学びや思いつきを記録する、超要約ノート

国内MBA2013年入学、2015年無事卒業!読んだ本、記事、などの読書ノート。 忘れないために超要約整理。そんな記録。

ビジョナリーが見ている未来の一端に触れると、凡庸な私でもワクワクしてくる。 落合陽一/魔法の世紀

著作も読まずに勝手に親近感を覚えて応援していた落合陽一氏の著作をいまさらだけど拝読!

宇野常寛責任編集のメールマガジンを書籍化したものなんだけど、
彼を見出し、著作という形で世に送り出したのは宇野常寛氏だったのかぁ、と。

なんというか、若き俊英たちって感じがするな。

魔法の世紀

魔法の世紀

映像の世紀と魔法の世紀

20世紀は映像の世紀
映像が共通体験だった時代。
映画館のスクリーンを観客が皆見ている(1つのディスプレイを皆が見ている)世界。
でももう、今は違う、手元のスマホを見てる。
そこに表示されてるものは個々人によって異なる。
映像という共通の媒介を通さずに直接繋がれる。
それはもう、19世紀的な映像の世紀とは異なる。

で、魔法ってなんだ?ってことなんだけど
魔法は要するに仕組みや原理はわからないけど今そこにある現象、なんだよね。
で、複雑怪奇な現代においては、仕組みは複雑すぎて理解できないけれど、
実現していることがそこかしこにある。

それって魔術的だって話。
近代化は脱魔術化で迷信から科学へというシフトだったのだけど、
今は社会を成立させる仕組みを理解できないまま、そして理解する必要もなく、
生きていける社会になっている、その変化をモリス・バーマンという人は再魔術化と言ったのだそうだ。

そういわれると、魔法の世紀ってのが腑に落ちる。
現代社会には魔法がたくさん溢れている。

ユビキタス・コンピューティング

いつでもどこでも、が強調されすぎたと落合氏は言っている。
いつでもどこでもデバイスが使える、ということよりも、
バイスの存在そのものが意識されなくなる、というニュアンスこそが重要だと。

呼んでいて感じたのはデバイスやテクノロジーが溶けていく感覚なんだと思う。
バイスはデバイスとして意識されている時点で未成熟という考え方。

バイスや技術を意識しなくなっていく、魔術化がどんどん進んでいく。
Amazon echoとかSiriとかGoogle Homeとか音声インターフェースも、
使ってみると、なんか少しデバイスが溶けてる感を感じるんだよね。

この感覚がもっともっと進んでいくんだろうなぁ。

ショッピングモールとマクロス

かつては田舎の非文化的施設の象徴であったショッピングモールが、いまやその中ですべてが完結する存在になっている。
人類が宇宙に旅立つときはショッピングモールを打ち上げればOKというのは秀逸な例えだなぁ、と妙に感心してしまった。

デジタルの色

デジタル慣れしている世代はきれいな青と赤に慣れすぎている、という話。
これも非常に面白い話。

光は混ぜると白になるけど、絵の具は混ぜると黒になる、
だからディスプレイでずっと色を見てきた世代はきれいな(=明るい)青と赤に慣れすぎてるってこと。

この光と絵の具の性質の違いって昔印象的だったのは美術の話として聞いたときだったことを思い出す。
絵の具は混ぜると暗くなる、だから印象派は混ぜた色を塗るんじゃなくて、色彩分割して目で色(=光)を混ぜたんだって話。

そのときも光と絵の具の違いから印象派の話への流れが巧みですごく腑に落ちたのを覚えている。

もう記憶が曖昧だけど、高階秀爾の『20世紀美術』の一節だったかなぁ。
すぐに調べることができないのでうろ覚えなのだけど、
万が一違ったとしても、この『20世紀美術』は名著なので未読の方にはお勧め。

20世紀美術 (ちくま学芸文庫)

20世紀美術 (ちくま学芸文庫)

いずれにせよ、落合氏はちょっとしたコラムも示唆に富んでいて面白い。
そして頭いいから話がすごくわかりやすい。

魔法の世紀とデジタルネイチャー

人に合わせて作られていたデバイスやメディアが人を超越していく。
そこにはものすごい可能性がある気がするし、面白そうでわくわくする。
なんかこう、久しぶりにビジョナリーだなぁ、という衝撃を受けました。

