学びや思いつきを記録する、超要約・要点抜き書きまとめノート

国内MBA2013年入学、2015年無事卒業!読んだ本などの読書ノート。 忘れないために超要約整理。そんな記録。

ビル・ゲイツが新刊を楽しみに待つ作家、それがシュミル。 バーツラフ・シュミル/エネルギーの人類史

ビル・ゲイツがその著作をほとんど読んでいると言うバーツラフ・シュミル。
ネットフリックスでやっているビル・ゲイツのドキュメンタリーでも登場していて、
そこで気になって買ったのでした。

人類の歴史をエネルギーを光や熱に変える技術の歴史と捉え、
あらゆる論文を横断しながらエネルギーの人類史を描いていく。

この学術論文に根ざしながら、学問の領域を横断していく人はなかなかいない。

エネルギーの人類史 上

エネルギーの人類史 上

エネルギーの人類史 下

エネルギーの人類史 下

全てをエネルギーとかエネルギー効率の視点で見ていくので、
考えたこともない世界観でとても面白い。

例えば、馬。

ウマは持久性も高く(ウシの1日の労働が四ー六時間なのに対し、ウマは八ー一○時間)、さらに長命でもある。ウシもウマも三、四歳から働き始めたが、通常ウシの勤続年数が八年から一〇年であるのに対し、ウマは一五年から二〇年にわたって働いた。そしてウマの脚は、この動物に独特の強みを持たせる骨格構造をしている。立つことにかかるエネルギーコストがほぼ要らないのである。
バーツラフ・シュミル『エネルギーの人類史 上』P.126

立ってるだけならエネルギーコストがほぼ要らないってすごい。
人は立ってるだけでも疲れるのに⋯⋯。

さらに大航海時代もエネルギーの視点で見るとこうなる。

ヨーロッパでは、中世後期になって四角形の横帆と三角形の縦帆が併用されてから、初めて船首をできるだけ風上に向けながら帆走できるようになった。時とともに、帆船の帆はますます数が多くなり、掲げられる位置も高くなり、調整も色々と利くようになった。(中略)帆船は比類なく効率的な風エネルギー変換機になった。加えて、この組み合わせをさらに圧倒的に強力にしたのが精密な重砲の搭載だった。一四世紀と一五世紀のあいだに西ヨーロッパで発達した砲艦は、前例のない長距離拡張の時代へと突入していった。イタリアの経済史学者カルロ・チポラが、これらの船の特徴を的確に言いあらわしている(Cipolla, 1965, 137)
本質的にはコンパクトな装置であり、比較的少人数の乗組員で、前代未聞の無生物エネルギーの塊の移動力と破壊力を操作できる。ヨーロッパの唐突かつ急速な勢力拡大の秘密は、すべてここにあった。
バーツラフ・シュミル『エネルギーの人類史 上』 P.322

こんなのもこの本を読む前は得られなかった視点。

そして農作物もまた、エネルギーの産物であり、
農業のエネルギー源が何かというとそれは太陽エネルギーではなく、石油なのだ、と。

地球の収容力は耕作中の土地の面積に比例し、太陽エネルギーの使用によって高効率を達成することができた、と。残念ながらこれは嘘だ。なぜなら、産業人はもはや太陽エネルギーから作られたジャガイモを食べないからだ。彼が食べるのは、一部が石油でできたジャガイモだ。
バーツラフ・シュミル『エネルギーの人類史 下』 P.149 - P.151

我々が食べているのは石油でできたジャガイモ!
石油でできた服を着て、石油でできた灯のもと、石油でできた本を読み、、、、
それが良い悪いではなく、エネルギー源とエネルギーの変換効率の歴史のなかで、
今ってそういう時代なんだよっていう話。
そしてそんな石油に関するあまり知られていない事実。

(なぜかこの事実は注目されていないが、)西欧の政府は石油から OPECよりも多くの利益を上げているのだ。たとえば二〇一四年の石油1リットル当たりの代金は、その四十七パーセントがG7諸国への税金で占められ、産油国の利益はおよそ三十九パーセントにすぎない。
バーツラフ・シュミル『エネルギーの人類史 下』P.203

ちゃっかりと都合のいい仕組みになっているんだね。
そして、エネルギーの効率的な変換が人類を進歩させてきたのに、
必ずしも人は合理的にエネルギーを使わない。
その最たるものが自動車なんだそうな。
これは自動車メーカーとしては非常に辛い指摘。

 多くの人が都市でも自動車を運転したがるのは、自動車を使う方が早いと思われているからだが、これはエネルギーの不合理な使い方の完璧な一例である。自動車を購入する(あるいはリースする)費用、その後の燃費、維持費、保険代を稼ぐのに必要となる時間を計算に入れると、アメリカの自動車の平均速度は、一九七〇年代諸島で時速八キロメートル未満となり混雑度合の増した二〇〇〇年代初頭では、高く見積もっても時速五キロメートルで、一九〇〇年以前に乗合馬車が出していた速度とほとんど変わらず、さらに言えば徒歩とだって変わらない。しかも、「油井から車輪まで」の効率が一〇パーセントをゆうに下回ることを考えれば、自動車はいまだに代表的な環境汚染源だ。
バーツラフ・シュミル『エネルギーの人類史 下』P.312

エネルギーの無駄が多すぎる移動手段。
都市部では電動自転車がいいのかも?なんて思ったのでした。

しかし、エネルギー視点で見た世界というのは新鮮だった。
世界はいろんな視点で見ることができる。


エネルギーの人類史 上

エネルギーの人類史 上

エネルギーの人類史 下

エネルギーの人類史 下