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偽情報が千五百人に伝わる速度は事実が伝わる速度より六倍も速い 松原美穂子/サイバーセキュリティ

個人情報の流出など、身近なサービスでも事故が起きる昨今m
セキュリティの最前線は一体どういうことになっているのか知りたくて手にとった。

そしたらそこには想像以上の世界が広がっていて、
サイバー空間はある種の紛争状態というか、
狙われたら、なかなか防ぎ切れないほど攻撃は高度化しているという印象。



まるで映画の世界!?

これはもう破壊工作というか、スパイの世界の話ではあるけれど、
こんなことが実際に行われているわけで、しかもテクノロジーは日々進化している。
企業もコンピューターによる制御無くしては成り立たなくなってきている今、
依存度が高まれば高まるほどセキュリティリスクは増しているということでもあるということは、
よくよく認識しておいた方がいいのだろうな。

このサイバー攻撃では、「スタックスネット」と呼ばれるウイルスが初めて使われ、インターネットにがっていない核燃料施設にUSBメモリを介して侵入・感染し、機器の破壊という被害をもたらしました。(中略)ナタンツの施設にあるコンピュータシステムは、インターネットに接続されていませんでした。そのため、CIAとイスラエルはイランの技術者の中に協力者を得て、ウイルスを仕込んだUSBメモリを施設内に持ち込み、そこから感染を広げました。そして〇九年後半〜一〇年初頭に、周波数変換装置サイバー攻撃を掛け、遠心分離機の回転速度を上下させることで過度の負荷をかけたのです。しかも核燃料施設で働いている現場の職員が遠心分離器の異常に気付くのを遅らせるため、攻撃者は、施設のモニターには正常値を示し続けるようにするという手の込んだ仕掛けをしていました。
松原実穂子『サイバーセキュリティ』P.42 - P.43

偽情報は真実の6倍早く伝わる

セキュリティを突破されるようなサイバー攻撃的なもの以外にも、
企業のブランドやイメージを毀損するような言説が流布されると言った
レピュテーションリスクもどんどん高まっている。

例えデマだとしても、信じる人がいるし、デマほど早く拡散するし、
デマでした、という訂正は、デマほど多くの人に届かない。

結局「客観的な事実よりも、 個人の感情に訴える言論の方がたとえ虚偽であっても強い影響力を持つ」というのは
普遍的な真理なのだろうからとても厄介な話。

今、世界で懸念されていることの一つに、SNSを介したデマ拡散による世論の操作やビジネス活動の混乱があります。オックスフォード英語辞典は二〇一六年、「今年の言葉」に「ポスト・トゥルース(脱真実)」を選びました。世論の形成において、客観的な事実よりも、 個人の感情に訴える言論の方がたとえ虚偽であっても強い影響力を持つという意味の言葉です。
 恐ろしいことに、例えばツイッターでも、偽情報の方が事実よりもリツイートされる可能性が高く、しかも、偽情報が千五百人に伝わる速度は事実が伝わる速度より六倍も速いというのです。米国のマサチューセッツ工科大学が一八年に行なった研究で明らかになりました。
松原実穂子『サイバーセキュリティ』P.56 - P.57