映像の世紀」とは、人間に指針を合わせてメディアを設計する時代でした。しかし、「魔法の世紀」では人間の感覚を超越した設計を行うことで、メディアが物質的世界自体をプログラミングできるようになります。そして僕は、コンピュータが制御するモノとモノ、あるいは場と場の新しい相互関係によって作られ、人間とコンピュータの区別なくそれらが一体として存在すると考える新しい自然観そしてその性質を「デジタルネイチャー」と呼んでいます。
P.179

魔法の世紀

魔法の世紀

ユニクロは凄い企業だと思うし、柳井社長も名経営者だとは思うけれど、それでもこういった実態を潰せないというのはものすごくリアルで学びの多い話。 横田増生/ユニクロ潜入一年

タイトルそのまんま、ユニクロにアルバイトとして潜入したルポ。
一代でグローバルに展開するSPA企業として大成長したユニクロは、
ビジネススクールにおいても注目される輝かしい企業の筆頭。

社長の柳井さんはカリスマ経営者としての世評も高い。

そんな輝かしい企業の実態を調査するべくの潜入調査なのだが、この潜入には前段がある。

ユニクロ潜入一年

ユニクロ潜入一年

潜入の経緯

元々横田氏はこの本の前に1冊ユニクロのブラックな実態を暴露する
ユニクロ帝国の光と影』を上梓している。

ここで暴露されたサービス残業などのブラックな実態に対して、
柳井社長は激怒、事実と違うと文芸春秋名誉毀損の訴訟を起こしている。

さらにユニクロはブラックだと言う批判に対して、
柳井社長はとあるインタビューで
そういった批判をしてくる人はユニクロのことを全然わかっていない、と
「うちの会社で働いてみてほしい」と発言。

これを柳井社長からの招待状だと考え一年の潜入取材を敢行した、という経緯があるのだ。

まぁ、口では働いてみろと言っても素直に正面から働きに行って採用してくれるわけもなく、
著者は離婚し、再婚して妻の姓になると言う合法的改名(!)をした上で、
ユニクロのアルバイトに応募、正規の採用ルートを経てアルバイトとしての勤務が始まる。

ブラック批判に関して

ユニクロのブラック批判は主に国内店舗のサービス残業の実態や、
発注先の海外工場の劣悪な労働環境などに批判の矛先が向いているのだが、
今回潜入ルポでフィーチャーされるのは店舗運営の実態だ。

ちなみに、前著に対して事実と異なるとして名誉毀損の訴訟を起こしたものの、
裁判でユニクロは敗訴、記事の内容に虚偽はない、という判決が下っている。

ただ、色々ありつつもユニクロが改善しようとしていることもわかる。
ただ、改善し切れていない実態があることもまたわかる。

店舗のサービス残業はブラック批判に晒されて当然だと思うのだが、
工場を持たないファブレス企業に対して、海外の発注先工場の労働環境問題を
どこまで責任を持たなければいけないのか、という話はあるよね、と思う。

そもそもそういった責任を抱えたくないが故のファブレスという経営的選択でもあるわけで。

しかしアップルしかり、ユニクロしかり、企業の規模が大きくなり、
巨額の利益を上げるようになると、その利益が搾取によって生まれているのではないか、という目で見られるのは確か。
巨大企業としての社会的責任として批判に晒されてしまうと言うことなのだろう。

企業の社会的責任、CSR活動に関して

本書では柳井社長の発言として、CSRも企業にとってプラスになるCSR活動しかやらない、という趣旨の話を紹介している。
柳井社長自身を本質的な社会的責任を果たそうと言う気持ちのない人、吝嗇なイメージに誘導するような引用だと思ったが、
CSRに対して明確に言い切っている姿はむしろ好感が持てる。

企業のCSR活動はただの寄付行為、ボランティアとは異なる。
逆に企業にとってもメリットがあるのだ、と判断できる活動をしているのであれば
その取り組み自体もゴーイングコンサーンなものになる可能性も高まる。

