人歩きしてるから、一度読んでみた方が良い。 W・チャン・キム、レネ・モボルニュ/ブルー・オーシャン戦略

INSEAD(欧州経営大学院)の2人の教授が生んだ話題作。
経営学って北米が多いので、ヨーロッパってだけでもちょっと新鮮。

で、この本は結構売れたらしいし、Amazonのマーケット・プレースでも
あまり値崩れしていない。

そして、結構取り上げられているケースが新鮮。
シルク・ド・ソレイユとかスウォッチとか日本のQBハウスとか。
そこが読んでいてとても面白かった。

でも、このブルー・オーシャン戦略、実際に読んでみると、
言葉だけが先走って誤解されている側面もあるように感じた。
例えば、競争の激しいレッド・オーシャンじゃなくて、
まだ競合のいない新しい市場、ブルー・オーシャンへ出ていこうぜ、みたいな使われ方。
でもこれって実際読んでみるとちょっとニュアンスが違うんだよね。
ちゃんと自分の目で読んでみることは大切だ。



市場は創造する

ブルー・オーシャンを切り開いた企業は、競合他社とのベンチマーキングを行わず、その代わりに従来とは異なる戦略ロジックに従っていた。ここではそれをバリュー・イノベーション(value innovation)と呼ぶ。このバリュー・イノベーションこそ、ブルー・オーシャン戦略の土台をなしている。「バリュー・イノベーション」という呼称を用いたのは、ライバル企業を打ち負かそうとするのではなく、むしろ、買い手や自社にとっての価値を大幅に高め、競争のない未知の市場空間を開拓することによって、競争を無意味にするからだ。
P.31

バリュー・イノベーションを成し遂げれば、「価値とコストはトレードオフの関係にある」という、競争を前提とした戦略論の常識から解き放たれる。これまでは、価値を高めるためにはコスト増を覚悟しなくてはならず、コストを低く保とうとすれば価値の面で妥協をせざるをえない、との考え方が一般的だった。このような考えのもとでは、差別化と低コストのどちらをとるかを決めるのが戦略だと受けとめられる。これとは対照的に、ブルー・オーシャンの創造をめざす企業は、差別化と低コストを同時に実現しようとする。
P.33

読んでて思ったのは、ブルー・オーシャンって言われるような
まっさらな市場がどこかにあって、そこに出ていこうぜって話じゃないんだよね。
どっちかというと、競争の激化に伴い、今いる市場がレッド・オーシャンしていく中で、
バリュー・イノベーションを起こして、競争の軸を変えて、自分だけの市場を作りだそうって感じ。
要するにゲームのルールを変えて、ブルー・オーシャンを自分の周りに作ってしまおう、という
ことであって、まだ見ぬ新たな市場を求めて彷徨いましょうって話じゃない。
結構、勘違いしてブルー・オーシャン、ブルー・オーシャンっていう人多い気がする。


イデア自身に模倣困難性は無いことが多い

製品やサービスの価格は、多数の顧客を惹きつけるだけでなく、つなぎとめておけるように、工夫を凝らして設定しなくてはいけない、ということである。ただ乗りされるおそれが大きい点を考えると、市場に投入したその日から大きな反響を生むようでなくてはまずい。というのも、ブランド構築はロコミに頼る傾向を強めており、ネットワーク社会ではロコミは瞬く間に広まる。このため企業の側では、買い手が逃れられないほど魅力的な製品で最初から勝負を仕掛け、その路線をとりつづけることで、ただ乗り的な二番煎じを撃退しなくてはならない。だからこそ戦略的な価格設定がカギを握るのである。戦略的な値づけに成功すれば、「ターゲットとする買い手を発売当初から大勢惹きつけ、惜しみなく支出してもらえるだろうか?」という課題に対処できる。比類ない効用を生み出し、それに戦略的な値づけができれば、他社による模倣は避けられる。
P.170

イデアは模倣される。
だから、一気に、製品サービスを普及させる戦略的な価格が必要って話なのだけど、
なんかこの辺の話はちょっと胡散臭い。
それが解決策なのか!?って感じ。
初期に大きなシェアを獲得することで規模の経済が思いっきり効く、とかいう前提があれば
話はわかるけれど、そうじゃない限りちょっとしんどい話だよな。

まぁ、でもスウォッチの事例は面白かった。

スウォッチのチームは「価格が四〇ドルを超えてはならない」との厳命を受け、この価格から逆算する形で目標コストをはじき出した。その過程では、マーケティングやアフターサービスを行いながら利益を出すために、どの程度の利幅が求められるかも検討した。
スイスは労働コストが高いため、製品そのもの、そして製造工程を大胆に変えないことには、この目標は達成できなかった。そこでたとえば、金属と皮革の代わりにプラスチックを用いた。技術者たちは、時計内部の設計をがらりと改めて、部品の数を一五〇から五一へと減らした。
さらに、組立て手法も見直してここでもコストを押し下げた。一例として、ケースの蓋をとめる際にネジを使うのをやめ、超音波溶接に切り替えた。このような設計・製造面での変更によって、人件費がコスト全体に占める比率は三〇%から一〇%未満へと下がった。
P.178

単純にすごいよね、ただの安物時計のイメージしかなかったけど。


変革の進め方

ティッピング・ポイント・リーダーシップは、流行と「ティッピング・ポイント」にまつわる理論を源とする。その核心にあるのは、どのような組織でも、一定数を超える人々が信念を抱き、熱意を傾ければ、そのアイデアは大きな流行となって広がっていく、という考え方である。このような現象を引き起こすためのカギは、拡散ではなく集中にある。
どの組織でも、業績にとりわけ大きく影響を及ぼす人、出来事、行動などが存在するが、この事実はまれにしか活かされていない。ティッピングーポイントーリーダーシップは、まさにこれらの要因を活かそうというのである。このため、途方もなく大きな変革を仕掛けるといっても、すべての経営資源に長期にわたって投資を行い、多大な反応を引き起こして、成果を上げようというのではない。従来の常識とは逆なのである。むしろ、組織内でとりわけ大きな影響力を持つファクターを見極め、それらを活かすことで、資源と時間を節約しようというのだ。
P.198 - P.199