ビジネス書大好きMBAホルダーが教える私の学びシェア

本を読んでそこから新しい知識を得たり、学んだりすることが大好き。学びたい、成長したいという意欲のあるビジネスマンの皆さん、一緒に成長しましょう。

そこまでゲーム理論バリバリの本ではないけれど今読んでも発見がある本。アダム・ブランデンバーガー、バリー・ネイルバフ/ゲーム理論で勝つ経営

ちょっと古いのだけど、タイトルにはちょっと語弊があって、
ゲーム理論ばりばりの本ではない。

他社の役割は、競合の部分もあるかもしれないが、
補完的なプレイヤーとしての存在価値もあるかもしれない、といった
複数の役割がある、という視点をもたないと駄目よみたいな話。

これはまさに言う通りで、アップルとサムスンとかも競合でもあり、
重要なパートナー同士でもある。
企業の利害は複雑に絡み合っている。

ゲーム理論で勝つ経営 競争と協調のコーペティション戦略 日経ビジネス人文庫

ゲーム理論で勝つ経営 競争と協調のコーペティション戦略 日経ビジネス人文庫

で、なんでいまさらこの本に興味を持ったかと言うと、
昨年のビジネス書ベストセラー、三谷宏治『ビジネスモデル全史』の中で紹介されていたからだった気がする。


色々な企業の成功事例が詰まった、アイデアの宝箱のような本 三谷宏治/ビジネスモデル全史 - 学びや思いつきを記録する、超要約ノート



役割は複数ゲーム理論

ビジネスのゲームにおいて、人々は多くの役割を演じる。それゆえにゲームはより複雑になる。時折、他者の一つの役割だけに気を取られて、その他者が演じる他の役割が何なのかを考えることを忘れてしまうことがある。また、あるプレイヤーが同時にいくつもの役割を演じているために、そのプレイヤーの役割が何なのか断定しにくいこともある。
P.58

1つの役割したかないと思い込むと、思わぬ落とし穴に引っかかる。

どんなゲームも、異なる人間の異なる認識によって大きく影響を受ける。
ゲームの行われ方に影響を与えるだけではなく、それ自体ゲームの基本的な一要素なのだ。
同様に、認識の認識、認識の認識の認識といったものも重要である。
他者の認識を変えることで、彼らの行動をも変えることができる。
認識を変えるための策略は、「戦術」に属する。
P.125

これはゲーム理論の本質的な説明。
認識の認識、といったものを意識することで、相手の認識や戦術を読み、
それを変えさせるような対応策をとることもできる。
腹の探りあいと言うか、でも本書ではこれ以上の
ナッシュ均衡とかクールノーとかベルトランとかは出てこない。

サービスに対する、保障がサービスの維持向上に寄与する。

配送会社の事例なのだけど、例えば配送が遅れたら保障を提供します、みたいな話。
これによって現場も配送遅れを意識するだろうし、ボトルネックがあぶりだされるかもしれない。
さらにこういった保障は、サービスに不備があった事実を可視化してくれる。
通常、そういう不備が起きたことさえ把握できない、と言う話。
なるほど納得。

一流のサービスを提供するなら、一流の補償を提供しなければならない。
こちらのサービスの良さを信じてもらうための戦術なのだ。
劣ったサービスしか提供できない者は、この戦術を真似できない。
ゆえに、競争から一歩抜け出る戦術でもあるのだ。
同じことだが、補償の提供に失敗すれば、
自分のサービスの良さをわかってもらうことはできない。
補償の提供からは、他にもいくつかの利益が得られる。
補償によって、効果的に高品質のサービスを提供できる。
一生懸命時間どおりに配達しようとする。
さもないと、補償を支払わなければならない。
また、いつどこで配達が遅れやすいかを知らせてくれる。
補償がない場合、サービスに満足しない顧客は、わざわざそれを告げることなどしない。
せいぜい友人にその悪口を言うくらいで、たいていは黙って去っていく。
補償があれば、サービスの不備な点を告げるインセンティブを持つ。
提供者にとってみれば、問題が発生すると同時に知ることができ、
次回以降の対策を立てることができるのだ。
しかも、謝罪する機会を持っていることになる。
補償によって謝罪の意思を示せるからだ。
ただミスを犯し、顧客を怒らせているだけでは、すぐに顧客を失ってしまう。
補償があれば、謝罪の夕イミングを知ることができるのだ。
P.339 - P.340

ゲーム理論で勝つ経営 競争と協調のコーペティション戦略 日経ビジネス人文庫

ゲーム理論で勝つ経営 競争と協調のコーペティション戦略 日経ビジネス人文庫