企業もまた継続性がなければならず、ビジネスとしての判断が介入しない行為をCSRと喧伝しても、
逆に偽善的にうつるんだよな、というのが個人的な考え。

現場にとっての柳井社長

ユニクロという巨大な帝国のオーナー経営者とは現場にとってどんな存在なのかが非常に気になっていたのだが、
毎週の部長会議での柳井社長の発言が全店舗に張り出され、アルバイトも含め全員読める状況にあるらしい。
こういう、実際働いてみないとわからない話は面白い。

末端まで声を届けようとするその仕組みがあること自体はなるほどね、という感じだったが、
本書で紹介されている発言の内容に関しては、そこまで現場寄りのマイクロマネジメントではないな、という印象。
やはり大局的な話にはなるわな、という感じも非常に面白かった。

そして、この部長会議で直接声を届ける姿や、末端への浸透作、
絶対的な権力者であり、トップダウンの体質などは読んでいて
セブンイレブン鈴木敏文元社長を想起した。

digima.hatenablog.jp

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なんか似てるなと思ったら本書でも同じことに触れている箇所があり、やはりという感じ。

ただ、鈴木敏文はもっと現場よりなこだわりを持ち続けていた印象がある。
お昼は毎食自社商品とか、新商品全部試食してるとか、
もっともっとマイクロマネジメントの印象。

まぁ、もしかしたら柳井社長もものすごくマイクロな部分があるのかもしれないが、
本書で取り上げられているようなチラシの内容などにダメを出す姿は、
そこまでマイクロマネジメントの独裁者という印象でもないかな、とも思う。
鈴木敏文の弁当エピソードのほうが強烈。

トップがどこまで把握できるのか問題

本書でも指摘しているが、柳井社長が問題をどこまで把握できているのか、なんだよね。
サービス残業の実態も、把握できているのかどうか。
どんなに制度上禁止しても、タイムカードの時間だけ見てたら実態は見えてこない。
柳井社長にはサービス残業は撲滅したように見えてしまっていないか、ということ。

・実態が残っていても、制度として禁止しているから知らない。(まぁあるんだろうけど、見てみぬふり)
・ちゃんと改善しろと指示したし、本当にサービス残業は撲滅できた
・まだまだ撲滅できていないから対応を急がねばならない

社長の認識はどれなんだろう?

どんな組織でも上に上がれば上がるほど、現場の実態は掴みにくくなる。
本人が望んでも、層の厚い中間管理職にとって不都合な真実が現場には山積みだったりするから。
正しい現状認識からしか正しい判断、正しい行動はうまれない。

現場に寄り添うことだけが正解だとも思わないのだけど、
一代で成功した(つまり現場のこともバリバリわかってた時代がある)企業のトップが
いま見ているのはどんな風景なんだろうな、と思いを馳せた。

ユニクロはすごい企業だと思うし、柳井社長は名経営者だとも思う。
でもたたけば埃も出てくるし、成功企業にも常に課題はあると言うことでもある。
名経営者の下に優秀な人材も揃っているはずなのに、それでもこういった実態を潰せないのである。


一年に及ぶ潜入記録はリアルな姿を切り取っており、実態をこうして読むことができたのは非常に有意義。
もしかしたらお怒りなのかもしれないけれど、柳井社長もフラットに読んでみたら、
得るものが大きいんじゃないかな。
自分だったらとりあえず怒ったふりするかもしれないけど、内心感謝するな。
そしてこういう耳の痛い、直視したくない現実をレポートしてくれる機能を
どうやって社内の中で仕組み化していくかをちゃんと考えたい。

ユニクロ潜入一年

ユニクロ潜入一年

超絶優秀な人の持つ、圧倒的な努力と覚悟を垣間見ることができる名著。 前田祐二/人生の勝算

売れてるビジネス書。
NewsPicks Bookは瞬く間にビジネス書のブランドになってしまったね。

面白いしキャッチーなんだよなぁ。
レガシーな経営者本とは一線を画す、今っぽさとリアリティーがあるから。

レガシー経営者本って説法みたいになるからな。
抹香くさいっつーかさ。それはそれで学びもあるんだけど。

というわけで売れてる『人生の勝算』を読んでみました。

人生の勝算 (NewsPicks Book)

人生の勝算 (NewsPicks Book)

とはいえ、読んだ理由は売れているからというよりも、前田さんに興味があったから。

彼がDeNAに入社して、しばらくした頃、
DeNAの南場さんがずっと口説いてた人物として
紹介される記事を読んだのを覚えている。

careerhack.en-japan.com


優秀な経営者に求められ続ける人物ってどういう感じなんだろう?
苦労してるって書いてあるけど、どんな人なのかな。
外資系のスーパーエリート??

