マッキンゼーがデザイン会社買収したり、
デザイン思考みたいな言葉を目にする機会が増えたり、
何かと注目を集めつつあるのがデザイン。
そういう文脈とは別に、UI/UXみたいな物への関心から、
一連のデザイン系の本を読んでいるのだけど、
この本はデザインという物に対する考え方をまとめた本。
とりあえず読んどけ、といって構わないような定番本。
まぁでもデザインって単純に面白いよね。
素敵なデザインの物を見るだけでも楽しい。
それが日用品でも、家電でも、車でも、建築でも・・・。
デザインって左脳と右脳の絶妙なバランスな気がする。
そこには機能性と芸術性の両方があって、だから楽しい。
で、買っておいたのだけど読むまでに増補改訂版が出てしまった・・・。
今ならそちらをお買い求めいただく方がよろしいかと思われます。
誰のためのデザイン? 増補・改訂版 ―認知科学者のデザイン原論
- 作者: D.A.ノーマン,岡本明,安村通晃,伊賀聡一郎,野島久雄
- 出版社/メーカー: 新曜社
- 発売日: 2015/04/23
- メディア: 単行本
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誰のためのデザイン?―認知科学者のデザイン原論 (新曜社認知科学選書)
- 作者: ドナルド・A.ノーマン,D.A.ノーマン,野島久雄
- 出版社/メーカー: 新曜社
- 発売日: 1990/02
- メディア: 単行本
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情報は頭の外にある
さらっと書いてあるから読み飛ばしがちだけど、結構大事なポイントな気がする。
頭を記憶媒体と捉えがちだけど、外部に溢れている大量の情報処理装置なんだよな。
人は、ものの配置や置き場所、文書、他の人が持っている情報、ある社会において作りだされたもの、文化の中や文化によって媒介される情報に依存している。
たくさんの情報がつまっているのは世界の中であり、頭の中ではない。
謝辞 P.9
見えるもの、見えないもの
何を見せて、何を見せないのか。
無意識に誘導させるのがデザインの力。
確かに優れたデザインの製品はマニュアルとか読む必要ないもんな。
ユーザは手助けを必要としている。
どの部分がどのように機能するか、そして、ユーザがその装置とどのようにやりとりをしたらよいかをはっきりさせるためには、適切なものがちゃんと見えていさえすればいい。
可視性は、しようとしている行為と実際の操作の間の対応づけを示している。
可視性によって、たとえば、塩入れとこしょう入れといった重要な違いを知ることができる。
操作の結果が見えること(可視性)によって電灯がちゃんと点灯したかどうか、映写幕が適切なところまで降りたかどうか、冷蔵車の温度が正しく調節されているかどうかを知ることができるのである。
コンピュータによって制御された装置の多くが使いにくいのは、この可視性がないためだろう。
また、ごちゃごちゃと機能がついたオーディオセットや、ビデオテープレコーダがユーザを威嚇せんばかりなのは、この可視性の過剰のせいだろう。
P.12 - P.13
ワークフローとかも同じ。
なんらかのエラーが起こりうる場面では、だれかがそのエラーを引き起こすだろう。
デザイナーは、起こりうるエラーが実際に起こることを想定した上で、そのエラーがおこる確率と、エラーが起こったときの影響が最小になるようにデザインしなければならない。
エラーは見つけ出しやすくなければならないし、その結果生じる損害は最小でなくてはならない。
できれば元に戻せるようにすべきだろう。
P.56
人は必ず間違うので、エラーが起きる前提で考えておく。
この辺はワークフローの設計も同じ。
組織やワークフローも要するにデザインなのだね。
右脳、左脳的な
人が思考しながら生活していくというのは、きちんとしたものでもないし、秩序だったものでもない。
きちんと論理的な形で優雅にすいすい進むといったものではないのだ。
というよりは、ある考えから別の考えに飛び移ったり、省略したり、あちこち動きながら、それまで関係のなかったものを結びつけて、新しい創造的な飛躍を生み出したり、新たな洞察や概念を作り出したりするのである。
人の思考というものは論理とは似ても似つかないものであって、その種類も考え方も根底から異なっている。
その違いが別に何か悪いわけでも良いわけでもない。
しかし、この違いこそが創造的な発見を生んだり行動の安定性を生んだりしているのである。
P.186 - P.187
ロジカルシンキングは必要だけど、
人は論理のみで生きるにあらず。
論理だけが正しい解へ連れて行ってくれるわけではない、ってのが
わからない論理だけ人間にはなりたくない。
そしてそういう論理だけ人間はなるべく蹴散らしたいな・・・。
そもそもイノベーションはロジカルな物ではない。
オペレーションとイノベーションは別物で、
世の中全部オペレーションだと思っている人間につまんない人が多い印象。
どこまで本気で重要視するか
端から見ていると、技術者とかコンピュータ科学者が何か製品をデザインをしようと頑張っているところは、おもしろいですよ。
たいていの場合、どのようにするか議論に議論を重ねて、本当にユーザにとってよいと思えることをしようと真剣ですね。
ところが、問題がユーザインターフェースとその製品の内部機構のトレードオフになると、ほとんど間違いなく話が簡単にすすむようにしてしまいがちですね。
結局彼らもそれを作らなくてはならないわけで、内部機構はできるかぎり単純にしようとするわけです。
内部構造のデザインのよさがユーザインターフェースのよさにつながることもありますけれども、常にそううまくいくわけではありません。
デザインをするチームの中には、最終的にそのインターフェースを使う人の立場を口やかましく述べるような人が本当に必要だと思いますね。
P.255
これは他人事ではないな。
ユーザーのため、使いやすくしないと、とか言っていても
トレードオフが生じるととたんに諦める、妥協する、ってのは良くある話。
そこにどこまでこだわり抜けるか、本当に重要視できるかってのは
常に突きつけられる問題。
誰のためのデザイン? 増補・改訂版 ―認知科学者のデザイン原論
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- 作者: ドナルド・A.ノーマン,D.A.ノーマン,野島久雄
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