この記事を読んで、漠然とそんなことを思っていたけど、
頭の片隅にしまって終わっていた。

それが3年後、twitterでなんだか盛り上がっている新刊情報を見てみると、、、
あ、これあの人じゃん、と。この人の本を出そうと思った人は目の付け所がいいなぁ、と。

そんでもって、前田さんが書いてることは自分にとってもとてもリアルな話だった。


コミュニティ運営のコツ

「自分がいなくても、このアイドルやアーティストは成立してしまう」という感覚にオーディエンスがなってしまうと、熱を帯びたコミュニティは生まれにくいのです。いわば現代人の多くは「自分の物語」を消費していて、何か完璧な「他人の物語」を消費することには、飽き飽きしているのです。
P.47

要するに、何かしら欠落したところ=「余白」が強いコミュニティには重要ということ。
コミュニティによって成り立っているビジネスの典型として街のスナックを例に説明しているのだけど、
地元に根ざした強固なコミュニティによって成立する様を綺麗に分析している。

今のアイドルビジネスもコミュニティによって成立するもの。
いや、アイドルに限らず、どんなサービスも愛のあるコミュニティを作れるかが重要な時代になっている。

雑貨のECで著名な北欧暮らしの道具店も、ECというよりは、
価値観に共感してくれるコミュニティを形成してその結果物販も売れてるみたいな構図だものね。

現代のクオリティコンテンツとは、プロがお金をかけて練り上げた完成品ではなく、その先にあるファンとのインタラクションがきちんと綿密に設計・実行されたものである、という価値観を、SHOWROOMを通して再定義しています。
P.86

だからこそ、人が、個人が、注目され、価値を出しやすい時代なんだろうなぁ。


仕事はゲーム

仕事はゲームだと思って楽しんで働いているんだけど、プライドの話は身につまされる。。。
自分は営業なわけじゃないけど、バカを演じてはいないから。。。
そして確かにバカになることは可愛がられる重要なファクターであることはとてもよくわかる。

「前田よ、仕事を舐めるな。お前は株を勉強して、お客さんに投資判断のアドバイスをすることが仕事だと思っているだろ。まったく違う。仕事は、ゲームだ。ゲームで勝つにはルールがある。そのルールをお前は、ちゃんとわかってない。だから成果が出ないんだ」
(中略)
プライドの高い営業の電話を取りたいと思うか?と言われて、またグサっときました。藤井さんは「肉」とおでこに書かれた状態のふざけた顔で、続けます。
「プライドはコミュニケーションの邪魔になる。まず、お客さんとコミュニケーションの接点を増やせ。そうしないと、俺たちの仕事は始まらない。あいつバカだねと思ってくれたら、成功だ。バカを演じきった次の日に、お客さんに電話してみろ。俺の言っていることがわかるはずだ。」
P.113 - P.114

思いやりとは他者の目を持つこと

仕事の基本は思いやり、ってのもすごく共感する。
自分たちではなくサービスを利用する人のことを考える。
そこをとにかく考え続ける。

それを他者の目を持つこと、と前田さんは言っている。
自分の言い方だと、想像力を持つこと、になるな。
想像力が欠如した人間は思いやりがない。

その他、自分の価値観を確立させる話とか、
とにかく圧倒的に努力する姿勢とか、
あー、なんだかすごく良くわかるなぁ、と共感しっぱなし。

でも、これNewsPicksをありがたがるようないわゆる普通の人に
どれだけ伝わるんだろうか。。。

頭では理解したつもりになるかもしれないけど、行動に移せる人はどれくらいいるんだろう。
まぁ、でも世の中なんてそんなもんと言ってしまえばそんなもんだよね。

でももしかしたらこの1冊から衝撃を受け、生き方を変える人がいるかもしれない。
そう考えると、やっぱり出版ってすごいな、と思ったりもしたのでした。


人生の勝算 (NewsPicks Book)

人生の勝算 (NewsPicks Book)

プラットフォームビジネスについて学びたい人に向けた入門書。理論と具体的な事例紹介が合わさった良書。 根来龍之/プラットフォームの教科書

タイトルそのまんまなプラットフォーム型のビジネスに関するいろはをまとめた本。

理論的な整理と、具体的な事例をバランスよく盛り込んでいるわかりやすい仕上がり。
Winner Takes Allが起こりやすいのはなぜか。
バンドワゴン効果ネットワーク効果といった基本から丁寧に説明してくれる。


産業の構造がレイヤー化する

プラットフォームの定義とも言える重要なポイント。
プラットフォームにはその上で動く補完的なプレイヤーがいるということ。

プラットフォームビジネスは、その構造に特徴がある。産業の構造を「レイヤー構造」と捉えることができるのだ。レイヤー構造とは、ある価値を提供する製品やサービスの構造がいくつもの階層(レイヤー)に分かれていくことである。そして各階層にはそれぞれに担い手がいて、上下の階層のプレイヤーと協力し合いながらも、それぞれが独立したプレイヤーとして行動する。iPhoneとアプリの関係、グーグル検索とサイトの関係など、プラットフォームはいずれもレイヤー構造になっている。
P.27

補完的なプレイヤーは直接コントロールできない。

プラットフォームは他のプレイヤーの協力を前提としている。自分ですべてやる場合と、他のプレイヤーに依存する場合では、ビジネスのやり方が違う。ある部分を他者に任せるとなると、その部分は直接コントロールできない。だからビジネスのやり方が難しくなる。
P.28 - P.29

引用はしないが、途中、レイヤー構造の解説で仮面ライダーのベルトが
例として提示されるあたりが、根来先生のユニークさ。

仮面ライダーブレードからベルトの構造が変化し、補完的なパーツが出てきた。
これはライダーに限らず子供のおもちゃ業界では今や大成功パターンとして定着している。
これなんか、何からでも学ぶ機会やヒントは得られるといういい事例だよね。

マネーサイドとサブシティサイド

ユーザーが増えること自体がユーザーの便益につながっていくネットワーク効果がある場合、
サブシディサイドのユーザーにも十分な存在価値がある。

ネットワークのサイドは、収益貢献度によって分類することもできる。
収益源となるプレイヤーグループのことをマネーサイド、無料あるいはコスト割れでサービスや製品を提供されるプレイヤーグループのことをサブシティサイドと呼ぶ。サブシディトは補助金という意味の言葉である。(中略)
サブシディサイドはネットワーク効果を加速するためのサイドであり、マネーサイドは収益を得るためのサイドである。
P.72

バンドワゴン効果

プラットフォームは基本的にネットワーク効果で語られることが多いと思うのだけど、
本書ではバンドワゴン効果に関しても触れていて、ネットワーク効果とは明確に異なる定義をしている。

本書ではバンドワゴン効果を「ある選択が流行しているという情報が流れることで、その選択がさらに促進されること」と定義し、実質的な価値(便益)の工場が存在するネットワーク効果と区別し、流行に引っ張られる群集行動の一種と位置付けることにしたい。
P.74

プラットフォーム関連の書籍

また、同じく根来氏が関わっている本としてこちらも併読すると、
理解はより深まるのでは。

digima.hatenablog.jp

勝者がすべてを持っていくWinner Takes Allに関してはその名もズバリのこちらが古典。

digima.hatenablog.jp

ネットワーク経済の話、これも抑えとくべきだったわ。(10/14追記)

digima.hatenablog.jp



ソーシャル担当の部下にとりあえずこれ読んどいて、と渡せる1冊。 株式会社オプト/Instagramマーケティング

ソーシャルマーケティングの根っこにあるような話を知って欲しくてってなると、
『グランズウェル』、『エンパワード』とか読んどけって話になるのかも
知れないが、そもそもそういう小難しい話はちょっと、、、ってなることも多いと思うのよね。

でもまぁ担当としてやっている子とかにそんなに抵抗無く、
でも最低限の「いろは」は伝えたい、そんな時にどうしようかなーって
本屋巡っていたときに見つけたのがこの本。

できる100の新法則 Instagramマーケティング できる100の新法則シリーズ

できる100の新法則 Instagramマーケティング できる100の新法則シリーズ


どれくらいそういうニーズがあるのかわからないけど、
そんなに高尚な本読めないレベルで現場って回ってること多くない??
だから噛み砕いた入門書って価値あるんだよね、と思う。

本書はInstagramのアカウント運用に関する基本を100の法則として紹介する本。
すごく普通で当たり前なんだけど、入門書って普通で当たり前のことが、
普通で当たり前に書いてあることこそが価値なんだよね!と声を大にして言いたい。

だってそれを自分で説明して教えるの面倒だし、しんどいじゃない?
でもとりあえずこれ読んどいて、話はそれからだってできた方がお互い楽。

ちなみに私はこの本を読んでInstagramにはヌード写真の投稿がNGだってことを知りました。

そんなことはさておき、超実用なマニュアル的な話だけではなくて
投稿する写真のコンセプトの引き出し方、といったちょっと抽象的なテーマも入っているのが味噌。
ちょっとだけ、考えさせる要素も入ってるから良いきっかけになるかも。

それと、Instagramって公式のインスタアプリでは対応していない色んな機能が
別アプリでできたりすることが多いのよね。
例えばFacebookのシェアみたいなリグラムってやつも公式アプリは未対応だし、
日時指定した投稿の予約公式アプリでは今のところできない。
でも、できちゃうアプリがあるんだなー。
これを知ってると知らないでは運用の手間も大違い。

そういう外せないポイントをまとめてくれているので、
初心者向けの入門書としては信頼と安心のクオリティだと思う。

できる100の新法則 Instagramマーケティング できる100の新法則シリーズ

できる100の新法則 Instagramマーケティング できる100の新法則シリーズ

アパレル業界の基本の「き」をまとめた教科書。 久保茂樹/役に立つアパレル業務の教科書

著者は業界のシステム開発に30年以上も携わった人らしい。
それもあって、業務の流れがフローチャートで図示されており、直感的に流れが理解しやすい。

ECはおまけ程度に触れられているだけという印象だが、
店舗運営のメカニズムからすれば、ECはシンプル。

逆に、これだけの店舗運営、生産管理の業務システムを持っていながら、
業界全体のITリテラシーは低いってのが、不思議でならない、という印象も持った。

評価替え

シーズンやトレンド性が強く、商品寿命が短いアパレル製品は、
売れ残った在庫品の評価金額を替えることができる。

3000円の原価の商品でも、売れ残って時間が経過してしまうと、
もはや3000円の価値もないから、という理屈。
評価損を計上し、期末在庫金額を圧縮することができる。

メンズ重衣料の評価減の割合は、カジュアル(軽衣料)よりも下げない傾向があります。
P.118

という傾向もあるらしい。
何をどういった基準で評価損計上していくかは、
アイテムのカテゴリなどに対して一定のルールを定めて行うもの。

品番別動向把握

アパレルに限らないと思うけど、小売の在庫管理、売上管理の仕組みはすごい。
商品が細々しまくってるからここの動きを以下に簡単に把握し、アクションしていくかというのは
事業の成否を決めるといっても過言ではないわけで。

プロパー消化率の向上、滞留在庫の削減では、品番別動向分析である投入商品の販売推移を追跡していく業務が不可欠です。投入から販売までの情報把握を品番単位で押さえ、在庫日数、初回投入日から累計消化率、期間販売点数の動向、期間消化率の増減推移から販売立ち上がり動向、売れ筋、滞留状況を把握します。消化率アップのためマークダウンや移動判断、さらにマークダウン後の値下げによる利益インパクトのシミュレーションなどを行います。
P.149

商品画像があった方がいいよね、とか使い勝手を考えれば考えるほど奥が深いシステム。
でも、肝だよね。

とりあえず、業界の仕事を理解させるには良い本だったので、周囲にもおすすめしとこう。

業界全体のダメな所とそんな中生まれて来た成功例の対比。業界外の人が読んでも面白い! 杉原淳一・染原睦美/誰がアパレルを殺すのか

日経ビジネスのアパレル業界特集が1冊の本になった。
レガシーなアパレル企業の不振と、その中でも成長する新興組への取材を通じて、
アパレル業界の現状を浮き彫りにする本。

誰がアパレルを殺すのか

誰がアパレルを殺すのか

日経ビジネスの特集には、一部本書に収録されていない記事もあるようなので、
興味があるならサイトも見た方が良いかも。

business.nikkeibp.co.jp

そもそも需給のバランスが崩れてる

1991年に15.3兆円あった市場が、2013年には10.5兆円に縮小している。
そんな右肩下がりの市場なのだが、モノの供給は増えている。

一方、供給されるアパレルの数量は1991年時点で約20億点だったが、2014年には約39億点に増えている。つまり市場規模が3分の2に落ちているのに、市場に出回る商品の数は倍増している、ということだ。
P.18

この現象、実に面白い。
出版業界も、市場はピーク時の6割だけど、新刊の刊行点数は増え続けている。
なんかシュリンクする市場の断末魔というか、似通った印象を受けた。

それとアパレル市場で特徴的なのは単価の崩壊だろう。

1991年を100とした場合の購入単価指数は、2014年には60程度まで落ち込んでいる。
P.22

色々あるけどこのエピソードは象徴的

2016年、ある大手アパレル企業の取締役会でこんな一幕があった。一人の社外取締役が会議の場に持ち込んだ3点の服は、同社傘下の別ブランドの商品だったが、違いはブランド名が書かれたタグだけ。ほかの取締役たちは、指摘されても苦笑いを浮かべるしかなかった。
P.40

結局OEM依存しきってるからブランドとは名ばかりだし、何もモノづくりしていない。
その異常事態に業界全体が慣れてしまってる。

販売員を使い捨てる

販売員は不可欠な存在なのに、抱えたくなかった。
内部に抱え込まず必要に応じて派遣してくれればいいよ、という感覚。
その気持ちもわからんではないが、販売員のしてる仕事は、
例えば付加価値のない事務処理とはちょっと違うはず。

見誤ってはいけないのは、アパレル業界は不振に陥ったから、現場がブラックになったのではない。何十年にも渡って、現場の販売員を使い捨てにする風潮を放置し、彼らの存在を軽視してきたために販売力が削がれ、業界不振の原因になったのだ。
P.67

委託販売という発明

オンワード創業者の樫山も1951年までに紳士既製服の量産体制を整え、賛美歌に由来する「オンワード」(前へ、という意味)の商標を登録した。この頃、樫山は百貨店を主な販路と見込み、当時としては画期的な「委託販売」を思い付く。一旦商品を百貨店に買ってもらうが、売れ残った商品をオンワード側が引き取る仕組みで、彼が発展して現在の「消化仕入れ」につながっていく。
P.96

今、課題の多い制度も、できた当時は画期的な発明だったと思う。
委託販売というシステムもこれをこれを当時実現した樫山さんは天才だと思うし、
そりゃあ大きくなるはずだわ、と思う。
でも問題はその後70年近く経っているのに同様のイノベーションが起きていないことなんだろうな。
業界全体が制度疲労にどっぷり浸かり続けてる。

トウキョウベースのこと

業界全体が不振に喘ぐ中、飛ぶ鳥を落とす勢いで成長中なのがトウキョウベース。
経営者は潰れてしまった元百貨店の創業家一族らしい。
この人達の考え方は、アパレル業界臭がしない。
すごくフラットにビジネスやってる感じ。それで成果出てるのは素晴らしいよね。

販売員は、お客さんの「服を買う理由」の一つになれないと意味がない。そうでなければネット通販に簡単に取って代わられる。ただ、これまでのアパレル業界で販売員の給料が低かったのは仕方がない面もある。例えば生命保険の場合、お客さんが向こうから来てくれるわけではなく、営業が自分で需要を切り拓かないと売り上げが確保できない。一方、アパレル業界はお客さんが来てくれるので、どうしても待ちの姿勢になる。だからこそ社内では『販売じゃなくて、営業をしろ』といつも言っている。我々の取り扱うアパレルは嗜好品で、そもそも顧客ニーズはない。そこをどう切り拓いていくかを考えるのが『営業』だし、それが店頭で接客する販売員の仕事だ。
P.200

このそもそも顧客ニーズはないって言い切る姿勢が凄い。
でもただ置いてるだけじゃ買ってってくれる訳ない。
ニーズがないという前提から始めることで様々な知恵が生まれてくるっていう側面もあるんだろうな。

誰がアパレルを殺すのか

誰がアパレルを殺すのか